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ふと、そういえば。
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シャルル:弟
「あ。」
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シャルル:弟
ベッドに横になっていたところ、思い出したように顔をあげて。
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シャルル:兄
「どうかしましたか?」
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シャルル:兄
ベッドを背もたれにFPS。
勝利画面から目を離してヘッドホンを取る。
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シャルル:弟
「今度さ、なんか演劇のエキストラ?みたいなやつのバイトあって。」
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シャルル:兄
「……本当に何でも屋さんですね、アナタ。」
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シャルル:弟
「うるせー。」
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シャルル:弟
「……まいいや。なんか、参考にいくつか……映画とかさ、見とけって渡されたんだけど。」
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シャルル:弟
「何か見るか。」
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シャルル:兄
「えー……」
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シャルル:弟
「えーじゃねーよ。お前がゲームしてっと見れねーんだよ。」
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シャルル:兄
「わかりました。それなら構いませんけれど。」
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シャルル:兄
ソフトを終了してディスクを取り出す。
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シャルル:兄
「2人で見るのもなんですし、アレクシアも誘いますか。」
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シャルル:弟
「は?」
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シャルル:兄
「これ、ソファになるんですよ。知ってました?」
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シャルル:弟
「…………」
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シャルル:弟
「そういう問題か?」
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シャルル:兄
「せっかくですし。」
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言うなり、兄は立ち上がって部屋を出る。
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そうして、アレクシアの部屋の扉を叩く。
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アレクシア
「ん」
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アレクシア
扉を開けて、顔を出す。
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シャルル:兄
「お休みでした?」
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アレクシア
「いや……」
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アレクシア
「何か用か?」
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シャルル:兄
「今から、映画を見るのですが……」
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シャルル:兄
「せっかくなので、お誘いに。」
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アレクシア
「映画」
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アレクシア
「……珍しいな」
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アレクシア
ちょくちょく、ゲームをしてるのは知ってるが。
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アレクシア
映画を見ている印象はなかった。
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シャルル:兄
「シャルルが、仕事の参考にいくつか見るとかで……」
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シャルル:兄
「雨ですし、たまにはいいかなと」
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アレクシア
「ふうん。まあ、いいが」
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アレクシア
「あいつ、今度はなんのバイトなんだ?」
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シャルル:兄
「演劇のエキストラって言ってましたね」
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アレクシア
「本当になんでもやるな、あいつ……」
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シャルル:兄
「頑張り屋さんですね」
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アレクシア
「それは間違いない」
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シャルル:兄
「じゃ、お茶入れてきますので先に部屋へどうぞ」
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アレクシア
「ん」
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アレクシア
兄弟の部屋。
……兄に部屋を充ててから、入ったことはなかった。
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シャルル:弟
「…………ん」
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シャルル:弟
身体を起こし、ディスクをセットしている。
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アレクシア
ノックをして、扉を開いて。
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アレクシア
「入っていいか」
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シャルル:弟
ベッドは布団が退かされて広めのソファに。
テーブルをはさんでそこそこ大きなディスプレイ。
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シャルル:弟
「ああ。」
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アレクシア
お邪魔します、と言いかけて、僅かに首を傾げる。
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アレクシア
家の中でも言うのか?
