GM
クッキー、キャンディ、チョコレート!
GM
あま~いお菓子のその味に、ゆめもうつつも、とろけて混ざる。
GM
クッキー、キャンディ、チョコレート!
GM
とろけて混ざったゆめとうつつに、どこからとなく忍び寄る……
GM
それは――『C・C・C!』
GM
GM
では、早速だがお前らの自己紹介タイムだ。
GM
そうだな。そこの重量級のお嬢様から。
レディ・メグ
あら!わたし!
レディ・メグ
重量級!なんてすてきな誉め言葉!
はい、はい、わたしこそがブルーマロウ農場のいちばん美しい七面鳥、
”マルガリータ・ヴィオレット・ブルーメロウ”!
レディ・メグ
牧場主のリンデンさんにはレディ・メグって呼ばれていたの。
みなさんもお気軽にメグって呼んでちょうだいね。
レディ・メグ
わたしの自慢はこの完璧な体!とっても食いでがありそうでしょう?
お肉だってやわらかくってとろけそうで、きっと甘くて……
でもそう、困っているの。
レディ・メグ
……堕落の国って、ぜんぜん!食べ物がないんだもの。
こっちにきてから20㎏も瘦せちゃった。これは由々しき事態だわ!
レディ・メグ
いつか理想の特別な方に、大事に、おいしく食べてもらうのが夢なのに……
レディ・メグ
でもわたし、ぜったいにあきらめないわ。
どんな時でもどんな場所でも、きっとわたしを大切に食べてくださる方が見つかるはずだもの。
レディ・メグ
そういうわけで、おいしいお菓子をいっぱい食べるため、がんばります!
GM
よし。いいだろう。
GM
次。そこの血色サイアクの眼帯男!
セイラン
あら、随分なご挨拶ね。血が青ければ肌が青いのも当然でしょう?
セイラン
これでもよく食べてよく寝る健康体なのよ? ええ、美容の秘訣は美味しいものを食べて楽しく暮らすこと!
セイラン
ああそう、自己紹介しなくちゃ。ワタシはセイラン。この国ではそう名乗ることにしているわ。
セイラン
かわいいものと美味しいものが大好きなの。例えばそう、白くてふわふわな兎ちゃんとか。
でも、知らないことを知るのはもっと好き。
セイラン
元の世界のことはだいたい知り尽くしていたけれど……この堕落の国はまだまだ知らないことがたくさんあるわ。わくわくしちゃう!
セイラン
ところでそう、白兎ちゃん達から聞いたのよ。甘い甘~いお菓子っていう食べ物のこと。一度食べてみたくって……
セイラン
そういうわけで、甘い出逢いを目指してがんばるわ!
GM
よろしい、お前が甘いもん目当てなのはわかった。
GM
じゃあ最後。そこの仏頂面。お前だ。
古森 朱
一々一言付け加えないと話が出来ないのかこいつは。
……ちっ、話せば良いんだろ話せば。
古森 朱
古森 朱。朱色の朱と書いてアヤと読む。
色々あってクソジジイの医者の元で暮らしていたフリーター。
古森 朱
……この住処が随分辺鄙でな、近所の治安はクソ悪い。
おまけに昼間は活動し辛いから色々面倒なんだよな。
荒事には慣れてるし、何とかなってたけど。
古森 朱
……っつうのも、俺は難儀な体質持ちでな。
吸血鬼、って聞いたことあるか?
遠い先祖にそいつが居て。そのせいで日光浴びると気分悪くなったり、定期的に血液を摂取しないと色々とまずい事になったりする。
古森 朱
この堕落の国は元居た所以上にクソみたいな所だけど、その辺コソコソしなくてもいいのは楽かも知れない……とは思ってる。
はあ……。
古森 朱
んで、だ。
メグに連れられてここまで来たわけだけど。
菓子は嫌いじゃないし、悪くない話だと思っている。
古森 朱
……あ?イラッと来た時にチョコ齧るの、割と習慣だったんだよ。
何か文句あんのか?
