ミムジィ
「シニ、ソース……聞いたことない救世主だね」
ミムジィ
「あっ赤いカーペット引いてる! あれって本当にやるんだ……」
スバル
「そういうもんなの?」
ミムジィ
「私の方だと……なんか、お金持ちがやってるってイメージ」
ミムジィ
「なんか……あと晴れの舞台のときとか」
スバル
「……まあ金は持ってそうだし、晴れ……かどうかは知らんが、でかい舞台ではあるな」
ミムジィ
「なんか話だけは知ってるってかんじのものを実際にみると、わ~って思うよね」
スバル
「やりたいとか言わないよな?」
ミムジィ
「うーん」
ミムジィ
「なんかこう、やっぱり生まれ持っての優雅さがね」
ミムジィ
「優雅さがなくて浮く気がする」
ミムジィ
「ほら私って庶民派の救世主ですからね」
スバル
「庶民派ね……」
スバル
まあ下々の味方をしたがるよな、と思ったが言わなかった。
ミムジィ
「入場も庶民的な感じでいきたいね」
スバル
「どういう状況を想定してるんだお前」
ミムジィ
「なんだろ……」
ミムジィ
「まあなんか適当でいいでしょ」
ミムジィ
「末裔はコックだね」
ミムジィ
「この国でふくよかなのは珍しいね」
スバル
「あれコックか?」
スバル
ちらりと映った足元に目を留めた。が、深くは触れない。
スバル
「この国じゃ太るってのは大変だからな」
ミムジィ
「そういう心の疵か、努力か……。救世主にずっと仕えてたなら、どうにかなるのかも」
ミムジィ
二人が礼するのを見て。
ミムジィ
「礼儀正しくっていうのもあんまりできそうにないね」
スバル
「礼儀……」
スバル
「おれたちの相手は、どうだろうな」
スバル
ふと思いついたように呟く。
ミムジィ
「いっぱい人殺すのは勘弁してほしいなあ」
ミムジィ
「派手だったりは見てて楽しそうだけど」
スバル
「とりあえず、悪趣味な観客より自分たちのことを心配しろ」
ミムジィ
「うーん? そうなると、なんというか~」
ミムジィ
「ほら、出たとこ勝負だし……」
ミムジィ
「あんまりかわいそうな末裔とか来ると困っちゃうかな」
ミムジィ
「それくらいだよ」
スバル
たとえ困ったところで、やることは変わらない。
ミムジィは変えない。もちろんスバルも。
スバル
「かわいそうな末裔が来たら」
スバル
「かわいそうなほうから潰していくからな、おれは」
ミムジィ
「私の手が鈍るかもしれないから?」
スバル
「いや」
スバル
「そのほうが、あとが楽そうだから」
ミムジィ
「そうかもね」
スバル
「勝たなきゃはじまらん」
ミムジィ
107号室の入場。
ミムジィ
「双子の末裔?」
スバル
「知らねえな……」
スバル
「こっちも派手だな」
ミムジィ
「ノリノリだねえ」
スバル
小うるさいな……という顔をしている。
ミムジィ
「ここまでじゃないけど、見世物というかショーというか」
ミムジィ
「吟遊詩人? みたいなのはスバルは見たこととかないの?」
スバル
「やってるのは見たことある」
スバル
「まともに聞いたことはない」
スバル
さっぱり興味がなかった。
ミムジィ
「何を楽しみに生きてたのさ~」
スバル
「……楽しみ……」 繰り返してから少し黙った。
スバル
「……あんまり考えたことねえな」
ミムジィ
「だいたいむすっとしてるしね」
ミムジィ
「こう、たまには、顔がぱ~っとなるようなことは……」
ミムジィ
「…………想像つかないなぁ」
スバル
「こういう顔だ」
ミムジィ
「そうですねえ」
ミムジィ
「救世主の方もノリノリだ」
ミムジィ
「夢だってさ」
スバル
「夢ねえ」
ミムジィ
「スバルには……」
ミムジィ
ないだろうなあ。
ミムジィ
聞こうとしてやめる。
スバル
夢。
スバル
……いや、ない。
スバル
ないということにした。もうずっと昔。
ミムジィ
「私にもないな」
スバル
「ふうん?」
ミムジィ
「なんかこう、夢って感じじゃないんだよ」
ミムジィ
「一歩一歩地道にやってくだけだからね」
ミムジィ
「遠くにそれが見えてなくても、歩けば近づくものでしょ」
スバル
「道が間違ってなけりゃな」
ミムジィ
救済された堕落の国のことを、思い浮かべることはできない。
ミムジィ
それを想像するには現実を知りすぎている。
ミムジィ
それでも目指すことはできる。
ミムジィ
「あ、でもいいね」
ミムジィ
「この立ち塞がるっていうのは燃えるよ」
スバル
「お前好きだよな、そういう……」
スバル
「燃えるとか燃えないとか」
ミムジィ
「まあだから……遠くの夢より眼の前の敵だね」
ミムジィ
「不意打ちされるよりやりやすいしね!」
スバル
「されるのは嫌だが」
スバル
できるなら一方的に不意打ちしてえな……という空気がありあり。
ミムジィ
それはそう。
ミムジィ
不意打ち、最高~!