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ベランダに面した窓の遮光カーテンは束ねられていて、薄いレース越しに雨が降っているのが見える。
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物は多くはなくソファベッドの脇にはシュラフと椅子にできそうなそこそこ大きめのコンテナ。
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シャルル:弟
扉を開ける。
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シャルル:弟
「えっと……」
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シャルル:弟
道を開ける
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アレクシア
「……お邪魔します」
avatar
シャルル:弟
「ん」
avatar
アレクシア
知らない間に、やはり、『自分の部屋』ではなくなっているのを感じる。
もともと、大したものもなかったけれど。
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シャルル:弟
「ベッド、ソファになるんだとさ。」
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アレクシア
「へえ……」
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アレクシア
自分の家に、知らない部屋。
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アレクシア
不思議な感じだな、と思う。
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アレクシア
「……何を見るつもりなんだ?」
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シャルル:弟
「えっと、ちょっと古いやつで……『ローマのおやすみ』」
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アレクシア
「ああ……有名なやつ」
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シャルル:弟
「見たことある?」
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アレクシア
「いや、あらすじを聞きかじったくらいだな」
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シャルル:弟
「そか。俺も見たことないんだよな。」
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シャルル:弟
ソファの端に座る。
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アレクシア
「あんまり有名だと、こう……逆に見る機会、なくないか」
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シャルル:弟
「古いやつだしな。最新のなら見るけど。」
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シャルル:兄
そうして話している間に、トレイに紅茶のポットとカップ、ジャムクッキーをのせて。
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シャルル:兄
「おや、準備してくれたんですね。」
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シャルル:弟
「まあな」
avatar
シャルル:兄
「アレクシアも座ってください」
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アレクシア
「ん……」
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アレクシア
一瞬。座る場所に迷う。
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アレクシア
どういう並びで座れと。
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シャルル:兄
テーブルにそれらを置いていく。
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シャルル:兄
「どうぞ?」
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シャルル:兄
と、すすめるのは真ん中。
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シャルル:兄
余裕がないわけではないが、3人で腰かければ、距離は近い。
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アレクシア
「………………ん」
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アレクシア
勧められると断れない。
嫌がるのは何か違う。というか、嫌というわけではないのだが。
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シャルル:兄
弟と反対側の端に座る。
avatar
シャルル:兄
そういえば、こうして。
隣に腰かけるという事は……なかった気がする。
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アレクシア
二人はいつも、テーブルを挟んで向かい側にいた。
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アレクシア
隣にいると、なんだか、落ち着かないような気もする。
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アレクシア
理由は、慣れないから、だけではないけれども。
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シャルル:兄
「じゃ、見ましょうか。」
avatar
シャルル:兄
何見るか知らないんですけど。
avatar
シャルル:兄
再生ボタンを押した。
avatar

avatar
シャルル:弟
(おお、白黒だ)
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シャルル:弟
「ローマ……なのか。」
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シャルル:兄
「綺麗な方ですね」
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アレクシア
「美人女優の代名詞だろ」
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シャルル:兄
「モノクロなのが惜しいですね。これでもいいドレスであることがわかりますのに。」
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シャルル:弟
(背、高いな……)
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シャルル:弟
「あっ」
avatar
アレクシア
「ふふ」
avatar
シャルル:弟
「なんか……大変そうだな」
avatar
アレクシア
「ヒールはな……」
avatar
シャルル:弟
「あ」
avatar
シャルル:兄
「ふふ……おちゃめですね」
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アレクシア
「っふ……」
avatar
シャルル:弟
「ごまかした」
avatar
シャルル:兄
「可愛いですね」
avatar
アレクシア
「可愛げっていうのかね……」
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シャルル:弟
「何歳くらいなんだろうな……全然わかんね」
avatar
シャルル:弟
「スケジュールハードすぎだろ……」
avatar
