GM
蝶々が呼ぶのはだあれ?
つらく、かなしく、せつないあなた。
GM
蝶々が呼ぶのはだあれ?
ここにもどこにもいたくない、遠くへいきたい、そんなひと。
GM
あの花苑で、願いは叶う。
あの花びらに、祈りは宿る。
GM
ブラッドムーン / ギルティウィッチーズ 『蝶の舞う』
GM
さあさあ、みんな、寄っといで。
紅い蝶々が呼んでるよ。
GM
GM
【導入フェイズ : 惨殺シーン】
***
蝶。
***
ひらひら、はらはら。
***
紅い蝶が踊る。夜の中。
GM
それを追いかける女が一人。
GM
街灯のスポットライトを辿るように。
蝶に伸べる手は舞うように。
GM
あちらへ、こちらへ、そちらへ……どちらへ?
***
おいで、おいで。こちらへおいで。
***
なぁんにも考えなくて、だいじょうぶ。
GM
そして、酔ったような足取りが向かう先。
GM
視界がひらける。
GM
一面に咲く白い花。
GM
淡く輝くような花びらに、昼夜の別さえ曖昧になる。
GM
甘く、それでいてわずかに青いような匂い。
GM
足を踏み入れる。
***
ここはどこだろう。
***
町の中にいたはずなのに。
こんなに広い花苑が、あるはずもないのに。
GM
そうして、やがて、女の視線の先に。
***
振り返る、誰か。
***
その足元に、花びらが散る。
GM
「……誰……?」
***
答えはなく。
***
「あなたは、とってもきれいねえ」
***
「この世界で暮らしているのは、辛くはなあい?」
***
「きれいなものが、きれいなだけではいけない世界は、たいへんじゃなあい?」
***
ただ、そう、連なっていく言葉。
***
そして、手が差し出される。
***
「きれいなものは、きれいなだけで、いいじゃない」
***
「わたしと一緒においでなさいな。連れていってあげる」
***
「わたしのきれいなお花になって。わたしのやすらげる、花びらのゆりかごに」
GM
例えば。こんな時間まで詰め込まれた仕事だとか。
GM
例えば。これから帰れば待っている、一人きりの素っ気ない部屋だとか。
GM
例えば。繰り返していく、明日と明後日と明々後日だとか。
GM
そういうものがぼんやりと頭をよぎって、それから、紅茶にミルクの溶け入っていくように掻き消える。
GM
差し伸べられた手が、とても、とっても、魅力的に見えて。
GM
そうして女は、その手を取る。
GM
――そして、何処とも知れぬ花苑の向こうへと、消えていった。
GM
GM
では、個別の導入シーンに入っていきます。
GM
こちらで順番に指名していきます。
GM
【導入フェイズ : 小比類巻 阿太郎】
GM
では、簡単に自己紹介していただいてから実際のシーンを始めようと思います。
小比類巻 阿太郎
はい。
小比類巻 阿太郎
小比類巻阿太郎です。
小比類巻 阿太郎
こひるいまき・あたろう ものすごい名前でしょ
小比類巻 阿太郎
生物教師をやっています まあ… つつがなく
小比類巻 阿太郎
悩みも特になく、忙しく当たり前の毎日を送っています。
小比類巻 阿太郎
……生徒が授業にあんまり熱心じゃないのが気になるぐらいかな?
小比類巻 阿太郎
幸福と背徳の話もするか。
小比類巻 阿太郎
幸福は『黒羽あまね』──卒業した生徒です。
小比類巻 阿太郎
生物部の顧問をやっているのですが、その時に所属していた子ですね。
小比類巻 阿太郎
彼女はそういえば熱心に話を聞いてくれたな。今もちょくちょく連絡を取り合ってます。
小比類巻 阿太郎
背徳『死体愛好』
小比類巻 阿太郎
……子供のころから、生きてるものより死んでるものの方が好きでね。
小比類巻 阿太郎
あ、もちろん、殺して死体を作りたいとか、そんなことは考えていませんよ。
小比類巻 阿太郎
写真を見るのにとどめています。……それでも、褒められた趣味ではありませんけどね。
小比類巻 阿太郎
でも、写真ではなくて、実物を見られたら──
小比類巻 阿太郎
そう思うことがないと言えば、嘘になります。
小比類巻 阿太郎
以上です。
GM
ありがとうございます。
GM
では、そうですね。あまねとお話をしましょうか。
GM
普段会うんですか?電話?