ミムジィ
それから、ジャックとエースの役割が決まるのを見る。
ミムジィ
「今回は両方とも逆転だ」
スバル
「へえ……」
スバル
「……あんまり問題はなさそうだな」
スバル
どちらのペアも。それで揉めるようには見えない。
ミムジィ
「うちも逆転しないかな、やっぱり」
スバル
「面倒くさい」
ミムジィ
「まあ」
ミムジィ
「困るところを見たくて言ってるからね」
スバル
「わかってるから余計に面倒くさいんだよ」
ミムジィ
「あはは」
ミムジィ
そのままお茶会へ。
ミムジィ
豪華な食事が並び、『招待』されるのを見る。
スバル
「あれ、あまりにも不意打ち向きじゃねえか?」
ミムジィ
「便利だね」
ミムジィ
「使われるのは、ちょっと勘弁してほしいけど」
ミムジィ
「眠れそうにないな~始まったら」
スバル
「起きてても、あれで呼び出されたら変わんないだろ」
ミムジィ
「そういう問題じゃないんだよ」
ミムジィ
「寝溜めしておかないとね」
スバル
「丸一日か……」
スバル
24時間。
ミムジィ
「まあ、それくらいなら起きてることあるしね」
スバル
「あるな」
ミムジィ
「6ペンスコインの力のお陰ですねえ」
スバル
「救世主様ってのは便利で結構なこった」
ミムジィ
「まったくまったく」
ミムジィ
うんうん。
ミムジィ
皮肉をスルーする。
スバル
「ま、おれもそのおこぼれに預かってるわけだが」
スバル
モニターの向こうの卓上、並ぶ料理の豪華さと。
スバル
それに対して、さしたる感慨も羨望もない自分を思い。
スバル
まあ、救世主ってやつには向いてないな、と結論した。
ミムジィ
「でも、だからこそ」
ミムジィ
「責務があるものだよね」
スバル
「あんなのは」
スバル
「責務というか、呪いだろ」
ミムジィ
「そっちの意味の責務じゃないよ」
ミムジィ
「もっとちゃんとした意味の責務」
スバル
「……おれに、そういうのはわからんよ」
スバル
「自分のことは自分でするしかない」
スバル
「誰かに願っても、頼っても」
スバル
「誰かがそれに応えても」
スバル
「それで、何かが、ずっとどうにかはならない。……ならないと思っている、おれは」
ミムジィ
「そうだね」
ミムジィ
「だからこれは私が勝手に負ってるものだよ」
ミムジィ
「自分が負ったものは自分でどうにかするしかない」
ミムジィ
3年。
ミムジィ
救世主として堕落の国にいれば、何かが募るには十分すぎる。
スバル
「……ばかなやつ」
ミムジィ
――では、少々失礼いたします、お二方。
ミムジィ
――左腕にナイフを握り、右腕を捲くる。
ミムジィ
「……」
ミムジィ
沈黙している。
ミムジィ
普段ならあれこれ騒ぐものが、じっとそれを見ている。
スバル
スバルは、そうして黙ったミムジィをこそ見ている。
スバル
視界の端でだけ、カトラリーに切り分けられていく肉を捉える。
ミムジィ
「いや~、ヒトが入った食事しか食べられないなんて難儀だねえ」
ミムジィ
それから何事もなかったように、普段の調子で話す。
スバル
そうしたところで、なかったことにはならない。
だが、『何事もなかった』かのように。
スバル
「……アレルギーって何?」
ミムジィ
「ある食材とかを食べると具合悪くなる病気みたいなものだよ」
ミムジィ
「この国で亡者アレルギーになったら生きてけないね」
スバル
「へえ……」
ミムジィ
話しながら、視線はソースを追っている。
ミムジィ
血。
ミムジィ
ミムジィの血はりんごジュースの味がする。
ミムジィ
そうなった所以がある。
ミムジィ
4つ。ミムジィの身体に来した瑕疵は、相応の理由とその結果だ。
ミムジィ
「スバルは苦手な食べ物とかある?」
ミムジィ
ない、みたいなことを言うとわかりきった問い。
ミムジィ
あるいはあったとしても、選べるような環境ではないとも。
スバル
「ない」
スバル
予想通りの答え。
スバル
スバルはりんごの味を知らない。オレンジの味を知らない。いちごの味を知らない。
スバル
人喰い三月から採れるワインが、ぶどうの味をいくばくか残しているのは知っている。
スバル
選べるものはない。
ミムジィ
「だよねえ」
ミムジィ
「まあ、こんなふうに」
ミムジィ
「ご飯に困らないっていうのはいいことだね」
スバル
「……おれは落ち着かない」
スバル
「腹が一杯になると、むしろ、なんだか変な気分だ」
ミムジィ
「餓死するよりはいいでしょ」
スバル
「そりゃな」
スバル