アレクシア
「あーあー……」
avatar
シャルル:兄
「んふふふ……」
avatar
シャルル:弟
「うわ……」
avatar
シャルル:弟
「あ。」
avatar
シャルル:弟
「あ~」
avatar
アレクシア
「うわ……」
avatar
シャルル:兄
「困ったお姫様ですね」
avatar
シャルル:弟
「ああ……」
avatar
シャルル:兄
「朝になったら大騒ぎでしょうね」
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アレクシア
「残されたほうのことを考えると胃が痛くなるな……」
avatar
シャルル:兄
「んふふ」
avatar
シャルル:兄
「ポーカーでしょうか」
avatar
シャルル:弟
ちらりと隣を見る。
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アレクシア
「ん?」
avatar
シャルル:弟
「あ、いや……」
avatar
シャルル:弟
「何でもない……」
avatar
シャルル:弟
ちょっと近いなって今更思ってとか言えない。
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シャルル:兄
「ふふ……こうしていると、可愛いお嬢さんですね。」
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シャルル:兄
同じくアレクシアを見る
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アレクシア
「何?」
avatar
シャルル:兄
「いえ。可愛いお嬢さんですねと思っただけですよ。」
avatar
シャルル:兄
「ふふ」
avatar
アレクシア
「ふふっ」
avatar
アレクシア
「飲み会のあととか……いるよな、ああいう子」
avatar
シャルル:弟
「ふふ……」
avatar
シャルル:弟
「これって薬のせいだよな」
avatar
シャルル:兄
「そうですねぇ」
avatar
シャルル:弟
「…………」
avatar
シャルル:弟
「アレクシアは、ああなっちゃないよな……?」
avatar
アレクシア
「ないよ。ああいうのを世話したことはあるけど」
avatar
シャルル:弟
(ほっ)
avatar
アレクシア
「あそこまで飲むように見えるか?」
avatar
シャルル:弟
「いや、ないと思うけどほら……学校ってさ」
avatar
シャルル:弟
「飲まされたりすんじゃねーの?」
avatar
アレクシア
「場によるな……。工学部は女子が少ないから」
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シャルル:弟
「うわ、ひっくり返した」
avatar
アレクシア
「ふふ」
avatar
シャルル:兄
「女性の扱いがなっていませんねぇ」
avatar
シャルル:兄
「タイプライター……いいですね。」
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シャルル:弟
(確かにアレクシアの学校女子少ないよな……)
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アレクシア
「ごまかし方が寝てた学生と変わらんな……」
avatar
シャルル:弟
「ははは」
avatar
シャルル:弟
「この人も人が悪いな」
avatar
シャルル:兄
「困った方ですね」
avatar
アレクシア
「あっ、気づいた」
avatar
シャルル:弟
「誘拐犯とかにされるんじゃね」
avatar
シャルル:兄
「おやおや」
avatar
シャルル:兄
「ニューヨークへ……ですか」
avatar
シャルル:弟
「よく口のまわる男だな……」
avatar
シャルル:兄
「流石に顔はいいですね。」
avatar
シャルル:弟
「あっ」
avatar
シャルル:弟
「あっ、こいつ」
avatar
シャルル:兄
「しっかり覚えてるじゃないですか」
avatar
アレクシア
「あー」
avatar
シャルル:弟
「う…………」
avatar
シャルル:兄
「おや、拾われた時の事思い出しました?」
avatar
シャルル:弟
「うう……」
avatar
アレクシア
「まああそこまで前後不覚じゃなかったろ」
avatar
シャルル:弟
「まあ……そう、っていうか……」
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シャルル:弟
「いや……」
avatar
シャルル:兄
「んふふ」
avatar
シャルル:兄
「おやおや」
avatar
アレクシア
「華奢だな……」
avatar
シャルル:兄
「おや、アレクシアも負けていませんよ」
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アレクシア
「そんなことないだろ」
avatar
シャルル:兄
「今度、スカート選びましょうか?」
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アレクシア
「……えっ、お前が選ぶのか?」
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シャルル:兄
「ええ。」
avatar
シャルル:弟
「えっ?」
avatar
アレクシア
「結局この間のドレスも最終的にはお前が選んだのに……?」
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シャルル:兄
「褒められませんでした?」
avatar
アレクシア
「……まあ……うん……」
avatar
シャルル:兄
「ふふ」
avatar
シャルル:弟
「も、とが……いいからな。」
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シャルル:兄
「おやおや」
avatar
アレクシア
「……んんっ……」
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シャルル:兄
「髪もきれいですしね」
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シャルル:兄
「もちろんアレクシアの事ですよ」
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シャルル:兄
「んふふ」
avatar
アレクシア
「んんん……」
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シャルル:兄
「悪い男ですねぇ」
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アレクシア
「可愛らしいお願いだな」
avatar
シャルル:弟
「お姫様って住む世界が違うもんな」
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シャルル:弟
(かわいいな……)
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シャルル:弟
「嘘つくとこうなるんだな」
avatar
アレクシア
「あーあ……」
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シャルル:兄
「写真ですかね。」
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アレクシア
「隠しカメラってライターサイズになるのか……」
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シャルル:兄
「煙草、撮られちゃいましたね。」
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シャルル:弟
(あれカメラなのか……)
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シャルル:弟
「あ、あれは知ってる。昨日行きたいって言ってたとこだろ。」
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アレクシア
「ああー……」
avatar
シャルル:兄
「お転婆さんですね」
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アレクシア
「お転婆というか、ふふ」
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シャルル:兄
「ふふふふ」
avatar
アレクシア
