シャルル
地下に増設した工房で、最終工程の作業を終える。
シャルル
かき集めた金属と、ガラスと、亡者の一部やら、なんやら。
シャルル
そういったものを『加工』して、『組み立て』て
シャルル
「……まあ、今はこれが……精一杯ですね」
アレクシア
「そろそろ食事時だぞ。まだ作業中か?」
シャルル
鈍色の車体に、耐熱ガラスのコーティングをしたエンジン。
燃料は、三月のワインを加工したもの。
シャルル
「これで、いくらか遠くへ行くのが楽になります」
アレクシア
シャルルの組む機構の知識と、アレクシアの持つ機構の知識はだいぶ系統が異なる。
シャルル
「タイヤには丈夫な革を使ったんですよ。重ねて、張り合わせてね」
アレクシア
「素材収集からそれなりに掛かったようだが」
シャルル
「これ1台だけではなんともできませんが、素材を運んだり、買い付けに行ったり……」
シャルル
「そうすることで、より大きな乗り物も作れるようになるでしょう」
シャルル
「銃が積めるものができれば、亡者を恐れる必要がなくなります」
シャルル
「流石に、戦争にまでなると問題ですが……まあ、ね」
アレクシア
「……この世界で装甲車を作る気か。相当手が掛かるだろ」
シャルル
「ついでに、少し遠出をしようと思ってまして」
アレクシア
「……二輪は乗ったことがないんだが……」
アレクシア
「まあ、後ろに乗っても転ばしはしないと思うが」
アレクシア
「……いいだろう。最近の様子なら、仕事も都合をつけられるだろうし」
シャルル
「質のいい水晶が取れる洞窟があるらしいんですよ」
アレクシア
「質のいい鉱石系の素材は珍しいな……」
シャルル
「おそらくは救世主由来のものかと……それに」
シャルル
「こちらは敵意はないですし、運が良ければ交渉できるかも、と」
アレクシア
「運が良ければ、な。まあ試みとしては悪くない」
シャルル
ハンドルを握って、押す。
既に燃料ははいっている。
シャルル
地下から、地上へ。スロープの上に隠された出入り口。
アレクシア
階段を上がり、商会の面々に外出を告げて。
アレクシア
こちらは一階の扉から出てきて、地図を広げたシャルルに歩み寄る。
シャルル
中心に描かれた拠点から、ぐるりと指で円を。
シャルル
「途中で万が一燃料が足りなくなっても、ワインさえあれば『作れ』ますから……」
シャルル
「街まで、たどり着ければ問題ないでしょう。」
シャルル
といって、示すのは円から少々はみ出した荒野。
切り立った岩の崖の近くにある。
アレクシア
「お前のことだから、余裕を見て計算してはいるだろ」
アレクシア
「自動走行機構か。……懐かしいな。乗るのは本当に久しぶりだ」
シャルル
「私ももともと狙撃兵ですから、あまり運転はしなかったのですけれどね」
シャルル
「こういうところにも、『力』の影響がでているのかもしれませんね」
シャルル
本来、この世界にある素材『だけ』でつくれるものではない。
アレクシア
救世主のもたらす多くのうちでも、再現の難しい部類だろう。
アレクシア
「これ、やっぱり前はお前に掴まるのか?」
アレクシア
呆れたようにして、片手に帽子と杖をまとめ。
アレクシア
置いてくればよかったか、いやしかし杖がないといざという時戦闘にならないからな、とか思いつつ。
アレクシア
シャルルの胴に腕を回して、ぐっと掴む。
シャルル
牽引する荷車もあって、風のようにとは言わないが
アレクシア
走り出した直後、緊張した身体がぎゅっとシャルルにしがみつき。
シャルル
「私の様に『作る』のでなければ、なかなか」
シャルル
「早く、大型の乗り物も作れるようになるといいですね」
アレクシア
一瞬。通り過ぎたものを目が追いかける。
アレクシア
けれどすぐに、風の向こうに消えていってしまう。
アレクシア
「水が湧くと言ったな。それなりの街だろうな……」
アレクシア
少し身体を離して、前のほうを覗き込む。
アレクシア
「……あの規模だと、そうだろうな。……大きな街だ」
アレクシア
花の香が、淀んだ空気に慣れた鼻に優しく触れる。
アレクシア
けれど、胸の奥に眠る記憶の一端が、わずかにざわめくような。
シャルル
エンジン音は耳慣れないものであるだろうから、少し離れた場所でバイクを停める。
シャルル
街の入り口はまったくもって荒れておらず、
シャルル
あちこちに花が飾られ、広場には大きなテーブルとお茶にお茶菓子
アレクシア
「物資の買い付け交渉だ。どこをお訪ねすればいいかね?」
*
「そうかぁ……いや、惜しかったね。昨日ならお祭をやっていたんだが」
アレクシア
「ずいぶん余力があるらしい。悪くない」
シャルル
「これだけ贅沢に花を使っているのもすごいですね……いい取引ができそうです」
アレクシア
「ま、この規模で栄えている以上、善玉の救世主がいるんだろう」
アレクシア
「利害が衝突しなければ長い目で見たい場所だな……」
シャルル
「我々の目的は『唯一』ではありませんからね」
アレクシア
「そのあたりはな。向こうがどう思っているかもある」
アレクシア
「この街を維持できるなら、救世主としては我々より格上かもしれんからな……。緩めすぎるなよ」
*
酒場へとたどり着けば、注文もしていないのにカウンターにきれいな水の入ったグラスが2つ置かれる。