「飢えて死ぬやつはいくらでもいる」
ミムジィ
「うん」
ミムジィ
「だからそれはやだなって話」
スバル
「お前にも、コックの末裔がいたらよかったんじゃねえか」
スバル
「あいつら、わりとなんでも食えるようにするから」
ミムジィ
「私がじゃないよ」
ミムジィ
「みんながさ」
スバル
はあ、とため息をひとつ。
スバル
「おれは」
スバル
「お前の話をしてる」
スバル
「……お前はもっと自分のことを考えろよ」
ミムジィ
「救世主はコインの力があるし、そう簡単に餓死しないでしょ」
ミムジィ
「色々便利だからね」
スバル
「救世主様みたいなのがな」
スバル
「そこらの末裔と同じ暮らししたって仕方がない」
スバル
「仕方がないんだよ、お嬢様」
ミムジィ
「うん」
ミムジィ
「仕方がないね」
ミムジィ
「まあ、あいにく、私は聞き分けがなくてね」
ミムジィ
「やるようにやるしかないよ」
スバル
「…………」
スバル
ミムジィ。大人にも子どもにも足りない、愚かな救世主。
スバル
失って失って失って。
もっと得ようとすれば、得られるものもあるだろうに。
ミムジィ
沈黙の間でも、食事会は進む。
ミムジィ
歓談の声、カトラリーの鳴らす音。
スバル
そしてやがては終わる。
スバル
メインの映像は102号室を追う。
スバル
「よく食うもんだ」
ミムジィ
「食べることに疵があるなら」
ミムジィ
「食べなければ癒やされないからね」
スバル
「胃袋の容量も嵩増しされたりするのかね」
ミムジィ
「じゃないかなあ」
ミムジィ
「コインの力を使ったら早く走れるみたいに」
ミムジィ
「いっぱい食べれるようにもなるでしょ」
スバル
末裔によって味が変わる。
漏れ聞こえたその言葉に、軽く目を細める。
スバル
「……さぞいろんなもん食ってる、って感じだな」
ミムジィ
「食べる、ってなると難しいね」
スバル
「ん?」
ミムジィ
「いや、それしか食べれないっていうのに、食うなとも言えないし」
ミムジィ
「もしここじゃないところで会ってたら、どうしてたかなって」
スバル
「なんの力もないときに、そういうのに遭っちまうのは」
スバル
「まあ獣害だな」
ミムジィ
「獣害だねえ」
ミムジィ
「まあ多分、戦ってたろうな」
スバル
「そうかい」
ミムジィ
「まあ~、庶民派の救世主となると」
ミムジィ
「そういうのは考えちゃうね」
スバル
「はいはい……」
ミムジィ
「無差別に殺してる感じはしないけどね」
ミムジィ
「そうだったら、こんな関係にはなってないよ、ソースさんと」
スバル
「単にうまいもんが食いたいだけじゃないのかね……」
ミムジィ
「まあ、わかんないけど」
ミムジィ
「話すことがあったら、色々聞いてみたいねえ」
スバル
「お前、興味を惹かれたものに毎度適当に食いついていくのよしたほうがいいぞ」
ミムジィ
「なんで?」
スバル
「ばかに見える」
ミムジィ
「ばかに見えていいしぃ」
スバル
「訂正する」
スバル
「お前はばかだから、もう少し慎め」
ミムジィ
「ばかでいいしぃ」
スバル
「慎め」 繰り返した。
ミムジィ
「はぁい」

スバル
蓄音機から流れる音楽が、モニター越しにこの部屋にも響く。
スバル
音楽。あまり縁がない。
ミムジィ
「スバルって救世主になりたいと思う?」
スバル
「なんで?」
ミムジィ
「いや、なんかシャノンさんがそう言ってるからさ」
ミムジィ
――ここには、帰りたいと願う救世主や…救世主になりたい末裔といった強い想いが集うと思ってね。
スバル
夢。
スバル
ひと瞬きの間だけ考えて、
スバル
「ぜんぜんなりたくないな……」
ミムジィ
「え~」
スバル
「何が楽しくて、面倒くさいばっかりの『救世主様』になりたがるんだよ」
ミムジィ
「なんか実際の救世主じゃないから、責務はないんじゃなかったっけ。違ったっけ……」
スバル
「責務がなくたって、コイン持ってりゃ火の粉は降ってくるだろ」
スバル
いや、と言ってから思う。
スバル
グリフォンの末裔は、そういう種類がいると知ってさえいれば、見目から明らかに末裔だ。
黙って、昔のように、適当に静かに暮せば案外平和なのかもしれない。
ミムジィ
「残念だなぁ」
ミムジィ
そのようなことを問いただすのではなく、ただそう言う。
スバル
亡者に潰された近所の村の話を聞いても、自分の腹が死ぬほど減っていても。
生きたいと強く思った覚えがない。
スバル
なかった。
スバル
おれは今でも、そのころのように、戻れるだろうか?