「はは」
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アレクシア
「お前もああいうことしそうだ」
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シャルル:兄
「おや、そんな嘘つきに見えますか?」
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シャルル:兄
「手、なくなっちゃうかもしれませんね。」
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シャルル:弟
「…………」
avatar
シャルル:兄
「んふふふ」
avatar
アレクシア
「かぼちゃの馬車が来ちゃったな……」
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シャルル:兄
「目立ってますねぇ」
avatar
シャルル:弟
「あっ」
avatar
シャルル:弟
「度胸あるな」
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シャルル:弟
「はは」
avatar
アレクシア
「演奏始めちゃうのか……」
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シャルル:弟
「お姫様もやるじゃん」
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アレクシア
「あはは」
avatar
シャルル:弟
「あーあー」
avatar
アレクシア
「おやおや……」
avatar
シャルル:兄
「素敵ですねぇ」
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シャルル:兄
「へぇ……お姫様も大変ですね」
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アレクシア
「なんでもできないとだめなんだろうな……」
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シャルル:兄
「では、私もお姫様になれますね」
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シャルル:兄
「んふふふ」
avatar
シャルル:弟
「…………やっぱ。何も自由にできないのって、辛いよな」
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シャルル:弟
「だってもう……会えないだろ?」
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アレクシア
「……だろうな」
avatar
シャルル:弟
「…………どうにもならないもんな」
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シャルル:兄
「……そうですねぇ」
avatar
シャルル:弟
「…………」
avatar
シャルル:兄
「…………」
avatar
シャルル:兄
「ふふ……」
avatar
シャルル:弟
「本当に口が……」
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シャルル:弟
「こいつ、いいやつだな」
avatar
シャルル:兄
「ふふふ……」
avatar
シャルル:兄
「……そういえば。」
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シャルル:兄
「アレクシアは、あまり写真など撮られませんね」
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アレクシア
「え、……ああ、だな」
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アレクシア
「あんまりそんな機会もないし……」
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シャルル:兄
「今度、撮りましょうか」
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アレクシア
「なんで?」
avatar
シャルル:兄
「一枚くらいはあってもいいでしょう?」
avatar
シャルル:弟
「…………。」
avatar
シャルル:弟
「う…………」
avatar
アレクシア
「写真か……」
avatar
シャルル:弟
「教えるって、そういうことだよな」
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シャルル:兄
「ふふ……」
avatar
シャルル:兄
「悪だくみはうまくいかないものですね」
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シャルル:兄
「恋というのはままならないものですし」
avatar
シャルル:弟
「角を曲がったら戻ってこない……」
avatar
アレクシア
「……そうするべきだと思ったんだろ」
avatar
シャルル:兄
「何を優先するかは人それぞれですね……背負っているものの大きさは違いますし。」
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シャルル:兄
「記者の方は身一つでいいのでしょうけれど。」
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アレクシア
「普通の人間だって」
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アレクシア
「なかなか身ひとつとはいかないだろ」
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アレクシア
「誰だってそれのために全部賭けられるってわけじゃない」
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シャルル:弟
「…………。」
avatar
シャルル:弟
「そっか。」
avatar
アレクシア
「難しいよ」
avatar
シャルル:弟
終わってしまうと、近い距離を意識してしまう。
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シャルル:弟
「あのふたりはさ……」
avatar
シャルル:弟
「どうしたら……幸せになれたのかな」
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アレクシア
「……あの日が、『思い出』になったときに」
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アレクシア
「幸せだったなって、思うんじゃないのか」
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シャルル:兄
「……まあ、幸せなんて人それぞれですから。」
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シャルル:兄
「アナタは、あれを幸せになれないと思うんですか?」
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シャルル:弟
「う……」
avatar
シャルル:弟
「だって……」
avatar
シャルル:弟
「寂しいじゃんか」
avatar
シャルル:弟
「だって、もう二度と会えないようなもんだし」
avatar
シャルル:弟
「…………」
avatar
シャルル:兄
「ふふ……」
avatar
シャルル:弟
「あっ、また子ども扱いする気だろ」
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シャルル:兄
「気付いてしまった時点で……」
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シャルル:兄
「キスをしてしまった時点で、彼はもう……」
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シャルル:兄
「呪われたようなものですよ。」
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シャルル:兄
「ねぇ、アレクシア。」
avatar
アレクシア
「……なんでわたしに振る」
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シャルル:兄