小比類巻 阿太郎
LINEかな。
小比類巻 阿太郎
頻繁にやり取りをしているってわけでもないけど。
GM
じゃあ、そうだな。
GM
あなたは昨日あまねから、今日、通話するのに都合のいい時間を聞かれました。
GM
あなたの高校の、今年の受験生に、あまねのいる大学が第一志望の子がいて。
大学の話とか。見学に行けるかどうかとか。そういう話をしたいそうです。
GM
そうしたら、通話のほうが楽でいい、とのこと。
小比類巻 阿太郎
うんうん。
小比類巻 阿太郎
仕事終わった後に通話ってことで……けっこう遅い時間だけど……
黒羽 あまね
今どきの大学生だから大丈夫ですよ。
小比類巻 阿太郎
恐れ入ります。
黒羽 あまね
「もしもし、あたろーちゃん?」
小比類巻 阿太郎
「もしもし。久しぶり」
黒羽 あまね
「声聞くの久しぶりですね。元気でした?」
小比類巻 阿太郎
「うん、こっちはまあ、いつも通り……黒羽さんはどう?」
黒羽 あまね
「元気ですよ。前期フル単でしたし」
小比類巻 阿太郎
「楽しいかい」
黒羽 あまね
「ん~、まあまあ、楽しいです」
小比類巻 阿太郎
「まあまあかあ」
小比類巻 阿太郎
黒羽さんは高校の頃から真面目だったからなあ。
黒羽 あまね
生物部でも部長をしてました。
小比類巻 阿太郎
今もこうやって後輩の面倒を見ている。
小比類巻 阿太郎
「さて、それで──見学の話だったかな」
黒羽 あまね
「えっと、そうですね」
黒羽 あまね
「オープンキャンパスとかじゃないときでも、授業さえなかったら見学させてあげられますよ」
黒羽 あまね
「うちの大学、出入りはゆるいので」
小比類巻 阿太郎
「ありがとう」
黒羽 あまね
「土曜なら、授業もぐらせてあげてもいいですけどね」
小比類巻 阿太郎
「それは~……まあまあ……」
小比類巻 阿太郎
少し言葉を濁す。
小比類巻 阿太郎
大教室の大人数講義なら、出席も取られないし問題ないと言えばないんだろうけど。
小比類巻 阿太郎
それを教員が頼むのはちょっと気が引けるなあ。
小比類巻 阿太郎
「こっそり、いけそうならね。秘密にしないとね」
黒羽 あまね
ふふふ、と笑う声。
小比類巻 阿太郎
「助かるよ」
小比類巻 阿太郎
「彼女も喜ぶと思う」
黒羽 あまね
「受験、大変ですからね~」
黒羽 あまね
「わたし、お正月以外に神頼みしたの初めてでしたよ」
小比類巻 阿太郎
「黒羽さんは成績的には問題なかったけどね」
小比類巻 阿太郎
「どれだけ勉強しても、やっぱり不安だよな。一発勝負だもの」
黒羽 あまね
「そうですね」
黒羽 あまね
「受験落ちる夢とか見ましたもん~」
小比類巻 阿太郎
「わかるわかる。オレも見た」
小比類巻 阿太郎
「センターのマーク一個ずれてた夢とか」
黒羽 あまね
「ああっ、やだ~!」
小比類巻 阿太郎
「起きた時汗びっしょりだった」
黒羽 あまね
「でもほら、最近は、神頼みじゃなくてもあるじゃないですか」
黒羽 あまね
「紅い蝶々の噂」
黒羽 あまね
「お願いごとの叶う場所に連れてってくれるってやつ」
小比類巻 阿太郎
「ああ……」
小比類巻 阿太郎
生徒から聞いたことはある。
小比類巻 阿太郎
「紅い蝶か……どこかから逃げたのかなあ」
黒羽 あまね
「どうなんでしょうね?誰かが飼ってたのかな」
小比類巻 阿太郎
「それにしても、この辺では生きていけないと思うけど……」
黒羽 あまね
「生きていけないかあ……」
黒羽 あまね
「でも、蝶々についていったら願い事が叶うのって、いいですよね~。うらやましい……」
GM
それは、なんとなく。単に噂、というよりは……身近な、運のいい人の話、みたいな。
GM
疑いなくそれを信じている様子。
