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外出する予定がなければ兄弟2人とも家におり。
家にいるならば同じ部屋にいるしかない。
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しとしとと降り続ける雨の中。
何かを共にするという事もなく。
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兄はベッドに腰かけ本を。
弟はそのすぐ隣を背もたれにしてカーペットの上に座り込み、コントローラーを握っていた。
シャルル:弟
ホームボタンを押してゲームを中断し、隣を見上げる。
シャルル:兄
本をテーブルに置いて、立ち上がった弟を見上げる。
シャルル:兄
「気付かないわけないでしょう?毎日一緒にいるんですから。」
シャルル:兄
「どうせ考えなしに好きだとか言ったんでしょう」
シャルル:兄
「私もアレクシアの事が好きです、と」
シャルル:兄
「いいじゃないですか、お互い好きにしたんですし」
シャルル:弟
勝ったことない。
口でも、殴り合いでも。
ゲームなら、ちょっと勝ったことあるけど。
シャルル:弟
俺は頭もよくないし、短気で喧嘩っぱやいし。
フリーターだし、孤児院育ちで高卒だし。
居候だし。
シャルル:弟
気も使えないし……本当に、勝てる事なんて一個もなくて。
シャルル:兄
隣の、ほとんど同じ高さの頭をポンポンと叩く
シャルル:兄
いつか、そうなるだろうとは思っていた。
シャルル:兄
短気で、思慮深いとは言えないこの男は。
シャルル:兄
隠しきれていない思いを、口に出してしまうだろうと。
シャルル:兄
悪い男じゃない。ただ、すこし短気なだけで。
シャルル:兄
自分よりもずっと、人間らしく。
不器用だけれども、思いやりもある。
シャルル:兄
だから、別に……邪魔をしたかったわけでは。
困らせたかったわけではなくて。
シャルル:兄
どうしてか、なにか、大切なものを失う気がして。
シャルル:弟
「…………気色悪いこと、言うなよ。」
シャルル:兄
「気色悪いとは失礼ですね。たった一人の家族じゃないですか。」
シャルル:弟
同じ名前なのに。同じ名前だから、そういえば。
シャルル:弟
名前を呼ばれること、あんまりないなとか思って。
シャルル:弟
俺だって、こいつのことが全然……わからないわけじゃない。
シャルル:弟
たぶん、こいつは、最後まで、そんなことを言うつもりはなくて。
シャルル:弟
全部、隠して、黙って、何かよくわからないけど、ここにいたわけで。
シャルル:兄
「許してあげますよ。私、お兄さんですから。」