「んふふ」
avatar
シャルル:兄
「女性の視点からみると違いますか?」
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アレクシア
「……どうだろうな……」
avatar
アレクシア
「……忘れられない思い出の日があったら、それで頑張っていけるのかもしれない」
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シャルル:兄
「きっともう、あんな日は、訪れないのだと」
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シャルル:兄
「後悔と絶望の日々を送るかもしれませんよ」
avatar
シャルル:兄
「ふふふ」
avatar
シャルル:兄
左手でアレクシアの右手に触れる。
avatar
アレクシア
「…………、」
avatar
アレクシア
「……でも、戻らなかったら、……戻らなかったことを、後悔したかもしれない」
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シャルル:兄
「………あまりに、大きな選択ですからね。」
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シャルル:兄
「より、リスクと損失のない方を選ぶのは賢明でしたね。」
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シャルル:兄
「もし、彼女が姫でなく良家の娘だったら……あるいは、煙草を吸っていなかったら。」
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シャルル:兄
「選択は、変わっていたのかもしれませんが。」
avatar
シャルル:弟
煙草……酒……
avatar
シャルル:弟
その意味くらいわかる。
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シャルル:弟
右手で、もう片方の手に触れる。
avatar
アレクシア
両手に触れる感触に、どこを見ていいのか迷う。
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アレクシア
今は再生の終わった画面を、見るともなく見て。
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アレクシア
どこかで何かが変わってしまう。
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アレクシア
その瞬間には、何気なく過ぎてしまう選択肢で。
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アレクシア
そして当たり前のように、『選ぶ』ことでも。
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シャルル:弟
「…………困らせて、ごめんな。でも」
avatar
シャルル:兄
「兄弟そろってアナタの事を好きになってしまいましたので」
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力のこもる手は、同じようで別のもの。
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声も顔もよく似ているけれど。
avatar

性格は全然違う。
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シャルル:弟
「…………」
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アレクシア
触れた手が、ほんのかすかに震えている。
そして、それに気づいて、きゅっと握り込む。
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シャルル:兄
「……まったく、隠し事が下手なんですから。この弟は。」
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シャルル:弟
「わるかったな。」
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シャルル:弟
「だからごめんって言っただろ」
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シャルル:兄
「そういう問題じゃないんですよ」
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シャルル:兄
「ほら……アレクシアが困ってるでしょう?」
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アレクシア
「…………困っては、」
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アレクシア
「……いる、けど。……それは、」
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アレクシア
「わたしの、……自分のせいだと、思う」
avatar
シャルル:弟
「……自分の?」
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アレクシア
「好きだって……言って、もらって。それで本当に困るなら、すっぱり断ればよかったんだ」
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アレクシア
「……でも、……」
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アレクシア
俯く。
avatar
シャルル:弟
「…………う」
avatar
シャルル:弟
つまりは、そうじゃなかったという事だ
avatar
アレクシア
「わから、なくて。……誰かを、そういう意味で好きになったことなんてなかったし」
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アレクシア
「でも、……ちゃんと、考えた、とき」
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アレクシア
「…………」
avatar
アレクシア
「…………困ったのは、……困ってるのは、わたしが……悪い」
avatar
シャルル:兄
「アレクシア」
avatar
アレクシア
「……ん」
avatar
シャルル:兄
頬に口付け。少し、距離を詰めて。
avatar
シャルル:兄
「いま、なかったって言いました?」
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シャルル:弟
「あっ、おま!」
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シャルル:弟
「おまえ!」
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アレクシア
「……っ、!?」
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アレクシア
思わず身体を引いた、そこにはしかし弟のほうがいて。
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シャルル:弟
「う……」
avatar
アレクシア
それ以上行き場もなく固まってしまう。
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シャルル:弟
「お前、突然それは……ないだろ」
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シャルル:兄
「ふふ」
avatar
シャルル:弟
距離が、近くなって。目の前で。
意識してしまう。
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シャルル:弟
「…………アレクシア」
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アレクシア
「えっ、う、ん」
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シャルル:弟
「俺も、していい?」
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アレクシア
