シャルル:弟
「毎日これ、こういう感じでしてんの?」
シャルル:兄
「そうですね。普段はもう少し簡易に済ませることもありますが。」
*
夕刻、普段はひとりで作業しているキッチンに男が2人。
*
テーブルの上にあった食材は既にほとんどなく、中央にはピンクとオレンジの花が飾られている。
シャルル:弟
「……じゃ、俺。そろそろ迎え行ってくるな。」
*
そうして弟がアレクシアを連れて戻ってくるころには、パンの焼ける匂いがたちこめている。
アレクシア
「うん、……なんだ、パン焼いてるのか?珍しいな、この時間に」
シャルル:兄
「んふふ……普段から手伝ってくださってもいいんですよ」
シャルル:兄
「……そろそろ桜も見ごろでしょうか。お弁当を作ってお花見もいいですからね。」
アレクシア
「お花見か。……改まってお花見って、そういえばもうずっとしてないな……」
アレクシア
「それにしてもお前、そういうの好きだな」
シャルル:兄
「ええ。息抜きは大切でしょう?アレクシアも。」
シャルル:兄
「余裕があるというのはいいものですよ。」
アレクシア
「いつも余裕綽々、という顔でよく言う……」
アレクシア
「…………」 いまさら突っ込むのもな……という顔。
アレクシア
まあ。それでも、嬉しくないわけでは、ないので。
アレクシア
「あとで、お前たちのも教えておいてくれ」
シャルル:兄
「私たちの誕生日ですか?たぶん同じだと思うのですが……」
シャルル:兄
「そうだ。せっかく話題も出ましたので……」
シャルル:弟
冷蔵庫脇の戸棚から包装された箱を取り出して、テーブルへ。
大きさは大体カップふたつ分ほど。
シャルル:兄
「ふふ……あまり凝ったものは準備できませんでしたが。」
シャルル:弟
中身はオルゴール付きのアクセサリーボックス。
シンプルな作りで、蓋を開けるとどこか懐かしい3拍子の曲が流れる。
シャルル:弟
「なんか、いい感じの探したんだけど……な。」
シャルル:兄
「お部屋におけるものがいいと思いまして。」
シャルル:兄
「そういうわけで、今日の晩御飯はビーフシチューと」
アレクシア
レアチーズケーキ。好きだと言った覚えがある。
*
細かい泡をたてるシャンパンがグラスに注がれる。
アレクシア
二人が来てから、初めての誕生日だ。
教えた覚えはなかったから、別に、普段通り過ごすつもりだったけれど。
アレクシア
大切にされている、というような、感じがして。
アレクシア
1d6+1 (1D6+1) > 6[6]+1 > 7
アレクシア
椅子を引いてくれた兄が、テーブルにつくのを待って。
アレクシア
それから、二人の笑みに促されて、グラスを手にする。
アレクシア
兄が来てから、今まで。
家で酒を飲むことは、ずいぶん長く控えていた。
アレクシア
警戒していたし、警戒するべきだとも思っていたし。
アレクシア
でも、……もう、そうしておけなくなってしまった。
シャルル:兄
2d6+1 (2D6+1) > 5[3,2]+1 > 6
アレクシア
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 5[3,2]+1 > 6 > 失敗
シャルル:兄
「アナタがそこにいることが、何より嬉しいですよ。」
アレクシア
「……お前、よくそういうことを恥ずかしげもなく……」
シャルル:弟
「…………誕生日って、そういうものだよな。」
シャルル:弟
「生まれてきてくれてありがとうって。」
アレクシア
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 6[1,5]+1 > 7 > 成功
シャルル:弟
2d6>=7 (2D6>=7) > 7[5,2] > 7 > 成功
シャルル:弟
「なんか、幸せだなって思う日がくるとは……思わなかったな……」
シャルル:弟
「でも、そうじゃなかったらここにいないもんな……人生ってわかんないもんだな」
シャルル:兄
「でも、そうでなければ……アレクシアに好きだと伝えることもなかったかもしれませんね。」
アレクシア
「……最初は、一瞬、お前が倒れてるのかと思って」
シャルル:兄
「あの頃はまだ結構敬遠されていましたからねぇ……」
シャルル:兄
「優しくて、真面目で、気配りもできるのに……」
シャルル:兄
「ご自身の事に疎いところが可愛いですよね」
シャルル:弟
「…………俺、最初から迷惑かけっぱなしだけどさ」
シャルル:弟
「だけど、こうやってさ……一緒にいられるのって、嬉しいよ」
シャルル:弟
「俺がなんとかやっていけてるの、2人のおかげだもんな」
アレクシア
「わたしばっかりこうじゃ、割に合わん」
シャルル:兄
「困らせてくださってもいいんですよ?」
アレクシア
「……嫌がらせの腕でお前に勝てる気はしないな」
シャルル:兄
「それはやってみないとわからないですよ」
シャルル:兄
「日に日にアナタが好きになるものですから」
シャルル:兄
「ふふ……そういう顔が見たいというのも」
シャルル:兄
「キスしてくださったら困るかもしれませんね」
シャルル:兄
「そんなこと言って、アナタもそうでしょう?」
シャルル:弟
流石に冗談……って言えないから怖いんだよなこいつ
シャルル:弟
「いや、俺も……したことないし……」
シャルル:兄
「私はアレクシアとふたりでも構いませんが……」
アレクシア
「ういうことって……」 蚊の鳴くような呻き声。
シャルル:兄
「好きなところに触れて、キスをして……愛してますよって。伝えるだけですから。」
アレクシア
まずキスもしたことがないのだが。
言ったら完全に墓穴だということはわかっており。
でも言っておかないとそれはそれでおしまいな気もしていて。
シャルル:兄
「そんなこと言って、ちょっとほっとしたんでしょう?」
シャルル:弟
「俺は……なんか……なんていうか……」
シャルル:弟
「こないだみたいに、映画見たりさ。何か、遊びにいったり……」
シャルル:弟
こういう風に人を好きになったのは初めてで。
シャルル:弟
好きだって言ってもらえたのも初めてで。
シャルル:弟
きっとこうして、初めてを積み重ねて。
シャルル:弟
出来る事なら、ずっとずっと、こうしていられたらいい。
シャルル:兄
時々、いつまでここにいていいのだろうと思う事はある。
シャルル:兄
無垢なふたりと自分は釣り合わないのではないかと。
シャルル:兄
これまで積み重ねてきたものを。
抑え続けてきたものを覆い隠すには、
この距離は近すぎる。
シャルル:兄
手にしてしまった安寧はあまりにも魅力的で。
シャルル:兄
いつまでも、などと贅沢は言わない。
だから、もう少しだけ
アレクシア
わがままを言っているな、ということは理解している。
アレクシア
好きになること。好きでいてもらえること。
アレクシア
ずっと一緒にいたい気持ちと。
きっといつか終わってしまう不安と。
アレクシア
わがままを許してくれる二人への感謝と。
わがままに付き合わせてしまっている申し訳なさと。
アレクシア
ぜんぶが胸の中で混ざりあって、でも、それでも好きだという気持ちがただそこにある。
アレクシア
だから、大切にしたい。
二人のこと。二人とのこと。
大切にしていたい。