小比類巻 阿太郎
「はは……」
小比類巻 阿太郎
「そうだねえ、そんなうまい話があったら……」
小比類巻 阿太郎
願い事、と頭の中で反芻する。
小比類巻 阿太郎
「黒羽さんには、何か叶えたいことが?」
黒羽 あまね
「えっ、……ふふ」
黒羽 あまね
「秘密ですよ」
小比類巻 阿太郎
自分の願い事は、叶えることは現実的じゃない。
黒羽 あまね
「でも最近いっぱいいるらしいですよ」
小比類巻 阿太郎
叶えたいとも思えないような願い事だ。
黒羽 あまね
「蝶々、見つけた人」
小比類巻 阿太郎
でも彼女は若いし、これからの人生にいくらでも展望はあるだろうから。
小比類巻 阿太郎
願い事の一つや二つはあるだろう。
小比類巻 阿太郎
「いっぱい?」
黒羽 あまね
「いっぱい。ネットに写真とか上がってましたし」
小比類巻 阿太郎
「写真」
小比類巻 阿太郎
「それは知らなかった」
黒羽 あまね
「綺麗でしたよ」
小比類巻 阿太郎
「願い云々はともかく、その蝶々は見てたいな」
小比類巻 阿太郎
「写真を見れば何の蝶か調べられるし」
小比類巻 阿太郎
「まあ、ちゃんとした名前が分かったら、それはそれで夢のない話かもしれないけど……」
GM
あなたにとっては、その程度。
ただ、少しばかり珍しい蝶々と、そこに紐付いた他愛ない噂話。
GM
けれども。
黒羽 あまね
「じゃあ」
黒羽 あまね
「今度、蝶々探し、手伝ってくださいね」
小比類巻 阿太郎
「おっ。けっこう、乗り気だね」
黒羽 あまね
「お願い事、叶えたいですからね」
GM
あまねは、ごく真面目にそう言う。
小比類巻 阿太郎
わずかな違和感。
小比類巻 阿太郎
でも、大した違和感じゃない。
小比類巻 阿太郎
「分かった、今度」
黒羽 あまね
「ふふ。……今度、部にも顔出します」
小比類巻 阿太郎
「本当かい? みんな喜ぶよ」
黒羽 あまね
「来週とか、どっか……」
小比類巻 阿太郎
「予定、分かったら教えてくれ」
黒羽 あまね
「はーい」
小比類巻 阿太郎
「ほら、けっこうゆるい部だから、あんま人揃わないからね」
黒羽 あまね
「確かに」
GM
それから、いくつか、当初の本題について実際のところの話をして。
GM
少しばかりの雑談も重なりつつ。
黒羽 あまね
「じゃあ、あたろーちゃん、また来週」
小比類巻 阿太郎
「うん、また来週。ありがとう、黒羽さん」
黒羽 あまね
「どういたしまして~」
GM
かろやかな声を最後に、通話が切れる。
GM
ちょっぴりだけの違和感を残して。
小比類巻 阿太郎
真面目で、生物の授業も熱心に聞いてくれて。
小比類巻 阿太郎
そんな彼女が、『願いの叶う蝶々』の話なんて。
小比類巻 阿太郎
けっこう本気で信じていそうな空気が不思議だった。
小比類巻 阿太郎
でも、そういうこともあるだろう…と、自分を軽く納得させられない程度のことではない。
小比類巻 阿太郎
通話が切れて、最初にやったことは、ネットで噂の蝶々の写真を探すことだった。
GM
比較的あっさり見つかりますね。
GM
ただ、素人写真ばかりなので。
GM
どの種類、とかは判別のつかないようなものばっかり。
小比類巻 阿太郎
最近のスマホのカメラは性能がいいから、素人写真でもすぐに分かるんじゃないかなと思ったけれど甘かったらしい。
GM
翅とか、かなりぶれぶれ。
小比類巻 阿太郎
いくら写真を撮るのが下手だからって、こんなにぶれるものだろうか?
GM
逆に、なんか透けてたり……
小比類巻 阿太郎
フェイクの加工写真っぽいな~と思ったけど、それにしては馴染んでいる。
小比類巻 阿太郎
結論としては、分からない!
小比類巻 阿太郎
いかがでしたか?