ミムジィ
「それじゃあいいことないじゃん、こんなゲームに参加させられてさあ」
ミムジィ
「スバルが救世主の力、ちょっとほしいかもな~、なんて思ってたらさぁ」
ミムジィ
「なんかちょっとはよかったな~って思えたのに」
スバル
「さよか……」
スバル
「悪かったな」
ミムジィ
「悪かったってのも違うでしょ」
ミムジィ
「そうならそうってだけだよ」
ミムジィ
「誰も悪くないよ」
ミムジィ
いやしいて言えばこのホテルが悪い!
ミムジィ
ホテルめ!
スバル
違わないよ、ミムジィ。
おれは、お前がそう思うのに、悪いと思っている。
スバル
言わない。
ミムジィ
ホテルめ~~
スバル
「誰にでも夢があるとか」
スバル
「そういうのって、夢を見てる余裕があるやつの言葉だよな……」
ミムジィ
「ほんとそう」
ミムジィ
「『夢を見てるのは君なんじゃないかい』」
ミムジィ
そうだなあ、と思う。
スバル
「どうせこの国でも、救世主様らしく上澄みを啜って来たんだろう」
ミムジィ
「結構なことですねえ」
スバル
「まったくだ」
ミムジィ
「退屈なんだろうな」
ミムジィ
「退屈で、何をすればいいかわかんなくて、そんな感じの救世主」
ミムジィ
「いっぱい見てきたよ」
スバル
「……退屈を自分で始末できないやつが力を持ってると、ろくなことにならねえな」
ミムジィ
「ごもっともで」
ミムジィ
役割に囚われている救世主シニと、役割を手放している救世主シャノン。
ミムジィ
ただいたずらに役割から外れれば、迷うのは当然だろう。
スバル
「何をすればいいかわからないとき」
スバル
「ただ生きてるのは、…………」
スバル
言いかけてやめた。
ミムジィ
「……」
ミムジィ
シャノンが駆け出すのを見ている。
ミムジィ
その表情を見る。
ミムジィ
何事もふわりふわりと受け流すようなシャノンを走らせるもの。
ミムジィ
焦燥、心配、そして嗜虐心。
ミムジィ
相反する感情。
ミムジィ
「生きるのって大変だねえ」
スバル
「そうだな」
ミムジィ
何かのために急ぐこと。駆けつけること。
ミムジィ
「私が招待状でどっかに招かれたら」
ミムジィ
「スバルは駆けつけてくれる?」
スバル
「は?」
スバル
「……………………」 少し黙り、
スバル
「……まあな」
スバル
どこか嫌そうに、ぽつりと。
ミムジィ
「それは」
ミムジィ
「よかった」
スバル
「聞くな、そういうことは」
ミムジィ
「私は聞けてよかったよ」
スバル
「……おれが急に消えても」
スバル
「走り出すのは、準備万端整えてからにしとけよ」
ミムジィ
「私はいつだって準備万端ですけど~?」
スバル
「……ミムジィ」
スバル
「動揺するなよ」
ミムジィ
「……うん」
スバル
安心はさせてやれない。どうしたって末裔の身だ。
スバル
だから、ただそう言うしかない。
ミムジィ
ミムジィ
展示室。
ミムジィ
「前に見て回ったけどさあ」
ミムジィ
「すごい部屋だよね」
ミムジィ
「見知った救世主もいてびっくりしちゃった。いなくなったと思ったら」
スバル
「このホテルの趣味が最悪だっつうのがよくわかる」
ミムジィ
「本当にねえ」
スバル
「……意識があるって話だよな、だって、あれ」
ミムジィ
「らしいね」
ミムジィ
「座られてるってわかるんだろうな」
スバル
「だろうなあ」
ミムジィ
「退屈しそうだな~」
スバル
「退屈で済めばいいがね……」
ミムジィ
「向き不向きがありそう。石像」
スバル
「向いてても向いてなくても嬉しかないな」
ミムジィ
「まあならないにこしたことはないね」
スバル
「なりたいやつはいないだろ、普通は」
ミムジィ
「そうだねえ」
ミムジィ
決定的な話をお互いに避けている。
ミムジィ
「やっぱり、シニさんとソースさんには信頼があるんだねえ」
スバル
「食事をぜんぶ任せるっていうのがまずな」
スバル
「コックってのは、一服盛ろうと思えば、一番ラクな位置だ」
ミムジィ
「そうだね」
ミムジィ
食についてミムジィができることはそうない。
ミムジィ
そういう点では、毒を盛られるかもしれないという可能性自体を、基本的に放棄していると言ってもいい。
ミムジィ
できるだけ市場のものを購入したり、自分で狩ったものを食べるようにしたり。
ミムジィ