古森 朱
(そういうと朱は語り部を睨み、そのままふいとそっぽを向いた。)
GM
文句はねえが、そりゃあこの国じゃご愁傷さまってとこだな。
GM
まあ、お前らがどういうつもりなのかはとりあえずいいだろう。
GM
で、そんなこんなのお前らだが。
先日とある噂を聞いた。
GM
この馬鹿みたいに物資に乏しい堕落の国で、甘いお菓子をたっぷり作ってくれるって女の子の噂だ。
GM
ついでにそいつは、どっかの救世主にとっ捕まってるって話。
GM
そいつを助けてやりたいと思うか、カネになると思うか、単なる甘いもん食いたさか。
どういう理由にせよ、お前たちはその話に興味を持つ。
GM
それでもって、そいつがどこの村にいるかってのも、そこそこ有名な話。
GM
なんせ、どこでもかしこでもお菓子を作って回ってるようだからな。
GM
ってことで――お前たちは今。
どこにでもあるようなちっさい村で顔を合わせている。
レディ・メグ
「ここね?可哀そうな女の子の捕まっている村っていうのは……」
救世主ということで、無理矢理乗せてもらった馬車の荷台から降りて。
レディ・メグ
付き合って荷台に乗っていた朱が降りやすいよう手を伸ばして。
古森 朱
メグの手を掴んで、荷台から降りる。
「噂が本当ならその筈だな」
古森 朱
「見た所、珍しくもない様な村に見えっけど……
とりあえず聞き込みでもするか?」
レディ・メグ
「ええ、誰かにお話を聞いてみましょうか。……あら?」
レディ・メグ
村の入り口にほど近い場所で、村の者よりも先に、おそらくは救世主の姿を見つけて声を上げる。
レディ・メグ
「朱、朱、見て。わたしたちのほかにも救世主!」
古森 朱
言われて、メグの視線の先に目をやる。
随分背の高い男だ。
レディ・メグ
「女の子を捕まえているにしては堂々としているわね……」声を潜める。
古森 朱
「そうだな……もしかしたら複数人で、あいつは罠かも知れない」
セイラン
服と呼ぶのが憚られる布面積の衣装。惜しげもなく晒されたしなやかな青肌の体。
そんな様子の男が裸足でぺたぺた、警戒心もなく二人の方に近付いてくる。
ゆったりとした足運びに合わせて、腰周りの金飾りがしゃらしゃらと涼しげに鳴る。
セイラン
気のない様子で周囲に視線をやりながら歩いてきて。二人に気付くと金色の片目をまんまるに見開いた。
セイラン
「あら……可愛らしいお二人さん。アナタ達も噂を聞いて来た救世主かしら?」
口を開くと、鮮やかな青色が覗く。
レディ・メグ
「ええ、その通り!」
レディ・メグ
「おかし……じゃなくて、捕まっている可哀そうな女の子を助けに来たの。わたしたちが来たからには覚悟しなさいな!」びし、と指をさす。……明らかに勘違いの様子。
古森 朱
(うわ、馴れ馴れしい……)
この手の輩ははっきり言って苦手だ。珍しくはないし、慣れてはいるけれど。
つい眉を顰める。
古森 朱
「……罠に掻けるつもりなら、もう少し用心するべきだったな」
いつ戦闘に入っても問題ないように、ナイフに手をやる。
セイラン
「覚悟……???」びし。と指をさされてきょろりと辺りを見回す。
レディ・メグ
「ええ、お菓子は根こそぎ……じゃなくて、女の子は返してもらいますからね!」
セイラン
そうして、続くもう一人の言葉にそちらを見やる。手元にナイフがある。
セイラン
「エッ!? ヤダ、待って待ってワタシ女の子なんて攫ってないわよ!? いやっ攫ったことはあるケド……お菓子を作る女の子はまだ攫ってないわよ!!!」
セイラン
違うのよ~~~!!と慌てて顔の前で手をぶんぶんしている。
レディ・メグ
「えっ?でもここに女の子をさらって捕まえている悪い救世主がいるって……」
レディ・メグ
朱と顔を見合わせる。
古森 朱
「…………。まだ、ってのが気になるけど。
犯人ではなさそうか?」
セイラン
「誤解よ!!!」
古森 朱
一先ず手にしていたナイフを仕舞う。
セイラン
「ワタシ、白兎ちゃん達から聞いて来たのよ! この国じゃ滅多に手に入らない、甘~いお菓子っていう食べ物を作ってくれる女の子がいるって……」
セイラン
要するに、この蛇男が居座っている拠点、そこに元々住んでいた白兎達はこの男にありとあらゆる意味で辟易しており、体よく追っ払うために彼らが流した噂にまんまと釣られて出向いてきたのである。
レディ・メグ
「……えええっ!誤解!?」
レディ・メグ
「ああっ、……どうしましょう朱!