アレクシア
「……この国でグラスの水がサービスされるとはな」
アレクシア
しかも、元の世界でも通用するような綺麗な水だ。
シャルル
「綺麗な水に、花。ずいぶんと豊かな街のようです」
アレクシア
「これだけ上質の水がサービスできるほど手に入るなら、商取引ではかなり有利だな」
アレクシア
「そのぶん、目をつけられることも多いだろうが……」
*
「花を売って、必要なものを買ってきてくれるんです」
アレクシア
「通商ルートがある……というほどは太い交易でもなさそうだな。馬車か?」
*
「今朝出立されたので、戻られるまでは暫く掛かると思いますが……」
シャルル
「私のもとに届くまでに、おそらく何回か経由したのでしょうね」
シャルル
「しかし、そうですね……輸送ルートを確保し、契約を結べば……ふふ、互いに利益の出そうなにおいがしてきましたね」
アレクシア
「規模感は相手の様子次第だな。大袈裟にやって潰されるのもうまくない」
*
「こっから出すのは、水と花と……あと、最近は鉱物もとれるようになってね」
*
「持ってきてもらうのは、ワインとか、バターとか……ジャムとかね」
アレクシア
「買い入れが嗜好品メインだな。基礎的な物資に不便しないのはかなりいい状況だ」
*
酒場の扉のむこうから覗いていた子供らが、キャッキャと走っていく。
アレクシア
別段交易路を引くのが本業ではないのだが、それでも、そうしたことが嫌いでも苦手でもない。
アレクシア
あちらのものをこちらへ。こちらのものをあちらへ。そうして生きてきた。
アレクシア
そしてそれが、少しでも『良い』ようになればいいとは思う。
シャルル
この堕落の国にも、この様な場所があったのかと感心する。
シャルル
『救済』には及ばずとも、おそらくは『救世主』の力が保っている。
アレクシア
「その救世主抜きで商談を始めると障りがあるかね?」
*
「あの人たちは、この街をしきってるわけじゃあないから」
アレクシア
「そうか。まあ我々としても、最初から大口の取引をしようってわけじゃない」
アレクシア
「基本的に、商取引に関してはうちは仲介だからな。今日のところは需要調査止まりだ」
シャルル
「4人もいらっしゃったら、問題ないかもしれませんが……ここを拠点とするのであれば、今行っていらっしゃる取引の仲介もできますし……」
シャルル
「より遠くへの輸送や、必要なものの調達なども請け負えるかと思います」
アレクシア
「拠点を長く空けると難儀するだろうからな」
アレクシア
「一概に、外に行かない……ともいかんのが救世主の厄介なところだが」
シャルル
どんな救世主かもわからないうちから話せる内容ではない。
アレクシア
そして、どんな救世主かわかったら、しないほうがいい時もある話だ。
*
取り寄せることができるのならば、きっと、必要なものもいるだろう。
*
「正直、どこまでお願いできるかわからないけれど……移動、とかもだな」
*
「大学や、海岸や……いろいろ。あっても、なかなか……末裔の身じゃあね」
アレクシア
「大学あたりの有名所ならなんとかなろうが」
アレクシア
「だな。我々のようなぽっと出に、いきなり預ける気にはなかなかならんだろう」
*
「暫く滞在していくかい?うちはシャワーがあるよ」
*
「私は、ありがたい話だと思うけれどね。救世主様というより……みんなと、話がしたくてね」
アレクシア
「話し合いは結構なことだ。我々は特に急がんよ」
アレクシア
「……とはいえ、滞在は……どうする?」
シャルル
「『アレ』をとりあえず持ってきて……一泊、くらいなら」
アレクシア
泊まりで外出するとは、さすがに言っていなかったのだが。
シャルル
「私、起きてますから」と、小さく付け足して
*
ベッドが2つと、ちょっとしたテーブルセットが一組。
アレクシア
とりあえず常の通り、部屋の状態をチェック。
シャルル
壁の厚さ、傷のつきかた、不自然に新しい部分はないか。
シャルル
「街がよく見えますよ。2階からにしては、ですが」
シャルル
祭りの名残か、花輪の飾りが残っている箇所もある。
アレクシア
「華やかさの名残があるのに、浮つききっているわけでもない。継続的に『こう』なんだろうな」
シャルル
「救世主がここに留まりたくなる気持ちもわかります」
シャルル
「私には、あそこの方が性に合っています」
シャルル
「たまにくるにはいいかもしれませんし……移りたい者もいるかもしれませんが」
アレクシア
「……そうだな。こういうところが向いているやつもいるだろう」
シャルル
ゆっくりと、動いて。街を見下ろしている。
アレクシア
「鉱石か。正直さほど目利きのできる分野ではないんだが」
シャルル
「『私が』使うものは、純度が高ければそれで。しかし……」
シャルル
「テオとフタルなら、工芸品にもできるかもしれません」
アレクシア
「話がまとまるようなら、そのうち連れてくるか。使いでのある素材があれば嬉しいだろう、あいつらも」
シャルル
「こちらの皆さんにも喜ばれるといいですね」
シャルル
「ざっと見た感じ、水晶の方はあまり手を付けていないようですし」
アレクシア
「末裔では、加工まではなかなか手が回らんだろう」
アレクシア