それくらいの警戒をするに留まっている。
スバル
スバルはスバルで、一般的な末裔なりに、亡者の毒抜きやらをできることはできる。
あくまでも一般的な範疇で。
スバル
ただ、何も言わずに、同じ食事に、ミムジィよりも先に手を付けることが多い。
スバル
できるだけ。
ミムジィ
「自分で自分の味見っていうのも、プロ意識だねえ」
スバル
「……ただやっぱ、あいつ、コックって色じゃねえんだよなあ……」
スバル
コックどもは、基本的にもっと地味だ。色が。
ミムジィ
「だよね」
スバル
「まあ、……そういうこったろうな」
ミムジィ
――“代用ウミガメの”肉を。
ミムジィ
「あー、代用ウミガメかぁ」
スバル
「あいつら、数少ねえらしいからな……」
スバル
理由は言わずもがな。
ミムジィ
それから調理場で嘔吐するシニ。それに駆けつけるソースの姿。
スバル
「信頼」
スバル
呟く。
ミムジィ
「そうだねえ」
ミムジィ
二人のやり取りを見ている。
ミムジィ
「……やっぱりこのホテル、良くないよ」
スバル
「今更」
スバル
「良くないどころか」
スバル
「最悪だ」
ミムジィ
「どうにか潰せないのかなあ」
スバル
「さあ」
スバル
「少なくとも、お前の枚数じゃ無理だろうな」
ミムジィ
「無力だなあ」
ミムジィ
「……無力だ」
スバル
「……大概のやつに、力なんてない」
スバル
「この世界じゃ、コインがあって、だからいろんなやつに力があるように見えるが」
スバル
「そんなもんは外付けだよ」
ミムジィ
「そうだね」
スバル
「……そうなんだよ」
ミムジィ
「でもそんなことは知ってたよ」
ミムジィ
「ずっとね」
スバル
「だろうな」
スバル
「……ミムジィ。どうしようもない」
ミムジィ
「それでも私は戦ってきたし」
ミムジィ
「諦めるつもりはないよ」
ミムジィ
「無力なのはずっとそうで」
ミムジィ
「それでもずっと戦ってきたんだから」
スバル
無力。スバルとて身に沁みている。
スバル
何もかも足りない。
スバル
それでも、手を離せないもの。
スバル
「ばかだな」
ミムジィ
「ずっとばかだからね」
スバル
ふ、と息をつく。
スバル
「ほんとうにな」
ミムジィ
ミムジィ
倉庫。
ミムジィ
「……」
スバル
「…………」
ミムジィ
「え? 何でも出るってそんなものも出るの?」
スバル
わりと引いてる。
ミムジィ
「さっきまでのシニさんとソースさんとのいい感じのあれは一体!?」
スバル
「さあ……」
ミムジィ
「着々と準備が進んでいく……」
スバル
板、釘、……なんだろうあれ。
スバル
密封していっているのはわかる。
ミムジィ
「まあ…………」
ミムジィ
「でも…………」
ミムジィ
「殺し合うわけだし……」
ミムジィ
「今さら酷いもなにもない……か……?」
スバル
「……ノーコメント」
スバル
肩をすくめた。
ミムジィ
「ああっシャノンさんが」
ミムジィ
「もうだめだ……」
スバル
こいつ、結構軽いノリだな……。
スバル
重々しく恥じ入られても困るが……。
ミムジィ
「毒こわいな~」
スバル
「わりと、対策しようもないしな」
ミムジィ
「水パイプ抱えておくしかない……!」
ミムジィ
「……」
ミムジィ
「別に私はそんなに疵つかない気がするな」
ミムジィ
そんなことないか? どうだろうな……。
スバル
ちら、と見た。
ミムジィ
特段気にすることなく、そのまま画面を眺めている。
ミムジィ
「毒だったら普通に内臓壊すほうが困る」
ミムジィ
「そういう亡者と戦ってさ~大変だったんだよ~」
スバル
「大変で済んでよかったな」
ミムジィ
「起きたのが20日後でさ」
ミムジィ
「全快しないまま救世主探すことになったんだよ」
スバル
「そりゃよく生きてたな……」
ミムジィ
「運良く崖から落ちてね」
ミムジィ
「末裔に拾われなかったら終わってたなあ」
スバル
「お前、本当によく今まで生きてたよ」
ミムジィ
「ほんとにね!」
スバル
「ああいうタイプの身の危険は?」 顎でモニターを示した。
ミムジィ
「あるよ~」
スバル
「……の割に、そんなに疵つかない気がするとか言うんだな」
ミムジィ
「ん~」
ミムジィ
「うん、まあ」
ミムジィ
お茶を啜る。
ミムジィ
「実際されたらわからないけどね」
スバル
「そういうときは」
スバル
