エウリーク商会は賑やかだ。

これといった大きな危機もなく、余裕さえあるような気さえするこの頃。

堕落の国でも一般的な、トランプを利用したカードゲームが流行っていた。

それを利用しない手はなく。

各々が知っているカードのルールを寄せ集め、書き記した書籍を作ったところ。

救世主や末裔に好まれ、本はそこそこの頻度で売れていった。

そんなある日のこと。

シャルル
「アレクシア」
アレクシア
「ん?どうした」
シャルル
「ゲームをしませんか?」
アレクシア
ぱち、と瞬き。
アレクシア
「……ゲーム?」
シャルル
「ええ、ポーカーを」
シャルル
そう言って、革のポケットからカードの箱を取り出す。
シャルル
「勝ったら何でも好きな事をして差し上げますよ」
アレクシア
「それは……わたしが負けたら、お前になんでも好きなことをしてやれと……?」
シャルル
「流石にそこまで要求しませんよ」
シャルル
「ただ、此方から誘うのに報酬もないのはどうかと思いまして」
アレクシア
「……別に、単に遊びたいだけなら付き合ってやるが」
アレクシア
「わたしを誘いに来るのは珍しい気もするな」
シャルル
「んふふ……何も企んでなどいませんよ」
アレクシア
「…………」
アレクシア
「まあいいだろう」
アレクシア
「ただ、実際プレイしたことはさほどないからな」
シャルル
「役の表はいりますか?」
アレクシア
「それは大丈夫だ。先日覚えた」
シャルル
「流石ですね」
シャルル
「では、部屋に準備をしましょうか」
アレクシア
「ん」
シャルル
白いクロスの上に先ほど取り出したカード。
簡易に制作されたチップを同数。
シャルル
向かい合う席に、座って。
シャルル
「親はそちらからで構いませんよ」
アレクシア
「ふむ」
アレクシア
卓上からデッキを取り上げる。
アレクシア
しゃかしゃかとシャッフル。
アレクシア
器用で淀みない手付き。
アレクシア
一度置いて、
アレクシア
「では、参加チップだ」
アレクシア
ぱち、とチップを一枚場に出す。
シャルル
「ええ」
シャルル
同様に。

行動順の決定です
シャルル
1d6+2 (1D6+2) > 2[2]+2 > 4
アレクシア
1d6+2 (1D6+2) > 5[5]+2 > 7

アレクシアが先行

カード引きタイム
アレクシア
*s5 h8 Joker
シャルル
*c6 d7 cJ
アレクシア
カードを配っていく。
アレクシア
5枚ずつ、手元に揃えて。
シャルル
まとめて取り上げ、確認する。
アレクシア
「……では、始めるか」
アレクシア
*アピールs5
シャルル
*誘い受け c6
シャルル
2d6+4 (2D6+4) > 4[2,2]+4 > 8

ハプニング!
シャルル
1d6 (1D6) > 5
シャルル
5 極めて冷静、相手のことが手に取るようにわかる。自身の情緒-1。
シャルル
上がってないので特にありません
アレクシア
2d6+4>=8 (2D6+4>=8) > 5[2,3]+4 > 9 > 成功
[ シャルル ] 情緒 : 0 → 1
アレクシア
「ビッド1枚」
シャルル
「コールで」
シャルル
悩む間もなく言えば、手札を3枚捨札に。
シャルル
デッキから3枚を引く。
アレクシア
こちらは2枚。
シャルル
新たな手札を見て
シャルル
*アピール cJ
アレクシア
*誘い受け h8
アレクシア
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 9[3,6]+4 > 13 > 成功
シャルル
2d6+4>=13 (2D6+4>=13) > 7[4,3]+4 > 11 > 失敗
[ シャルル ] 情緒 : 1 → 2
シャルル
肩を竦め
シャルル
「パスです」
アレクシア
「……ではオープン」
シャルル
広げた手札に役は揃っていない。
アレクシア
手札は7からストレート。
シャルル
「運が悪かったですね」
アレクシア
「ふふ」
シャルル
「では、次は私が」
シャルル
山札、捨札、手札を集めてカードを切る。