「……っ」
avatar
アレクシア
弟を見上げる目が、思い切り動揺している。
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シャルル:弟
「う……」
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シャルル:弟
「俺、アイツみたいに……できないから。」
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シャルル:弟
「何していいか、何しちゃだめか……何が嫌で、何が嬉しいのか……」
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シャルル:弟
「わかんないから、聞くしかなくて……」
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シャルル:弟
「だけど……でも……」
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シャルル:弟
「…………う」
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シャルル:兄
「おやおや、がんばりましたね」
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シャルル:兄
「知ってました、アレクシア……これ、ベッドなんですよ?」
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シャルル:弟
「お前それはいくら何でも最低だろ」
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シャルル:兄
「ふふ」
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アレクシア
「ちょっ、……あ、の」
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アレクシア
「……わ、たし、」
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アレクシア
「……、…………」
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アレクシア
「……わたしは、……お前たちのこと、選べ、ない……」
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アレクシア
「ちゃんと」
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アレクシア
「ちゃんと、考えたけど」
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アレクシア
「……でも、……」
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アレクシア
「……二人のこと、……すき、だけど。好きだから。……だから、」
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アレクシア
「……だから、」
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アレクシア
「……どっちのことも、選べ、ない……」
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アレクシア
連ねれば連ねるほど、消え入りそうになっていく。
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シャルル:弟
「…………」
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シャルル:兄
「…………」
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シャルル:兄
「ふふ……」
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シャルル:弟
「はは……」
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アレクシア
「……なんで、笑う」
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シャルル:弟
「…………好きだって、言ってくれたから。」
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シャルル:兄
「嬉しいんですよ。」
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アレクシア
「……嬉、しい……?」
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アレクシア
「なんで……だって」
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アレクシア
「わたしは、……『たった一人』には、できない」
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アレクシア
「なのに」
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シャルル:兄
「それはまあ、一番だったら嬉しいですよ。」
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シャルル:兄
「でも……」
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シャルル:兄
「ひとりじゃないから、好きな気持ち半分……ってわけではないでしょう?」
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アレクシア
「そ、れは……そう、かも、しれないけど……」
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シャルル:兄
「アナタに無理を強いた結果のただひとりなんて、ないのと同じです。何より……」
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シャルル:兄
「彼にだけ言われていたら断っていたんじゃないですか?」
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シャルル:弟
「えっ」
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シャルル:弟
「?」
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シャルル:弟
困惑する
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アレクシア
「……わかん、ない、……けど」
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アレクシア
「……逃げた、かも、……しれない」
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シャルル:弟
「えっ?」
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シャルル:弟
「あっ、いやでも……俺も……」
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シャルル:弟
「アレクシアはアイツの方が好きだと思ってたし……」
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シャルル:弟
「だから、なんていうか……よくわかんないな……」
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シャルル:弟
「いつか……」
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シャルル:弟
「『邪魔者』になる前に、言わなくちゃと思ってた。」
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シャルル:弟
「それで、駄目なら……それは……仕方ないことだし。」
