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雨が降っている。
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シャルル:弟
「…………」
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シャルル:兄
「…………」
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外出する予定がなければ兄弟2人とも家におり。
家にいるならば同じ部屋にいるしかない。
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しとしとと降り続ける雨の中。
何かを共にするという事もなく。
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兄はベッドに腰かけ本を。
弟はそのすぐ隣を背もたれにしてカーペットの上に座り込み、コントローラーを握っていた。
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シャルル:兄
「そういえば……」
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シャルル:兄
「言ったんですか?」
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シャルル:弟
「…………は?」
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シャルル:弟
手が止まる。
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シャルル:弟
ホームボタンを押してゲームを中断し、隣を見上げる。
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シャルル:弟
「何を」
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シャルル:兄
「14日」
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ガタン、と音をたてて弟が立ち上がる。
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シャルル:弟
「は???」
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シャルル:弟
「あ???」
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シャルル:兄
「んふふ」
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シャルル:兄
「わかりやすいですねぇ」
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シャルル:兄
本をテーブルに置いて、立ち上がった弟を見上げる。
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シャルル:兄
「気付かないわけないでしょう?毎日一緒にいるんですから。」
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シャルル:弟
「う……そんなにわかりやすいかよ」
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シャルル:兄
「手に取るようにわかりますよ」
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シャルル:弟
「うう……」
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シャルル:兄
「なんて言ったんですか?」
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シャルル:弟
「誰が言うかよ」
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シャルル:兄
「どうせ考えなしに好きだとか言ったんでしょう」
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シャルル:弟
「か……考えなしってなんだよ」
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シャルル:兄
「んふふ」
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シャルル:弟
「…………いや、成り行きで……」
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シャルル:弟
「…………」
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シャルル:兄
「なので、私も言っておきました」
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シャルル:弟
「は???」
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シャルル:兄
「私もアレクシアの事が好きです、と」
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シャルル:弟
「は?おま……お前……」
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シャルル:弟
「そんなん……」
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シャルル:弟
「そんなん……困るだろ……」
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シャルル:弟
「いや……」
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シャルル:弟
「いやっ、は?」
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シャルル:兄
「本当にわかりやすいですね」
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シャルル:弟
「…………」
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シャルル:兄
「別に……」
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シャルル:兄
「いいじゃないですか、お互い好きにしたんですし」
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シャルル:弟
「う……」
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シャルル:弟
「…………そんなの」
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シャルル:弟
「俺に……勝ち目ねーじゃん……」
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シャルル:弟
隣に腰かける
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シャルル:弟
勝ったことない。
口でも、殴り合いでも。
ゲームなら、ちょっと勝ったことあるけど。
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シャルル:兄
「弱気ですねぇ」
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シャルル:弟
「ふん……」
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シャルル:弟
俺は頭もよくないし、短気で喧嘩っぱやいし。
フリーターだし、孤児院育ちで高卒だし。
居候だし。
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シャルル:弟
恋人なんていたこともない。
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シャルル:弟
気も使えないし……本当に、勝てる事なんて一個もなくて。
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シャルル:弟
負けたくないけど。
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シャルル:弟
ないけど。
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シャルル:弟
「うるせーよ」
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シャルル:兄
「ふふ」
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シャルル:兄
隣の、ほとんど同じ高さの頭をポンポンと叩く
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シャルル:兄
「本当に……お馬鹿さんですね。」
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シャルル:弟
「…………子ども扱いすんな。」
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シャルル:兄
「弟ですし。」
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シャルル:弟
「同い年だろが。」
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シャルル:兄
いつか。
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シャルル:兄
いつか、そうなるだろうとは思っていた。
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シャルル:兄
短気で、思慮深いとは言えないこの男は。
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シャルル:兄
隠しきれていない思いを、口に出してしまうだろうと。
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シャルル:兄
悪い男じゃない。ただ、すこし短気なだけで。
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シャルル:兄
自分よりもずっと、人間らしく。
不器用だけれども、思いやりもある。
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シャルル:兄
だから、別に……邪魔をしたかったわけでは。
困らせたかったわけではなくて。
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シャルル:兄
ただ、2人が特別な関係になった時
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シャルル:兄
どうしてか、なにか、大切なものを失う気がして。
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シャルル:兄
つい、口をついて出てしまっていた。
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シャルル:兄
「…………シャルル」
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シャルル:弟
「ん?」
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シャルル:兄
「好きですよ。アナタの事も。」
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シャルル:弟
「は?」
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シャルル:兄
「ふふ」
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シャルル:弟
「…………気色悪いこと、言うなよ。」
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シャルル:兄
「気色悪いとは失礼ですね。たった一人の家族じゃないですか。」
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シャルル:弟
「…………」
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シャルル:弟
家族。
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シャルル:弟
いつもの軽口を、一蹴しようとして。
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シャルル:弟
何故か、そうはならなくて。
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シャルル:弟
同じ名前なのに。同じ名前だから、そういえば。
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シャルル:弟
名前を呼ばれること、あんまりないなとか思って。
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シャルル:弟
「…………ごめん。」
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シャルル:弟
手もとを見下ろす。
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シャルル:兄
「ふふ」
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シャルル:弟
「…………しかたねーじゃん」
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シャルル:弟
「隠し事、苦手なんだよ」
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シャルル:兄
「知ってますよ」
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シャルル:弟
「…………ごめん」
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シャルル:弟
俺だって、こいつのことが全然……わからないわけじゃない。
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シャルル:弟
たぶん、こいつは、最後まで、そんなことを言うつもりはなくて。
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シャルル:弟
全部、隠して、黙って、何かよくわからないけど、ここにいたわけで。
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シャルル:弟
きっと、俺が言わせてしまったんだ。
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シャルル:弟
腹立つけど。
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シャルル:兄
「…………困った人ですね。」
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シャルル:弟
「…………」
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シャルル:兄
「許してあげますよ。私、お兄さんですから。」
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シャルル:弟
「腹立つ。」
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シャルル:兄
「んふふふ」
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雨が降っている。
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ただ、しとしとと降り続けていた。