小比類巻 阿太郎
精細な写真を探すのをあきらめて、部屋の壁に目を向ける。
小比類巻 阿太郎
壁には蝶々をピン止めした、標本がかかっている。
小比類巻 阿太郎
赤い蝶をいくつか見て、そのどれもに似ていないな、とちらと思う。
小比類巻 阿太郎
……まあ、実物を見れば分かるかな。
小比類巻 阿太郎
『みんなも喜ぶ』なんて言ったけど、自分も黒羽さんと顔を合わせるのは楽しみだ。
小比類巻 阿太郎
教師としてあるまじきだが、彼女はいちばん熱心に授業を聞いてくれたし、今もこうしてたまに連絡を取ってくれるから。
小比類巻 阿太郎
彼女が就職したり、彼氏でもできたら変わるだろうけど……
小比類巻 阿太郎
今はこうやって、ふつうに彼女に会うのを楽しんでいたい。
小比類巻 阿太郎
叶えたい願いもない。これが自分の何でもない、幸せな日常だった。
GM
あなたはまだ何も知らない。
GM
ただ、蝶々の噂のことだけが、小さく頭の片隅に残った。
GM
GM
【導入フェイズ : 足芝 木槿】
GM
では、木槿さんにも自己紹介してもらいましょう。
足芝 木槿
はーい。
足芝 木槿
足芝木槿(あしば むくげ)。25歳。
足芝 木槿
むくげっていうのは花の名前。
足芝 木槿
なんかふわふわした夏の花。
足芝 木槿
職業は……まあ、フリーターだな。
足芝 木槿
一年の半分くらいは街で働いて、あとの半分はつつまーしく山暮らし。
畑できゅうりとか芋とか作ってる。
足芝 木槿
まあ、学もないしツテもないし、
あんまりまともな職業ってわけにはいかないんだよな。
半年でやめて、半年ぶりに帰ってきてもなんにも言われない職を転々と。
足芝 木槿
最近はなんか……飯運ぶやつとかもあるしね。いいよね。
足芝 木槿
で、幸福と背徳……? これ俺自分で言うのやだな……
足芝 木槿
幸福『失った平穏』
足芝 木槿
ひとりで山に住んでる。
二十歳のときに地元が……
まあ、いろいろあって人がいなくなって……。
足芝 木槿
クソ田舎だが離れられなかった。
足芝 木槿
役所のおっさんらにゃはやく出てけって言われるけど、本籍があるからね。
堂々居座ってるってわけ。
足芝 木槿
ひとりってのはいいよ、ほんと気楽で。
足芝 木槿
背徳『手に入れた力』
足芝 木槿
ときどき、ほんとときどき、たまーに……
わけがわかんなくなるときがある。
足芝 木槿
なんで俺だけ生きてるのかね。
世の中ってのはわかんないことだらけだ。
足芝 木槿
そんなかんじ。
GM
はい、ありがとうございます。
GM
では木槿さんは今、街に出ている半分の時期です。
GM
今日も、女の人をあっちこっちのお宅やホテルに運んだり回収したりして……?
足芝 木槿
しました。
GM
行き帰りの車の中で、女たちはあなたになんやかんやと話しかけます。
愚痴だったり、噂話だったり。聞かせる気があるのかないのか、適当に。
足芝 木槿
こちらもまた、聞く気があるのかないのか、うんうん、へー、と相槌で流す。
GM
「あの客最悪だった~!」
「カレシが浮気しててえ……」
「この仕事してるの親にバレた~」
足芝 木槿
お店に言っとくね~ え~ガス栓開けに行く? そりゃやばいな~
こういう女の子たちを相手にしているとちょっと口調がうつってくる。
足芝 木槿
半年ぶりの街は随分にぎやかだ。
GM
ところで、最近。
そうした話の終わりに、女たちがさかんに言うこと。
GM
「……あたしも紅い蝶々、見つけたいなあ……」
GM
前回街に降りてきていたときには、聞いたこともなかった話。
足芝 木槿
「ちょうちょ?」
GM
「そ。紅いやつ」
足芝 木槿
「青い鳥みたいな話?」
GM
「かな~?」
GM
「なんかね、願い事の叶う……花畑?花園?につれてってくれるんだって」
足芝 木槿
「この間も似たような話してる子いたな。流行ってんの?」
GM
「めっちゃ流行ってるよ!足芝さん知らないのびっくりだよ」
足芝 木槿
「え~?俺あんま流行りもんわかんないからな~。教えてよ」
山暮らしのアシバッティであることを伝えているのは店長くらいだ。
GM
「うわっ、足芝さん友達いる?大丈夫?」
足芝 木槿
「あんまいな~い」
足芝 木槿
ははは。
GM
女のほうも、うわやべ~、と笑って。
GM
まあ、噂については教えてくれます。
でも大したことじゃないですね。
GM
紅い蝶々は、願いの叶う花苑に連れていってくれること。
そこでは、どんなお願い事も叶うということ。
GM