「疵つくかもしれないと思っとけ」
ミムジィ
「はあい」
スバル
「……本当にわかってるんだろうな、お前……」
ミムジィ
「わかってるよ」
ミムジィ
「前は、無防備なところを、大した攻撃されなくてよかった」
ミムジィ
「そんな感じだったからね」
ミムジィ
「だからやっぱり、そういう毒ならまだマシかなってだけ」
スバル
「…………」
ミムジィ
「あー、いよいよだめだねえシャノンさん」
スバル
「もうまともに動けないな、あれは」
ミムジィ
1時間後。
ミムジィ
「あーあ、転送されちゃった」
スバル
「あー……」
ミムジィ
「やっぱこれ寝てらんないよ」
スバル
「……だなあ……」
ミムジィ
「あーー」
ミムジィ
「あーあ」
ミムジィ
「あー」
スバル
あーあー言うミムジィを見ている。
スバル
「102号室は離れてったな」
ミムジィ
「ここまでセッティングしたらゆっくり休めそうだね」
ミムジィ
「私たちもそろそろ休んだほうがいいか」
スバル
「ま……今夜これ以上は動かないだろうしな」
スバル
片方は、動けないだろうし。
ミムジィ
「ホテルマンさんに動向あったら起こしてもらおっか」
スバル
「そうするか」
スバル
二人とも、ノックひとつで起きるのだ。起きそこなうということはない。
ミムジィ
ホテルマンにそのような旨の電話をし。
ミムジィ
「よし、じゃあ、寝るか~」
ミムジィ
寝支度をする。
スバル
大した支度でもない。お互いに。
ミムジィ
特段毎日シャワーを浴びないと気がすまないわけでもないし、
ミムジィ
寝間着に着替えるわけでもない。
ミムジィ
せいぜいを口を洗うくらいだ。
スバル
口をゆすぎ、ついでなので顔を洗って。
スバル
「おやすみ」
ミムジィ
「はーい、おやすみ」
スバル
そうして部屋の明かりとともに、モニターも消した。
ミムジィ
ミムジィ
早朝。
ミムジィ
3人があの倉庫を脱して、シャワーを浴びているのを、ベッドでゴロゴロしたまま眺めている。
スバル
「水、……いや、お前は茶か?」 もう普段どおりに動いている。
ミムジィ
「あ、お水で」
ミムジィ
「人のシャワー眺めてる時間、何?」
スバル
「知らねえよ」
スバル
「あれのあとに水でも湯でも浴びたくなるのはわかる気がするが」
スバル
「それはそれとして、ああまでされたわりに呑気だなとも思うね」
ミムジィ
「相手が招待状もう使い切ってるからね」
スバル
「部屋の水場使ってる方はともかくなあ……」
ミムジィ
「気分転換も重要だと思うよ」
ミムジィ
「心の戦いだからね」
スバル
「転換になりゃいいけど」
スバル
「ほら、起きろ」 グラスの水を片手に。
ミムジィ
「はーい」
ミムジィ
飛び起きる。
ミムジィ
「ありがと」
ミムジィ
ぐっぐっ、と飲み干す。
ミムジィ
「ふー」
ミムジィ
しばらくして、ソースが転送されるのをみる。
ミムジィ
「うわぁ」
ミムジィ
「まあ、あれやったらこうなる、かぁ」
スバル
「なんだったっけか。目には目を?」
ミムジィ
「そうそう。拷問には拷問をってことかな」
スバル
塩だか砂糖だか、白い粉。黒い粒は胡椒。
スバル
シャボンの泡とともに並べられていく末裔の名。
スバル
堕落の国で、それなりに見ることができるものはすべて。
ミムジィ
「生きるのって大変だねえ」
スバル
「大変じゃないところなんてあるのかよ」
ミムジィ
「ううん」
ミムジィ
「なんかしみじみとそう思ったってだけ」
スバル
「……そう」
ミムジィ
「スバルは他の末裔を食べないと生きていけないことになったらどうする?」
ミムジィ
「食べる?」
スバル
「…………」 考えるふうにする。
スバル
「たぶん食える」
ミムジィ
「私も食べれる」
スバル
ソースがああして吐いたのは、縛めのせいか、罪悪感のせいか。
スバル
食って生きること。
ミムジィ
「救世主が救世主を殺さないと生きていけないのだってそうだからねえ」
ミムジィ
「私も、来たばっかりで、右も左もわからないような子」
ミムジィ
「殺したことあるし」
スバル
……覚えているんだな、そういうこと。
スバル
そう思ったが言わなかった。
スバル
どうでもいいひとつとして埋もれさせずに、個別のものとして。
ミムジィ
「まあだから、頑張らないとだねえ」
スバル