わたしってば初対面の方にとってもひどいこと言っちゃった!」
古森 朱
「落ち着けメグ。あんな怪しい格好して佇んでたら誤解もする。俺もした」
レディ・メグ
セイランに向き直り、頭を下げる。大きな頭飾りが派手に揺れる。
「本当にごめんなさい……早とちりだったのね、恥ずかしいわ……」
レディ・メグ
「わたしたち、お菓子をひとりじめ……じゃなくって、女の子をさらって閉じ込めてるひどい人がいるって聞いて、いてもたってもいられなくって。
だから慌てていたの。……ごめんなさいね」
古森 朱
「…………。
要はそっちと事情や目的は同じだ。…………早とちりの件は、一応謝っとく」
セイラン
「あら……フフ、誤解が解けたようで安心したわ。閉じ込められている女の子を助けたいなんて……とっても優しい子達なのね。なんだかお菓子目当てで来た自分が恥ずかしいわ」
古森 朱
(あれだけ分かりやすくポロっと言ってるのにか)
セイラン
「でも、そうね。そういうことなら……ワタシ達利害が一致しているのね。どうかしら、協力できると思わない?」
セイラン
(なお本心では恥ずかしいなどミリも思っていないのである)
レディ・メグ
「まあ。あなたもお菓子の話を聞いてきたの?だったら話は早いわね」
レディ・メグ
「協力。もちろん!わたしたち、きっと良いお友達になれそうだわ。
わたし、マルガリータ。メグって呼んでちょうだいな」
古森 朱
「こちらも構わない。
……ああ、ただ菓子の分け前の話はきっちりさせて貰う事が条件だが」
古森 朱
「俺は古森 朱。
お前の呼びたいように呼べばいい」
セイラン
「お友達! 嬉しいわ、仲良くしましょうね!
 メグに、アヤね。ああ、なんて可愛いのかしら……」二人を順に見て、金色の目がきらりと光った。
セイラン
「ワタシのことは……セイラン、と呼んでちょうだい。勿論、分け前は平等に……ね?」
GM
お前らがそうやって、まだとうの救世主を見もしないうちから勝手に分け前の話をしているとだな。
GM
「おやつの時間だ!」
GM
子どもたちがなんだかそこここからわらわら湧いてきて、村の広場に走っていく。
セイラン
「あら、柔らかそう……」子供達を目で追っている。
古森 朱
おやつ、の単語に子供たちに目をやる。
レディ・メグ
「おやつ!?」
レディ・メグ
「行ってみましょう!何かわかるかも!」
レディ・メグ
いうが早いかどすどす走っていく!
セイラン
「あらあら……そうね、行ってみましょ」走っていく姿に子供達から視線を剥がして、ぺたぺたと後をついていく。
古森 朱
「また勝手にあの丸鳥は……!」
そう言いながらも後を追いかける。
GM
村の広場はそんなに遠くはない。大した村じゃないからな。
GM
そこには子どもがずいぶんいて、そろってきゃいきゃい言っている。
GM
その中心に、15か16か、そのくらいの女の子が一人。
アニス
「はい、ちゃんと並んでね。何がいい?」
GM
そいつは子どもにまとわりつかれながら、ぽこじゃかお菓子を生んでいる。
アニス
クッキー、
アニス
キャンディ、
アニス
チョコレート。
GM
よりどりみどりって感じだな。
レディ・メグ
「んまあ……!!!」
セイラン
「ねえねえメグ、アヤ、あれがお菓子?」興味津々で生み出されるお菓子を眺めている。
レディ・メグ
「ええ、ええ、そう、あれがお菓子!……いいにおい~!」
GM
バターやバニラや、チョコレートの匂い。
レディ・メグ
堕落の国で久しく嗅がない、バターやバニラやチョコレートの香り。お砂糖の匂い。
GM
甘く甘く広がる、お菓子の匂い!
古森 朱
「……ああ。甘くて美味い食い物だ」
セイラン
嗅ぎ慣れない匂い。でも、とってもかわいい香り! かわいいということはつまり……美味しい!!