実際に、何人もがその蝶々についていったこと。
GM
女の知人も一人、そうして花苑に行ったとかなんとか。
足芝 木槿
「その子、帰ってきたの?」
GM
「ううん。ちょうちょ見つけたから行ってくる!ってメッセージ飛んできて、写真ついてて~」
GM
「でも紅い蝶々についていったら、花苑、行けるんだから」
GM
「行けて羨ましい~」
GM
本当に、当然のことのように。
GM
爪をカリカリやりながら、羨望の吐息。
足芝 木槿
なんだか変だな、と思う。
まるでまとめサイトに載っている安っぽい怪談みたいな噂だというのに。
足芝 木槿
「信じてるんだ?」
GM
「えっ、だって本当のことじゃん」
GM
「じょーしきだよ、じょーしき」
足芝 木槿
「じょーしき、か~」
GM
うん、と大真面目なうなずき。
足芝 木槿
調子は合わせてみるものの。
この手の仕事の女というのは現実主義者が多いもの。
何かが僅かにひっかかる。
足芝 木槿
「……じゃ、君もその赤い蝶っての見つけたら、ついてっちゃうわけ」
GM
「そりゃそうでしょ~!」
GM
「だってなんでも願いが叶うんだよ。足芝さんはうらやましくないの?」
足芝 木槿
「あんまり」
GM
「えーっ、信じらんね。このひとやば」
足芝 木槿
次の信号を右折、のナビにハンドルを切りながら。
足芝 木槿
「人生身の程ってもんがあるからね。欲張らないことにしてんの」
足芝 木槿
足芝木槿は必要以上を求めない。最低限があればいい。
無くしたときのダメージは、少なければ少ないほど良い。
そうして過去が残したほんの僅かな残り香に縋って生きている。
GM
過去の匂い。
GM
炎の匂い。
GM
あなたはウィッカーマン。
身の内に炎を見出されたもの。
GM
あなたは、規律正しい組織に所属している、というわけではありませんが……それでも狩人の一員です。
GM
あなたの故郷が燃え落ちた日。
そして、あなたがウィッカーマンになったその日、その時。
GM
あなたは、人の世の常識の脆さを骨身に叩き込まれました。
GM
あなたは、人の世の常識を書き換える存在を知っています。
GM
ヴァンパイア。モノビースト。そして魔女。
GM
そして、中でも。
GM
人がその内側に抱えた常識を上書きするのは、魔女の仕業。
GM
それを、狩人として知っている。知識としては。
足芝 木槿
きな臭い。
足芝 木槿
常識なんてものはあてにならないから、そうして山に引きこもり、
謎の老人の指示を真に受け、化け物退治なんぞをしているわけで。
足芝 木槿
そういう者にだけ、微かに臭う、破滅の香り。
GM
密やかな改変に気付けるのは、『波長の合った』者だけ。
GM
あなたは今。何処かの魔女と、波長が合っている。
足芝 木槿
やだな~、と頭を掻く。
足芝 木槿
肌で微かに感じるほどの、しかしはっきりとした。
足芝 木槿
とはいえーーやらねばならない、と思う。
その先に自分の求めるものがあろうとなかろうと。
感じてしまったからには、見過ごすことは許されない。
GM
世界を蝕むもの。
GM
そのひとつが、今、手の届く何処かにいることを。
GM
それを放置すれば、世界はあなたを置き去りにしていくことを。
GM
あなたは知っている。
足芝 木槿
自分と同じ目に遭う人を増やしたくないだとか、
そんないかにもヒーローめいた想いが己が内にあることを認めるには、
いささか私情が重すぎる。けれど。
足芝 木槿
その滅びの速度を知っているからには、全て燃やしてやらなければ気が済まない。
GM
蝶だろうが、花苑だろうが。
GM
踏みにじってしまえば、それで良い。
GM
GM
【導入フェイズ : 宮間 燐光】
GM
自己紹介をお願いします。
宮間 燐光
宮間燐光(みやまりんこう)……です
宮間 燐光
不登校から順調に引きこもりになり、色々あってハンターに就職しました。
宮間 燐光
ハンターとしてはド新人もいいところで、後方支援をほんの2,3回やった程度で実戦経験は無いといって等しいです。
宮間 燐光
語るところのない人生を送っているので、なんともう幸福と背徳の説明に入ります。
宮間 燐光
幸福:紅い蝶
宮間 燐光
……願いを叶える紅い蝶というものがいるらしい。
それを見つけて自分のどうしようもない人生をやり直せたらいいな。
宮間 燐光
早い話が現実逃避ですね。自分の人生から目を逸している間は幸せです。
宮間 燐光
背徳:遊佐みなき
宮間 燐光