手札捨てタイム
アレクシア
*キープ
シャルル
キープで

手札引きタイム!
アレクシア
*c2 cK(Joker)
シャルル
*c10 cA(d7)
シャルル
カードをそれぞれに配る。
シャルル
「どうぞ?」
アレクシア
配られた手札を見やり。
アレクシア
なにはともあれ、場にチップを一枚。
シャルル
同じく。
シャルル
手元にあるチップは相手のそれより少ない。
アレクシア
*Jokerで一押し
[ アレクシア ] 情緒 : 0 → 1
[ シャルル ] 情緒 : 2 → 3
アレクシア
お互いまだ、大してチップを出したわけでもない。
アレクシア
だが、多分。お互いに、基本的には大勝も大敗もしないような気がする。
アレクシア
「お前、こういう遊びごとは詳しいのか」
シャルル
「ええ」
シャルル
「向こうの世界ではたまに」
アレクシア
「なるほどな」
アレクシア
「わたしは、あんまりだな。……街の親父どもはそれなりに賭けていたみたいだが」
アレクシア
*cK アピール
シャルル
*誘い受け d7
アレクシア
*誘い受け c2
シャルル
*誘い受け c10
シャルル
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 8[6,2]+4 > 12 > 成功
アレクシア
2d6+4>=12 (2D6+4>=12) > 11[5,6]+4 > 15 > 成功
シャルル
2d6+4>=15 (2D6+4>=15) > 5[3,2]+4 > 9 > 失敗
[ シャルル ] 情緒 : 3 → 4
アレクシア
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 4[1,3]+4 > 8 > 成功
[ シャルル ] 情緒 : 4 → 5

*シャルルの情緒は爆発
シャルル
手元のカードを見て、一度整え。
シャルル
チップの半数を置く。
シャルル
「どうぞ」
アレクシア
「…………」
アレクシア
同数出す。
アレクシア
「……お前、案外張るな……」
シャルル
「ふふ」
シャルル
「レイズで」
シャルル
更に、手元に残っているうちから半分。
アレクシア
「ふふ……」
シャルル
「降りますか?」
アレクシア
「降りない」
アレクシア
卓上にチップが並ぶ。
シャルル
「では、コール」
シャルル
「手札はこのまま」
アレクシア
「同じく」
シャルル
重ねたカードの内に、僅かな違和感。
アレクシア
「……ん」
シャルル
「レイズ……と言っても、出せるのはこれだけですが」
アレクシア
「お前……」
シャルル
「はい」
アレクシア
「ごまかしてないか?」
シャルル
「誤魔化す、ですか?」
アレクシア
「…………」 じと。
アレクシア
何も存じませんみたいな顔を……しているが……
シャルル
「ふふ……」
アレクシア
じっ……
シャルル
「疑われた時点で私の負けですねぇ」
シャルル
手元のカードを一度まとめて、バラけさせる。
シャルル
そこにはカードが8枚。
シャルル
「お見事です」
アレクシア
「……お前……」
シャルル
「そういうわけで……」
シャルル
「『賭け』は私の勝ちですね」
アレクシア
「は?」

部屋の外からざわざわと声。
シャルル
「申し訳ありません、アレクシア」
シャルル
「アナタが気がつくか、賭けを……」
アレクシア
「…………」
アレクシア
「……お前ら」