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シャルル:弟
「…………俺、アレクシアの事好きだから。困らせたいわけじゃなくて……」
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シャルル:弟
「ずっと一緒にいたいなって、思って……」
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シャルル:弟
「その『いつか』が来るのが怖かった」
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シャルル:兄
「アナタが、それを望んでくれるなら。私は……いえ、私たちは。」
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シャルル:弟
「……一緒にいたい。」
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アレクシア
不安を宿した視線が、二人の間を行き来する。
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アレクシア
指先が冷たい。
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アレクシア
「……ほんとうに」
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アレクシア
「ほんとうに、いいのか」
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シャルル:弟
「ま、こいつは最低だとは思うけどな。嫌になったらいつでも追い出せばいいだけだし……」
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シャルル:兄
「優しい兄に向ってひどい言いようですね。」
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シャルル:弟
「優しい兄はそういうこといわねーんだよ」
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シャルル:兄
「んふふ」
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『いいに決まってるでしょう?』
『いいに決まってるだろ?』
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アレクシア
「……っ、」
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アレクシア
握り込まれていた手のひらが、おずおずとゆるむ。
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アレクシア
そっと触れる。
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アレクシア
「……すき、だよ」
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アレクシア
「……すきでいても、いいんだな」
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シャルル:兄
「私も、好きですよ」
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シャルル:弟
「俺も……好き、だ。」
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アレクシア
「…………」
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アレクシア
「……わがままだな、わたしは……」
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アレクシア
「……でも、……うれしい」
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シャルル:弟
「…………へへ。」
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シャルル:兄
「いいんじゃないですか?少しくらい我が儘な方が可愛いですよ」
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アレクシア
「馬鹿。……付き合いきれなくなったら、……ちゃんと言ってくれ」
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アレクシア
「わがままを言うぶん……迷惑を、かけたく、ないから」
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シャルル:兄
「少しは甘えてくださいよ」
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シャルル:弟
「迷惑なんて、なぁ」
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シャルル:弟
兄とは反対側の頬に、口付ける。
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アレクシア
「わ」
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シャルル:弟
「う……」
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シャルル:兄
「がんばりましたねぇ」
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シャルル:弟
「うるせぇ」
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アレクシア
「……………………」
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シャルル:兄
「ところで、これベッドなんですが……」
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シャルル:弟
「黙れ!」
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アレクシア
「お前…………」 呻くような声。
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シャルル:弟
「…………」
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シャルル:兄
「んふふふふ」
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アレクシア
「笑うな……」
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シャルル:兄
「そう言えば、アナタ……したことな……」
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シャルル:弟
「だーまーれ!」
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アレクシア
もはや呻きも出ない。
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シャルル:兄
「あはははは」
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しとしとと雨が降り続いている。
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恋の形、愛の形。
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そこに、正解や最善などあるのだろうか。
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あったとして。
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きっと、ひとつきりとは限らない。
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みっつでようやく完成する形を、誰が否定できるだろうか。