「原石を切り出しても、まあ、それだけでつく値はたかが知れてる」
シャルル
「期待しておりますよ、エルレンマイヤー卿?」
アレクシア
1d6+2 (1D6+2) > 4[4]+2 > 6
シャルル
1d6+2 (1D6+2) > 6[6]+2 > 8
シャルル
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 7[1,6]+4 > 11 > 成功
シャルル
「この世界から、ただひとりを残して救世主がいなくなったら」
シャルル
「その時はもう、こういう街は残っていないんじゃないかって」
アレクシア
慣れた救世主であれば一蹴できる亡者であっても、末裔には為す術がないことも多い。
シャルル
「あるかもわからない未来のために、今を犠牲にするのは……私は、やはり建設的でないと思います」
シャルル
「新たに招かれる救世主が減って、いよいよというところになるまでは」
シャルル
「こうして、親しいものと共に過ごしたいと」
アレクシア
「救世主を招いているこの国の『不思議』が尽きた時……」
アレクシア
「この国は、それなしでも在ることができるんだろうか……」
シャルル
「なってみないことには、わかりませんね」
シャルル
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 8[3,5]+4 > 12 > 成功
アレクシア
2d6+4>=12 (2D6+4>=12) > 8[3,5]+4 > 12 > 成功
アレクシア
「世界の在りよう、そのものについて備えるのは難しい」
アレクシア
「ある日、ぱたりと終わるようなことがないとは限らん」
アレクシア
「……嫌だな」 何がとは言わずに呟く。
シャルル
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 6[3,3]+4 > 10 > 成功
*
情緒が入り乱れる!自身と自身以外のランダムな対象1人の情緒が入れ替わる。
アレクシア
2d6+4>=10 (2D6+4>=10) > 7[1,6]+4 > 11 > 成功
シャルル
2d6+4>=11 (2D6+4>=11) > 5[3,2]+4 > 9 > 失敗
アレクシア
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 8[3,5]+4 > 12 > 成功
アレクシア
「……お前、その質問はかなり趣味が悪いぞ」
シャルル
「世界と心中するというのも悪くないと、思いますよ、最近は」
アレクシア
「もしも、……最後、わたし一人でそれに足りるなら、と」
シャルル
「では、世界を救ってから追いかけますか」
アレクシア
追いかけなくたって、いいんだぞ。そう言いかけて、言わずに黙る。
アレクシア
「……お前だけを選べるわたしじゃあなくて、」
シャルル
「そういうところ、好きじゃないと思います?」
シャルル
「ワガママを言い続けているのは、私のほうかもしれませんし、ね」
アレクシア
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 5[2,3]+4 > 9 > 成功
シャルル
2d6+4>=9 (2D6+4>=9) > 10[5,5]+4 > 14 > 成功
*
5 極めて冷静、相手のことが手に取るようにわかる。自身の情緒-1。
シャルル
「私は戦場が一番、安らぐ場所だとさえ思っていましたが」
シャルル
「これが、大切な人がいる、ということなのでしょう」
シャルル
直接触れていなくても、そこにいるというだけで、どこか。
アレクシア
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 8[6,2]+4 > 12 > 成功
アレクシア
「わたしは、お前が大切になればなるほど、怖いよ」 溜息。
アレクシア
「自分が臆病だということを、いつも考える」
アレクシア
「……そうして、そんな自分が嫌になる」
シャルル
「私のためにアナタが苦しむことを、すこし……いえ、けっこう」
アレクシア
「お前、そういうところでばかり正直だな……」
シャルル
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 10[4,6]+4 > 14 > 成功
アレクシア
2d6+4>=14 (2D6+4>=14) > 7[1,6]+4 > 11 > 失敗
シャルル
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 5[3,2]+4 > 9 > 成功
シャルル
「楽になることが辛い時だって、ありますでしょう」
シャルル
「アナタの責任感が強くて、自分を後回しにするところは本当に……」
シャルル
腰を曲げて、覗き込むように軽く口付ける。
シャルル
「思わずプロポーズでもしてしまいそうです」
アレクシア
それ以上言葉が見つからずに、短く呻く。
アレクシア
シャルルの腕に額をぶつける。そのまま押し付けて表情を隠した。
シャルル
髪の上から首を、引き寄せるように撫でる。