扉の向こうから、どたばたと足音。
シャルル
「…………」
シャルル
「怒りました?」
アレクシア
「どちらかというと」
アレクシア
「呆れてる」
シャルル
「あはは」
アレクシア
「お前なあ……」
シャルル
「手は抜いておりませんよ?」
アレクシア
「賭け方がな……」
シャルル
「本当ですって」
アレクシア
「ふうん」
シャルル
「その証拠に……」
シャルル
「何でもひとつ」
シャルル
「ちゃんと、聞きますよ」
アレクシア
「…………」
アレクシア
「いや。まあ別に、特別してほしいことがあるわけでもないんだが……」
シャルル
「本当ですか?」
アレクシア
「何かしてほしい、と思うことは……普段から、あまりないな」
シャルル
「えー」
アレクシア
「お前、もとから目端が利くからなあ……」
アレクシア
「なんというか」
アレクシア
「いつも世話になっているなとは思うが、」
アレクシア
「だから、改めてしてほしいことと言われるとな」
シャルル
「ないんですか?行きたいところや、欲しいもの……もしくは」
シャルル
「仕事を休みにして一日中一緒にいたいとか?」
アレクシア
瞬く。
シャルル
立ち上がるように、テーブルに手をつき乗り出して頬へと口付ける。
シャルル
「それは私のしたいことかもしれませんが」
アレクシア
う、と一瞬まごついた後。
アレクシア
「……お前がそんなことを言うとは」
アレクシア
「いや……」
アレクシア
「言ったら悪いというわけではないんだが」
シャルル
「せっかく甘えていただける口実を作れたと思ったのですが……」
シャルル
「お気に召しませんでしたか?」
アレクシア
「……甘えてほしいのか?」
シャルル
「ええ、いつでも」
シャルル
「そう思っていますよ」
アレクシア
相変わらず、甘える、ということが苦手だ。向いていない。
シャルル
「限界にならないと甘えられないのも、アナタの可愛いところですが」
シャルル
「手に余るどころか手が余るようで……」
シャルル
「手、ないんですけどね」
アレクシア
「……お前、本当に甘やかしたがりだな……」
シャルル
「んふふ」
シャルル
「権利を譲ってくださってもいいんですよ?」
アレクシア
「……何をさせたいんだか聞くだけ聞いておこうか」
シャルル
耳元へ。
シャルル
「つまり」
シャルル
「今宵は、絶対にアナタの言うことを聞かない……とか」
アレクシア
「は?」
シャルル
微笑む
アレクシア
「…………」
アレクシア
「……………………」
アレクシア
徐々に困り顔になっていく。
シャルル
「願い事は決まりそうですか?」
アレクシア
「んん……」
アレクシア
「……うーん……」
アレクシア
なんとなく、このまま黙っているとまずい気はするのだが。
シャルル
「では……」
シャルル
椅子を離れて回り込み、目の前に膝をついて
シャルル
少し見上げるように。
シャルル
「いつでも、言ってくださって構いませんよ」
シャルル
「『いつでも』」
アレクシア
「お前の言う『いつでも』、何か含みがないか?」
シャルル
「えー」
シャルル
「気のせいですよ」
アレクシア
じっとその顔を見つめる。
アレクシア
「……というか、わたしはもう随分、お前に甘えてると思うがね……」
シャルル
「私は……」
シャルル
「アナタに甘えていますよ。ずっと」
アレクシア
「そうか?」
シャルル
「ええ」
シャルル
「私のこと……好きでしょう?」
アレクシア
「…………」
アレクシア
「…………好きだが」
シャルル
「…………」
アレクシア
「愛してる、……と言ったほうが?」
シャルル
「…………」
シャルル
「ふふ」
シャルル
「やっぱり、甘やかされている気がします」
アレクシア
「……そうか」
アレクシア
灰の髪をひと撫でする。
シャルル
「ええ」
シャルル
「アナタにただ一言、嫌いだと言われたら」
シャルル
「泣いちゃうんですから」
シャルル
その手をとって甲に口付ける。
シャルル
「アレクシア」
アレクシア
「ん?」
シャルル
「ええ」
シャルル
「与えるまでもなく」
シャルル
「私の全ては既に、アナタのものでしたね」
アレクシア
「……馬鹿だな。お互い様だろう」
シャルル
「んふふ」
アレクシア
「お前になら全部やる」
シャルル
「…………では、扉に鍵でもかけて」
シャルル
「聞かれたくないことでも、しましょうか」
シャルル
立ち上がって顎に冷たい指先で触れ。
シャルル
唇を重ねた。
アレクシア
何度重ねても、慣れないように小さく固まり。
アレクシア
それから、ためらいがちに委ねる。
シャルル
「アナタといると」
シャルル
「身体が、平常ではいられないんですよね」
シャルル
「アナタだけが」
シャルル
「私を、人にしてくれる」
シャルル
引き寄せるように抱きしめて。
アレクシア
こちらもその背に、腕を回す。
シャルル
「幸福ですよ、私は」
シャルル
「アナタが思っているよりずっと」
アレクシア
「……うん」
アレクシア
「……お前がいてくれて、嬉しい」
シャルル
「足りないものなんて、ないのかもしれませんね」
シャルル
「愛する人がいれば」
アレクシア
「……大袈裟なやつ」
アレクシア
「いいんだぞ。それ以外に欲しいものが、いくらあったって」
シャルル
「んふふ」
シャルル
「それでは……世界とか?」
アレクシア
「お前、本当に大きく出るな」
シャルル
「堕落の国をまるごといただきましょうか」
シャルル
「あはは」
アレクシア
「仕方のないやつ」
アレクシア
今度は自分から、ぎゅうと抱きついて。
アレクシア
「……お前がいて」
アレクシア
「覚えていてくれて」
アレクシア
「それでも、本当に手を伸ばしていいのかわからなかったが」
アレクシア
「わたしの手を離さないでいてくれて」
アレクシア
「ありがとう、シャルル」
シャルル
「アレクシア……」
シャルル
「こちらこそ」
シャルル
「ここにいてくださって、ありがとうございます」
シャルル
髪を撫でながら、触れ合う部分でその体温を感じる。
シャルル
「愛しています」
シャルル
「深く、深く」
シャルル
「この、機械の指先まで」
シャルル
「アナタのことを想っておりますよ、ずっと」