セイラン
「あれがお菓子……」未知の味に思いを馳せている。
古森 朱
この堕落の国に訪れてからは、こんな甘い匂いが漂う事もなかった。
……少しだけ、懐かしさを覚える。
アニス
「……あれ、見ない顔。お客さんかな?」
レディ・メグ
「こんにちは!はじめまして。ギブミーチョコ……って、あら?」
レディ・メグ
「……もしかして、あなたがさらわれた女の子?」
古森 朱
「……聞いた噂だと、他の救世主に囚われてるって話だった筈だが」
セイラン
「攫われたって言うから、地下に閉じ込められてるとかだと思ったんだケド」
アニス
「さらわれた……囚われてる……」
アニス
「あの……そういう噂になってます?」
アニス
ちょっと歯切れが悪い。
アニス
困ったな、みたいな顔。
古森 朱
「俺はそういう風に聞いていたが。
……誤解か?それとも既に助けられた後か何かか?」
セイラン
「あら……?」もしかしてこれは……聞いていた話と違う……のでは??
レディ・メグ
「ええ、お菓子をたくさん作れる女の子が、悪い救世主にさらわれて閉じ込められてるって……聞いて、助けに来たのだけれど……」ねえ、と二人を見る。
アニス
「んっと……」
GM
なにやら言いづらそうに、口を開きかけて。
GM
しかしまあ、回りの子どものほうが、お前たちをかなり邪魔そうに見てくる。
おやつの時間の邪魔だからな。
GM
その中でも、一際不機嫌そうな少年が一人。
アントン
「……あんたら、アニスになんか用?」
レディ・メグ
「あら、アニスっていうの?わたしたち、この子を助けにきたのだけれど……」
レディ・メグ
「……なんだか聞いていた話とちがうみたいね?」
古森 朱
「ああ。彼女が捕まってるって話を聞いて、この村に来たんだけど……」
セイラン
「そうよ~。悪い人に攫われたって聞いたから、助けに来たの。でもこの様子だと、噂が伝わる途中で話が変わっちゃったのかしらね?」
アントン
「……おれ、アニスを捕まえたりしてないもん」
アントン
「さらったりもしてない」
セイラン
「……あら」
レディ・メグ
「もしかして、あなたも救世主?」
アントン
ぶすっとした顔で、アニスの服の裾をぎゅっと掴んでいる。
古森 朱
「少し前にそんな事があった、とかも無いのか?」
古森 朱
「お前じゃなくて、何処か他の救世主がアニスをさらった……とか。」
アントン
「ない。アニスのことはおれが守ってるから」
アニス
「ええと、この子はアントン。わたしはアニスって言います。どっちも、救世主」
レディ・メグ
「まあ、ありがとう。わたしはマルガリータ。メグって呼んでちょうだいな。
……こんな小さなひな鳥みたいな救世主もいるのねえ」
古森 朱
「朱だ、こっちも救世主。
……そこのチビには歓迎されて無さそうだが、とりあえずよろしく」
セイラン
「あらあら……ふうん、アナタも救世主なの。それじゃ、噂の悪い救世主ってアナタのことなのね、アントン」
セイラン
「ワタシはセイラン。ふふ、一体どうしてそんな噂が立っちゃったのかしらねえ?」不思議ねえ~、と少年を見下ろした。
アントン
かなりお怒りの顔をしてセイランを見上げる。
アニス
こちらは、それを慌ててなだめにかかり。
アニス
「……お話、ちょっとだけ待ってもらっていいですか?おやつの時間、終わらせちゃうんで」
レディ・メグ
「ええ、もちろん。……わたしたちにもあとでいただける?」
アニス
「はい、もちろん!」
GM
アニスは良い返事だが、アントンは相当いらついる様子だな。
セイラン
「……子供達のお楽しみを邪魔しちゃ悪いわね」おとなしく引き下がります。
古森 朱
「…………。」
こっちも一歩下がりつつ、何か思うところもありつつ。
一先ずはお菓子タイムを楽しみに待ちましょう。
GM
ま、アントンがぶすくれてようが、アニスはどんどんお菓子を生んでは子どもらに配ってやり。
GM
そんなに時間はかからないな。
GM
子どもらは手に手にお菓子を持って広場から消えていく。
GM
残ったのは、お前たちと、アニスとアントンだけ。
アニス
「お待たせしました」
アントン
セイランに対して敵意むき出しの顔でついてきます。
レディ・メグ
「おつかれさま!すごいのね、あんなにお菓子を出せちゃうなんて。
子供たちもとってもうれしそうだった!」
セイラン
「これも救世主の力なの? 食べ物を生み出すなんて、初めて見たわ」アントンの視線を受けて、顔の横でひらひら片手を振ってみせつつ。
アニス
「たぶん、救世主の力ってやつですね。お菓子しか作れないんですけど……」
古森 朱
「……この世界で菓子を見かける事は滅多にない。貴重な能力だと思う」
未だその場にいるアントンの方をちらりと見てから、再びアニスの方に向き直った。
レディ・メグ
「ええ、ええ、ほんとに、と~~っても!すごいわ!うらやましいわ!」
レディ・メグ
「……それで、お菓子……じゃなくて、おはなし。聞かせてくださるかしら」
アニス
「はい、えっと……」
アントン
「アニス」
GM
アントンが、口を開こうとしたアニスの服をぐっと引く。
アントン
「帰らせよう。こいつやだ」
アントン
「だいたい、アニスはいつも誰にでもお菓子あげちゃうんだから」
レディ・メグ
「まあ」こいつって……わたし!?