「だから、ってわけでもなく頑張れよ」
ミムジィ
「だから頑張るんだよ」
ミムジィ
少なくとも私はそうだ。
スバル
こいつは食って、いつかはそのせいで吐くほうだな。
スバル
「……さよか」
スバル
どすんと落ちたソースを見る。
スバル
生きててよかったねえ。死なずにいてえらいねえ。
ミムジィ
「……」
スバル
「…………」 声はかけない。
ミムジィ
ミムジィ
客室。準備をするシニとソース。
ミムジィ
――ここに戻ってこない可能性は0ではないだろう。
ミムジィ
「なるほどなあ!」
ミムジィ
「また来ればいいんだ」
スバル
「は?」
スバル
「お前……いや……ばかだとは思ってたけどよ」
ミムジィ
「?」
ミムジィ
「いや、私の身体は正直結構ギリギリだしさ」
ミムジィ
「戻ったらリセットされるだろうし」
ミムジィ
「また戻ってくるっていうのはかなりいいね」
スバル
「ばかすぎる……」
ミムジィ
「全然思いもよらなかったな~」
スバル
「帰ったら、こんなところのことは夢だったと思えよ」
スバル
「戻ってくんな、わざわざ」
ミムジィ
「なんでそんなこというの」
スバル
「お前一人いても、堕落の国なんてもんは変わらねえからだよ」
ミムジィ
「え、スバルがいるじゃん」
ミムジィ
「救世主の力を持った末裔だよ?」
ミムジィ
「これほど頼もしいことはないね」
スバル
果てしなく深い溜息。
スバル
「……頼りにしてくださって光栄だよ、お嬢様……」
スバル
「本当にばかなお嬢様で苦労する」
ミムジィ
「ご苦労をおかけしますねえ」
スバル
再び、深い溜息。
ミムジィ
ミムジィ
裁判前。
ミムジィ
24時間のお茶会が終わり、再びの入場。
ミムジィ
「あっシニさん、女の人だったんだ」
ミムジィ
「きれいな人だなーって思ってたけど」
スバル
あんまりそういうところに興味がない。
ミムジィ
ミムジィはとりあえず何でも口にする。
ミムジィ
「同じように入場するだけでも、24時間のお茶会を見た後だと」
ミムジィ
「ぜんぜん違う人に見えるというか、なんというかだねえ」
ミムジィ
「お茶会して、裁判すると、まあ、そういうことを思う」
ミムジィ
「観戦してても変わらないか……」
スバル
「知ったってこったな」
ミムジィ
「そうだね」
スバル
「知るし、お茶会のさなかに変わるものもある」
スバル
面倒なことに、と言い添えた。
ミムジィ
「嫌?」
スバル
軽く顔を顰める。
ミムジィ
「私は辛いと思う」
ミムジィ
「けど、それでいいと思う」
スバル
「どっちの変わるのが辛いんだ」
ミムジィ
「相手が思ってたよりいいやつだって思ったり――」
ミムジィ
「やなやつなりに頑張ってるんだなあとか思うのもだし――」
ミムジィ
「そういうのはやっぱり堪えるよ」
スバル
「……そう」
スバル
画面に目を戻す。派手なパフォーマンスは変わらない。
スバル
「おれは」
スバル
「自分が、思ってた自分とは違うやつになっちまう瞬間ってのが……」
スバル
「めちゃめちゃに嫌いだね」
ミムジィ
「へえ、スバルが?」
スバル
「心底嫌だった」
ミムジィ
「ふうん……」
ミムジィ
置かれたままだったクッキーをかじる。
スバル
息をつきながら、こちらも珍しくクッキーに手を付ける。
ミムジィ
「あはは、グリフォンの末裔の翼がずるいって」
スバル
「ずるいとか言われてもな……」
スバル
クッキーをひとくち。甘い。
ミムジィ
お茶を注ぐ。いつの間にか温められている。
ミムジィ
ホテルマンのシンクがやったことだろう。
ミムジィ
「はい」
スバル
「ん」
スバル
雑な所作。
スバル
粗野という感はない。ただ、なんとなし、雑。
ミムジィ
寛ぎながら、裁判に至るのを見る。
スバル
シャボンとカトラリーがくうを舞うさま。
スバル
湧いた黒雲に、降り出す雨。
スバル
「やることなすこと派手なこった」
ミムジィ
「華やかでいいね!」
ミムジィ
「それに比べて私たちの地味さよ」
スバル
「地味で困らないだろ……」
ミムジィ
「そうでもないんだよ」
ミムジィ
「こう、やっぱり華やかでかっこいい救世主のほうがさぁ」
ミムジィ
「末裔は安心してくれたりするんだよ」
ミムジィ
「私が大丈夫! って言っても全然信じてもらえないんだから」
スバル
「華やかでかっこいいねえ」
スバル