……ハンターの先輩にあたります。年下の先輩ですね。
宮間 燐光
…………。
宮間 燐光
それだけですよ。
宮間 燐光
以上です。
GM
何やら言葉を濁されましたが、当のみなきはちゃんと先輩としてあなたの面倒を見てくれています。
宮間 燐光
まぶしいですね。
宮間 燐光
29歳にはまぶしいです。
GM
そうですね。今日もあなたを呼び出して、ちゃきちゃき稽古をつけています。
宮間 燐光
外に出るのも久しぶりだったのに今はハード(個人の感想)な特訓を受けて大変です。
GM
「お前ほんとに体力つかねえな~」
GM
そんなかんじ。
宮間 燐光
ひ~人が話しかけてくる~
宮間 燐光
「ッス……ーセン……」
遊佐 みなき
話しかけてきますし、まあまあの勢いでしばいてきます。
宮間 燐光
逃げ足は早くなりましたが腹から声が出ません。
遊佐 みなき
「とりあえず刀持ってちゃんと走れるところからだぞ~」
宮間 燐光
「ひ~~~」あの時持ったのがハンマーとかじゃなくてよかったなあと思いながらガシャガシャ走っています。
遊佐 みなき
別に違う武装持たせても良かったけど、言わずにいます。
宮間 燐光
ハンターになってから腕の筋肉……いや全身に筋肉を付けさせられています。
宮間 燐光
銃とかでかい音がしてこわいし……
宮間 燐光
松明とか熱いし……
宮間 燐光
注射器は自分に刺さりそうで怖いし……毒とかお家に置いてたら……
宮間 燐光
鎖も重いし……犬とか猫とかはかわいそうだし……
遊佐 みなき
「お前、そろそろちゃんとしないと死ぬからな」
宮間 燐光
「そ、そんなあ~」
遊佐 みなき
「紅い蝶々の噂、変だってわかってるだろ」
宮間 燐光
「…………」
遊佐 みなき
「こないだも言ったけどあれ魔女だからな」
宮間 燐光
「は、はい~」
宮間 燐光
魔女かあ、なんか波長が合わないと見えないとか。
宮間 燐光
まあ俺は大丈夫なんじゃないかなあ……
遊佐 みなき
「いろんなやつに声かけたけど、今回波長合ってるのお前だけぽいし」
遊佐 みなき
みなきはなんか結構な数の弟子とか後輩を持ってます。
宮間 燐光
頭の中にフワフワ赤い蝶が飛び、かわいい魔法少女たちが……
宮間 燐光
「…………」
宮間 燐光
「そ、そんな~~~」
宮間 燐光
変だというのはわかっています。
宮間 燐光
普段ならいいなあ俺も見たいとか、いろんな都市伝説にふんわり思いを馳せていましたが……
宮間 燐光
なんだか今回は、周りにノレない。周りの受け入れ方が奇妙に思える。
宮間 燐光
それがまさか波長が合ったということなんて……とほほ~
遊佐 みなき
「……お前ほんと、思ってることめちゃめちゃ顔に出るな……」
遊佐 みなき
「結構やばいんだぞ今」
宮間 燐光
「で、でも誰か……もうちょっと誰か居ますよね?俺以外に……も?」恐る恐る。
遊佐 みなき
「いねえからお前をしごいてんだよ」
宮間 燐光
「あ"~~~~」
遊佐 みなき
「あ~じゃねえ。何人消えたと思ってるんだ」
宮間 燐光
「ハイ…………」
GM
ちなみに、噂が流れ始めたのは、夏の盛りの頃。
GM
今は夏の終わりが近い頃。
GM
その間で、わかっているだけで60くらい消えてますね。
宮間 燐光
そんなに。
GM
最近すごい勢いで加速しているようです。
宮間 燐光
幸い(?)自分には友達が居ないので実感してはいませんでしたが、波長が合ったとなると……ちょっとヤバいかな?と思っています。
遊佐 みなき
「死体は出てねえけど、失踪した面々が無事で帰ってこれるかもわからん」
宮間 燐光
蝶の養分になる人々を想像しています……
宮間 燐光
蝶のあの細い口でチューっとされる人々。
遊佐 みなき
「お前も死にたくないだろ。今のとこせっかく生き延びてるのに」
宮間 燐光
「ッスね……」
宮間 燐光
思い出す。なんとなく、久々に外に行ってみようと夜に出歩いた時の事。
宮間 燐光
……運良く生き残った。
宮間 燐光
倒れたハンターの落とした武器を拾って、威嚇しているうちに他のハンターがやってきた……
遊佐 みなき
みなきもその中にいた。
遊佐 みなき
そうして、『目覚めて』しまった燐光を拾い上げた。
遊佐 みなき
年上の燐光を弟子とも後輩とも呼んで、燐光が戦えるようにと。
宮間 燐光
あの日見た遊佐さんはきりっとしていて、夜の闇の中でも光り輝いて見えた。
宮間 燐光
堂々としたその立ち姿を今でも覚えている。あれが……社会人という者の放つオーラなのだろうか?