セイラン
「あらあらまあ、かわいらしいこと。だけど……余裕のある男の方がモテるわよ」
古森 朱
一つため息を吐いて、少しイラっとしたように。
「俺達がアニスから話を聞いて菓子を貰うことで、お前に何か不利益でもあるのか?」
アントン
「アニスのお菓子はおれのだもん」 駄々をこねる声。
アントン
「ほんとは誰にもあげちゃだめなのに」
レディ・メグ
「……そうなの?」アニスに目をやって。
アニス
「……ええと」
アニス
それはもう歯切れが悪い。
アントン
「おれの!」
アントン
こちらはいらいら。
セイラン
「さっきの様子だと、ちょっとくらい分けてもらっても問題なさそうに見えたケド」
アニス
「わたしも、そう思うんですけど……」
アニス
「……アントン、わたしに会いに来たひと、みんなすぐに追い返しちゃうんです」
アニス
「なので、なんというか……」
セイラン
ホラやっぱり、という顔。
古森 朱
「……それで捕まってるって噂が広まった、という事か」
レディ・メグ
「あらあら、まあまあ!そういうこと!」
レディ・メグ
「納得だわ、とっても立派な番犬なんだもの」
アニス
「そう、あの……ひどいときには、裁判になっちゃって……」
レディ・メグ
「……救世主としては、都合がいいわね?」
アニス
「……でも、うーん、……」 アントンを見下ろす。
アントン
「おれはアニスのお菓子、誰にもあげたくないんだもん」
レディ・メグ
「あの子供たちにあげるのは、いいの?」
アントン
「よくない」
レディ・メグ
だそうよ、という目。
アントン
「なのに、アニスはあげちゃうし、あんたらみたいのともおしゃべりするし、」
アントン
「帰ってよ!」
セイラン
「アニスが自分の力で生み出したものをどうしようと、彼女の自由じゃなくって?」
アントン
ぎりっ、とセイランを睨む。
子どもながらに、深く深く眉が寄る。
アントン
「だめ!」
古森 朱
「…………。
アニスとしてはどうなんだ。アントンのこの言い分は問題ないのか、それとも困ってるのか」
アニス
ちょっと困った顔をして。
アニス
「アントン……わたしはね、アントンのお友達だけど、アントンのじゃないのよ」
アニス
「あんまり悪い子だと、おやつ抜きにしちゃうよ」
アントン
「!」
レディ・メグ
「まあ!それはひどいわ!かわいそうだわ」
古森 朱
「……らしいぞ。
焼餅焼くのは勝手だけど、困らせるのはどうかと思うけどな?」
セイラン
もっと言ってやんなさいという顔。
アントン
「アニス……なんでそんなこと言うの」
アントン
地団駄。
アントン
「なんで!」
アントン
ぶるぶると震えるような。
GM
いや。ような、じゃないな。
GM
実際、アントンはなにやらぶるぶると震えだす。
アントン
「どうして?アニスは……アニスは……」
アントン
だん、ともう一度地団駄。
アントン
「アニスはおれの。おれのだもん。誰にもお菓子はあげちゃだめだし、おれ以外と仲良くしちゃだめなんだもん」
アントン
ぶるぶる。振動が激しくなる。
レディ・メグ
「っ、……朱、なんだか様子がおかしいわ」
古森 朱
「…………。これは」
じっ、とアントンの方を見る。
セイラン
「あらあらあら……」震える少年を見ながら、それとなくメグとアヤ、二人の前に立つ。
アニス
「アントン?」
アントン
「アニスは……」