華やか。まあわかる。かっこいい。よくわからないな。
スバル
「憧れ、みたいなもん?」
ミムジィ
「憧れではないよ」
ミムジィ
「救世主が来たからもう大丈夫だな~って思ってほしいだけ」
ミムジィ
「ま、結局力の大小は6ペンスコインで決まるから、子供だましだけどね」
スバル
「もう大丈夫……」
スバル
「救世主って、そういうばっかりじゃないだろ」
スバル
「場所によっちゃ、厄介の種扱いだ」
スバル
「華やかなら華やかなりに、目立つしな」
ミムジィ
「まあ~たしかに」
ミムジィ
「何にしたって、剣で地道にやってくしかないね」
スバル
「……あと3回、な」
ミムジィ
「そーだねえ」
ミムジィ
「どっちも巧みな戦い方をするねぇ。なかなか戦況が進まない」
スバル
「見た目派手なくせに、堅いな」
スバル
しばらく、繰り広げられる華やかな応酬を見つつ。
スバル
雨のしずくの間を埋めるように、数多のフォークが降り落ちるさまに。
スバル
「うわ」
ミムジィ
「これは……」
ミムジィ
「通った」
ミムジィ
フォークは牽制。尖ったヒールでシャノンに鋭く蹴り込む。
スバル
まっすぐに鳩尾。急所のど真ん中。
スバル
――私は君たちの夢を、肯定する
スバル
言い残して意識を失っていく。
ミムジィ
「……」
スバル
夢。
スバル
末裔には二種類いいる。
スバル
夢を見る者、見ない者。
スバル
希望を信じるか。そうでないか。
スバル
救世主にはどうだろうか。
ミムジィ
夢。
ミムジィ
希望。
ミムジィ
その儚さを知るからこそ、その尊さを思う。
ミムジィ
それが得難いからこそ阻もうとする。
ミムジィ
ミムジィは夢に駆られる救世主ではない。
ミムジィ
夢を与える救世主であろうとする。
ミムジィ
「やられちゃったねえ」
ミムジィ
「これはキツいね」
スバル
「……壁役がいるからな。突破するのも難しい」
ミムジィ
「まあ、それでも諦めないか」
ミムジィ
「よっぽどの勢いで攻めないとだね」
スバル
やがて語られだす、嘘か本当かわからない双子の物語。
スバル
不運。不幸。
スバル
厄介の種……どころか。災厄の種だ。
スバル
とはいえそれも、言っちゃなんだがよくある話。
スバル
あるいはそれを、悪夢とでも呼ぶべきか。
ミムジィ
「……」
ミムジィ
「そっかあ、それは」
ミムジィ
「大変だったねえ」
ミムジィ
その言葉に示すのは同情。
スバル
「…………」
スバル
「ま」
スバル
「大変だな」
スバル
投げ出すような声。
ミムジィ
「でも、このまま勝敗決まっちゃうかなあ。上手く粘ってるけど……」
ミムジィ
攻撃を通す隙がない。攻撃しても防がれる。
ミムジィ
心の疵の力を開放した連続攻撃は、たしかに二人を傷つけたが……。
ミムジィ
止めには至らなかった。
スバル
さあな、と言いかけたところで。
スバル
それまでの動きに関わりなく、口元を押さえるシニの姿。
スバル
「……あれは、」
スバル
口から溢れる、みどりいろ。
ミムジィ
「毒だ」
ミムジィ
――やったらやり返されるんだよ。
ミムジィ
シニがシャノンに言った言葉を思い出す。
ミムジィ
毒はシニの取り扱いの一つだったが、今はその心身を焼いている。
ミムジィ
続く攻防。シニが決定打を与えられないまま、その毒が身体を蝕んでいく。
ミムジィ
そして、倒れる。
ミムジィ
「……やっぱり、身体を壊す毒のほうがこわいよ」
スバル
「…………」
スバル
シニ以外の何も目に入らなくなったふうの、ソースを見。
スバル
もしもを思ってくちびるを結ぶ。
スバル
「……できるだけ、……まあ、頑張りはするが」
スバル
ミムジィがまっすぐに敵へ向かう、そのためにいるのがスバルだ。
ミムジィ
「さっさとカタをつけたいねえ!!」
スバル
「そうだな」
スバル
たくさんの言葉を飲み込む。
ミムジィ
亡者と化すのを、殺すことが選択されるのを見る。
ミムジィ
モニターの向こう側で、話したこともない人達。
ミムジィ
それでも思うのは一つ。
ミムジィ
助けられなかったな。
スバル
きっとこの救世主様が思っているのは、
スバル
助けられなかった、とかそんなこと。
スバル
いいんだよ。
スバル
お前には、疵つく必要もないし。
スバル
お前が疵つかなければ、ただそれで。
スバル
それだけで。