遊佐 みなき
「おら~走り終わったら刀振れ!素振りしろ~」
宮間 燐光
「ひ~~~~~!!」
遊佐 みなき
「うるせえ!あんま騒ぐと通報されるからな!」
宮間 燐光
ブンブン ブンブン。腕が筋肉痛になって治ってまた筋肉痛になって……そんな日々を繰り返すことになってしまった。
宮間 燐光
「無職になっちゃう~~~」
宮間 燐光
銃刀法違反を見つかれば無職なんてレベルではない。銃刀法違反無職宮間燐光にレベルアップだ。
宮間 燐光
ハンターなんてそもそもろくな職業でもないが、生存者ハイというかそうならざるを得ない状況であったため、今の自分の職業は……ハンター!
遊佐 みなき
「燐光。狩人だけやってんのはおおむね無職だぞ」
宮間 燐光
「そ、そんな~~(小声)」
宮間 燐光
親には警備員の職業みたいな……やつ……と説明しています。
遊佐 みなき
「狩りやって金入ってくる組織は限られてるからな~」
遊佐 みなき
燐光のいるバベルネットとかはぜんぜん入ってこない。
宮間 燐光
カスの集まり
宮間 燐光
でも学校の部活感覚で入れるのがあそこだったからしょうがないですね。
遊佐 みなき
それでいいか?って聞いたぞちゃんと。
宮間 燐光
だって他が……
宮間 燐光
他がさぁ……
遊佐 みなき
「とりあえず、お前昼も出歩け。魔女狩りは夜だけじゃないからな」
宮間 燐光
「(ええ~~~~っ)……ッハイ……ワカリヤシタ……」
遊佐 みなき
「マジで顔に出すぎだぞお前」
宮間 燐光
スッ……っと表情筋の訓練を始めます。
遊佐 みなき
「お前一人で出歩かして大丈夫か不安になってきたな……」
宮間 燐光
「えっついてきてくれるんですか?」
宮間 燐光
「いやダメだな遊佐さんの横とか歩いたら明度差がすごくて……」
遊佐 みなき
「なんだ明度差って」
宮間 燐光
「横を歩くだけで人生を悔いることになりそうで……」
宮間 燐光
「美麗派って言葉がもう威圧されるんスよ、見てくださいよこの家の中に居るほうが長そうな男を」
宮間 燐光
「今日もユニクロ着てるし……」
宮間 燐光
「死にたくなってきた……(死にたくない)」
宮間 燐光
ユニクロを買う者は一生ユニクロにしか行けないのだ。ユニクロ以外を買いに行く服がない。
遊佐 みなき
「死にたい場合、サボるとそのうち死ねるぞ」
宮間 燐光
「嫌だ~っ」
宮間 燐光
ヒュンヒュン カタナをヒュンヒュン。
遊佐 みなき
「とりあえず、蝶だな。目撃情報は相当増えてる」
宮間 燐光
「ッスか……」
遊佐 みなき
「花苑でもいいけど。見つけないことには始まらねえからな……」
宮間 燐光
「SNS見ても位置情報も手がかりもありゃしませんもんね……」
遊佐 みなき
「まあ蝶の位置情報なんて一瞬だし」
遊佐 みなき
「ただ、まあ……この町の中にはいると思うぞ。町中では情報が密だし、魔女の力もそこまで広範囲に広げ続けられるわけじゃない」
宮間 燐光
「うへぇ……」
遊佐 みなき
「だから、昼は情報収集。夜、訓練」
遊佐 みなき
「しばらく、っていうかこの魔女狩るまではそういうスケジュールだ」
宮間 燐光
「ひいい……頑張ります……」
宮間 燐光
早く出てくれとも言えない。
遊佐 みなき
「ちゃんと飯食って、訓練終わったらネットにかじりついてないでちゃんと寝ろよ。ふらふらで魔女に会いたくないだろ」
宮間 燐光
刀の重さが気にならない程度には鍛えないと……
宮間 燐光
「はあい……他に波長が合ったハンターとかも、この町内に居たりするんですかねえ?」
宮間 燐光
居たらいいなあ……
遊佐 みなき
「目下、探してるとこ」
宮間 燐光
ふええ。
宮間 燐光
「ッスかあ……」
遊佐 みなき
「っすね~」
宮間 燐光
「やるしかねぇッスね……」
遊佐 みなき
「やるしかねえんだよ。わかったら、口じゃなくて手ぇ動かせ」
宮間 燐光
まあハンターなんてもんになってしまった以上、やらなきゃ死ぬしかない。
宮間 燐光
流石に死ぬのは怖いので……死ぬのが怖くなきゃこの歳まで自宅を警備していない。
宮間 燐光
「ひ~~~」初対面の時はこんなに厳しいなんて思わなかったよ~!