アントン
「アニスは、おれのじゃなきゃだめなんだもん!!」
アントン
ぴし、と何かが裂けるような音がする。
アントン
震えに伴って、びし、ぴし、と音が立つ。
アニス
「アントン!」
アントン
チョコレート色に染まる。それがバニラの色になり、オレンジの色になり……
アントン
ぐるぐると。雑多なお菓子を混ぜ合わせたような色とにおい。
GM
チョコレートが蛹のようにアントンを覆う。
GM
そしてそれが、数秒も経たずにばきりと割れて。
C・C・C
どろりと溶ける、濃く甘いにおい。
C・C・C
割れた蛹の中から、毒々しい色の飴玉が溢れる。
GM
ごろごろと転がって、どろどろと溶けて。
GM
そして現れる。
C・C・C
「――――――――!!!」
C・C・C
声にならない叫び。
アニス
「アントン……!」
レディ・メグ
「なんてこと……」
古森 朱
「……チッ。
アニス。死にたくないなら、お前は下がれ」
ナイフを構える。
セイラン
「ちょっ……独占欲の強い男は嫌われるわよ!!」あまりに濃い甘い香りに噎せつつ。
C・C・C
クッキー。キャンディ。チョコレート。
C・C・C
そんなお菓子でできた、亡者の姿。
C・C・C
立ちはだかる相手には目もくれず、暴力的なほど甘いにおいをさせる腕が、アニスに伸びる。
アニス
「えっ!?」
古森 朱
「なっ、」
C・C・C
ひっつかんで。
C・C・C
持ち上げて。
C・C・C
そしてまた、叫び。
C・C・C
「――――――――!!!」
レディ・メグ
「きゃあ!」
アニス
「えっ、えっ、やだ!」
C・C・C
そのまま走っていく。
レディ・メグ
「待ちなさい!」
セイラン
「あっ!? 待ちなさいよ!!」お菓子を生む女の子が!
古森 朱
「ああクソッ、追いかけるぞ!!」
C・C・C
しかし、何もかもが間に合わない。
C・C・C
甘いにおいの尾を引いて――
C・C・C
そのにおいが残る場所が、村の姿を失っていく。
C・C・C
溶けるように。侵食するように。
GM
においが色を持ったように。
GM
お前たちの視界は変わっていく。
GM
子どもの夢のような、お菓子の家が立ち並び。
GM
空は不思議なマーブル模様。
GM
それがどんどん広がって――
GM
何かが閉じた気配。
GM
どうやら閉じ込められたよう。
GM
何がどこまであるのかは、今はまだわからないが……
GM
マーブルの空は、遠く視界の果てまで続いている。
レディ・メグ
「……お菓子だらけになっちゃった……」
古森 朱
「……亡者になってもアニスを認識したまま、か。とんだ執着心だ」
セイラン
「……閉じ込められたわね」顔をあちこちに向ける。外からの風がないことを確かめて、肩をすくめた。
レディ・メグ
「困ったわ。まだお菓子もらってないのに……じゃなくて。ほんとうにさらわれちゃった」
セイラン
「ホントよ。結局お菓子もらってないじゃないワタシ達」ふんすふんす。
古森 朱
「全くだ。……何とかして出る方法を探さないと、それこそ飢え死にだぞこれ」
古森 朱
「……いや、これ齧れたりするのか?」
レディ・メグ
「…………飢え死にはしなさそうだけど……」お菓子の家を見て。
レディ・メグ
その壁をざらりと撫でて、なめてみる。「あまい」
レディ・メグ
「……うん、食べられそうね」
レディ・メグ
おいしい!