GM
それからあなたは、いつものようにほどほどにしばかれ、ほんのちょっとだけ褒められて。
GM
夜の深みで、少しずつ、狩人になっていく。
GM
今度は後方支援ではなく。
GM
前線に立って戦わなければならないことを、突きつけられながら。
GM
GM
【導入フェイズ : 百希 星珠】
GM
では自己紹介からお願いします。
百希 星珠
百希星珠、21歳大学生。
百希 星珠
星珠は本名。昔からキラキラネームだって馬鹿にされるけど、自分では気に入ってる。
百希 星珠
専攻は数学。
百希 星珠
母がバレエをしていて、僕も昔から習ってたんだけど、大学に入る時にやめた。
百希 星珠
今はこれといった趣味もないかな……スキンケアとかエステとかジムとか色々お金かかるし、他に割いてる時間もないし。
百希 星珠
背徳は、美しき世界。って言えばいいのかな
百希 星珠
美しさって、対比があるからこそだっていう人もいるけど
百希 星珠
僕はそう思えない。
百希 星珠
ゴミ溜めみたいな路に、酔っぱらい、ホームレス。
百希 星珠
悪党に犯罪者。
百希 星珠
そういうのって、いらないよね。
百希 星珠
なくて困る人、いないし。
百希 星珠
それから、幸福。
百希 星珠
少し前のこと、僕は『魔女』にあった。
百希 星珠
とても美しく、優しく、魅力的で……
百希 星珠
…………。
百希 星珠
僕の世界を変えてくれた。
百希 星珠
どれだけ努力しても手に入らないものを与えてくれた。
百希 星珠
…………
百希 星珠
もう、存在しないんだけどね。
GM
ありがとうございました。
GM
早速ですが、あなたはすでに紅い蝶々の噂を知っています。
それが魔女の力によるものだということも。
GM
あのとき。あなたがまだ、あなたの『魔女』のもとにいた頃。
GM
そのお膝元に紅い蝶が舞っていたのを、あなたは、覚えている。
百希 星珠
懐かしい景色を思い出した。
百希 星珠
まだ、僕が僕になれなかった頃の
百希 星珠
「紅い、蝶……」
GM
花園の魔女は、美しい魔女でした。
GM
たくさんの人々がそれに魅せられ、慕い、後を追い。
GM
魔女になった者。なれなかった者。
魔法少女というかたちを得た者。フォロワーにしかなれなかった者。
GM
あなたは、魔法少女に成った。
百希 星珠
あの日、僕は力を授かった。
百希 星珠
同じ様に、力を授かった子もいただろう。
百希 星珠
喉に触れて、目を閉じる。
百希 星珠
願いを叶える紅い蝶。
GM
なんだって叶うと言う。
GM
誰が言い始めたのかはわからない。けれど確かなこととして、みんながみんな、そのように語る。
百希 星珠
もし。
百希 星珠
もし、もう一度だけあの人に会いたいと願ったら。
百希 星珠
世界はもっと美しくなるのだろうか
百希 星珠
「…………いや」
百希 星珠
「擬物」
百希 星珠
その、蝶を見たことはないが……
百希 星珠
あの人はもういない。
百希 星珠
きっと、まがいものだ。
GM
もういない。いないはず。
GM
けれど、あなたとこの魔女は、確かに波長を一致させている。
百希 星珠
「…………」
GM
だから、あなたは蝶を探しています。
魔女の存在に気づいた狩人として。
百希 星珠
確かめなければ
GM
狩人として、だけではなくても。
百希 星珠
偽物、擬物、フェイク、イミテーション。
百希 星珠
そうだから、だけではない。
百希 星珠
魔女の生み出す幸福は、それ自体が偽物だ。
百希 星珠
導かなければならない。
百希 星珠
本当の幸福へ。
百希 星珠
黒い日傘をさして、街へとくりだす。
GM
人のざわめき。
そしてその中に時折交じる、蝶、という音の切れ端。
GM
みんなが信じている。みんなが願っている。
GM
そして、人波の向こうに。
GM
あなたは紅い蝶々の、その薄い翅を見る。
百希 星珠
「…………いた」
百希 星珠
ら ら ら る る
百希 星珠
踊るように追いかける。
GM
ひらひらと舞う紅い蝶。
GM
遠ざかり、近づき、捕まえられはしない距離で、しかし見失わないほどの速度で。
GM
あなたが追いかけてくるのを待ちながら、
GM
蝶は飛んでいく。
百希 星珠
黒いドレスを翻し、長身の男が少女のように駆けていく。
百希 星珠
ブーツの音を響かせて、周囲の視線を気にもとめず。
百希 星珠
絶対に逃さない。
百希 星珠
あの人は、僕の大事な思い出なんだから。
GM
魔女の導き。
GM
それが真実であれ偽りであれ、あなたはそれを追わずにいられない。
GM
あるいはそれが、偽りであると信じるからこそ。