セイラン
「ホント!?」メグを真似て、爪で壁を削り取って一舐め。「……美味しい!」
古森 朱
「マジか。…………。」
GM
なにもかもが甘いにおい。
割って、削って、舐めて、ぜんぶがぜんぶ、食べられる。
セイラン
「……でも流石に一生この味じゃ飽きちゃうわね……お肉も食べないと……」
古森 朱
此方も真似て、少し壁を撫でて舐めてみる。
……甘い。美味しい。
レディ・メグ
「そうね、バランスよく食べないとね」
レディ・メグ
「って、……そんなことを言っている場合じゃなかったわ!
アントンはどっちに行ったかしら。はやく追いかけなくちゃアニスが……」
レディ・メグ
「アントンにたべられちゃうかも」
古森 朱
「……やりかねないな」
セイラン
「まあ。それは困るわ。奪われるくらいなら腹の中に……って、わからないこともないケド」
GM
困るか。じゃ、お前らがなんやらかんやら頑張るしかないな。
GM
ここにいるのは救世主三人。
GM
ま、戦うのにはちょうどいい人数ってやつじゃないか?
GM
ということで。
GM
ここらで、PKの情報開示だ。
GM
今回のお前たちの敵はC・C・C。事前に言っといた通り、強化MOD適用の亡者だ。
GM
キャラクターシートは これ。
GM
それでもって、こいつも事前に言っといた通り、お茶会MOD『PK追加行動』が適用される。
GM
C・C・Cはお前たちの行動を妨げない。
代わりに、行動回数は5回だ。
GM
これは後でもう一回言ってやるが、裁判MOD『祈り』も適用される。
裁判で誰が倒れても死んでも、そいつはまだまだ役に立てるってことだな。
GM
で。
GM
ついさっき攫われていったアニス。
あれは放っておくと死んじまうだろうな。
GM
ちなみにこいつは、アニスを救出するためのクエスト。
GM
クエスト1 『アニスの解放』
概要 囚われているアニスを解放する。
目標値 8
消滅条件 1回成功するか、お茶会終了と同時に消滅。
成功 アニスを開放し、クエスト2、クエスト3、クエスト4を公開する。
失敗 特になし
放置 裁判開廷時、アニスはC・C・Cに取り込まれて死亡する。
GM
しかしまあ、放っておいたって構いやしない。
必要だと思うならそうすればいいだけさ。
GM
最後。
GM
この異界の……地図ってほどじゃないな。
どっからどういったらここにつく、って場所が決まってるわけじゃない。
それでも、だいたいどんなところがあるか教えといてやる。
GM
シーン表

1:チョコレートの泉。とろりと溶けたチョコレートの泉。いつまでも固まることなく甘いにおいをさせている。
2:お砂糖の砂漠。さらさらで真っ白のお砂糖が、かすかな風に巻き上げられながら、どこまでも敷き詰められている。
3:キャンディのプラネタリウム。夜空色の天井に、色とりどりのキャンディ。手が届けば、星の数ほど手に入る。
4:マシュマロのベッドルーム。柔らかいクッションのようにマシュマロが詰め込まれたお部屋。千切って食べてもおいしい。
5:ビスケットの迷路。ビスケットが壁のように立ち並んでいる。ときどきマシュマロやチョコレートが挟まっている。
6:グミキャンディの吊橋。ぷよぷよしたグミが編まれた吊橋。橋の下からはちょっぴり焦げた砂糖のにおい。
7:クッキーのチェス盤。バニラが白、チョコレートが黒の巨大なチェス盤。あなた達と同じサイズの駒は、氷砂糖でできている。
8:シャーベットの氷河。カラフルな氷菓子がゆっくりとどこかへ流れていく。オレンジ、レモン、ストロベリー。とっても寒い。
9:タルトの広間。床がフルーツタルトでできた円形の大広間。つやつやのいちごに足を取られないように注意!
10:キャラメルの滝。とろけたキャラメルが、見えないほど高い場所から流れ落ちてくる。そこらじゅうがべたべたする。
11:ロリポップの森。赤、青、黄色。見上げるほど大きなロリポップがたくさん!でも、飴の部分には手が届かないかも。
12:アラザンの雪原。銀色のアラザンが雪つぶてのように降っている。綺麗だけれど、ちょっと痛い。
GM
はてさて。
出してやれる情報ってのはこのくらい。
GM
C・C・Cはこの異界の主。
倒せばここを出られるし、倒せなければ……まあ『そういうこと』になる。
せいぜい気張って頑張って、ここから脱出することだ。
GM
お茶会ってやつが始まるぜ。