GM
――むかしむかしあるところに、アステリアという名前のおとめがおりました。
GM
アステリアには、星のめぐりをよみ、未来を占うちからがありました。
GM
あるときアステリアは、ひとりのやさしくすてきな若者と恋におちました。
GM
けれどもアステリアは、その若者とむすばれることをえらんだら、じぶんがちからをうしなうことを知っていました。
GM
若者はアステリアを待ちましたが、三年の月日ののちに、アステリアをおいてべつのむすめと結ばれることをえらびました。
GM
アステリアはかなしみ、星をみるのもわすれて泣きました。
GM
そうしているうちに、アステリアは堕落の国へとおちてきて、そのぶあつい雲のむこうに星は消えてうせました。
GM
星をよむちからは意味をなくし、あとにはなにものこりません。
GM
そして六ペンスコインをうばわれたとき、いのちのかわりに、アステリアはおとめであることをさしだしました。
GM
そうして、意味をなくした星よみのちからは、ほんとうにうしなわれてしまったのです――
GM
Dead or AliCe
『In The Dark, Small And Wet Room』
GM
このくらく、ちいさく、しめった部屋で、
GM
かさなり、ほどけ、とろけあう、
GM
ふたりのおはなし。
GM
アステリア
戦うことを知らなかった。
アステリア
勝つことも負けることも、考えたこともなかった。
アステリア
だから、今。
アステリア
ここにいて、息が苦しい。
GM
アステリアを負かした救世主は、アステリアの六ペンスコインを奪った後、多少の金と引き換えに、アステリアを小さな街の娼館に放り込みました。
GM
そうして、まもなく二十日。
GM
アステリアが負けたとき、一人、死人が出ています。
そのために、アステリアはまだ生きています。
GM
しかし……あと十日。
GM
どうにか、殺さなければ。
GM
アステリアに待つ運命はひとつきり。
GM
この安い娼館の、窓のない部屋。
GM
いつも夜のようなそこに訪れる客のうち、ひとり。
GM
アステリアが目をつけた救世主が、います。
GM
GM
お茶会について、シナリオ上の設定をいくつか。
GM
行動順は、PC1、PC2の順です。
GM
PC2、ヴェンフリートが客としてきた日を行動とし、すべてのシーンを、PC1、アステリアが客を取る部屋で行います。
GM
各手番で行えるクエストが、計6個あります。
GM
最初に公開されているのはひとつだけ。
GM
No.1【心を奪う】

概要:魅了し、引きつけ、意のままに動かす
条件:PC1であること・PC2を舐める行動にのみ組み合わせられる
目標値:7
消滅条件:お茶会終了と同時に消滅
成功:PC2の次の行動のクエストを指示することができる
失敗:PC1の心の疵を回復するか悪化することで、行動とクエストの両方を成功したことにしてよい。この決定はPC1が行い、PC2が内容を指示する。その際、心の疵についてPC1自ら相手に明かすこと
GM
アステリアがこれに成功すると、指示されたクエストが公開されます。
GM
基本的に2ラウンド。
GM
しかし、アステリアがお茶会を終わらせると決めたとき、それが裁判開廷の合図になります。
GM
つまり、ラウンドの短縮、あるいは延長があり得ます。
GM
また、PC1に限り、自分自身に対する行動への横槍が認められています。
GM
そのくらいですね。
GM
では、お茶会を開始します。
GM
GM
*第1ラウンド アステリア
アステリア
客が一人、部屋を去る。
アステリア
乱れたシーツにうずもれて、ためいき。
アステリア
今は何時? わからない。
アステリア
今日はあと何人? わからない。
アステリア
乾いた布で身体を拭く。
せめて、これを水に濡らすことができたらいいのに。
アステリア
床に落ちた薄い衣装を拾い上げて、着る。
アステリア
ベッドの上を、次の客のために整えて。
アステリア
そうして、次を待つ。あるいは、夜明けを。
ヴェンフリート
大きいとは言えない街の、外れにある店。
ヴェンフリート
その店先に、抱えてきた2つの樽をどんと床に置く。
ヴェンフリート
「はい、人喰い三月のワイン。肉は門の方で引き渡し済みで、それから……」
ヴェンフリート
「遺品がいくつか。ほとんど救世主のかもしれないけど、もし知ってるのがあれば、遺族の人に渡してあげて」
ヴェンフリート
一目で救世主とわかる、この世界では見慣れない衣服の男。
ヴェンフリート
店主は仕入れ値の代金を支払うと。
渡された革袋の中身を見て頷く。
ヴェンフリート
代金を受け取り、計算する。
ヴェンフリート
これだけあれば、暫く余裕がある。し……
ヴェンフリート
どうせ、また亡者が出たら同じことをするのだ。
節約の必要もない。
ヴェンフリート
「それじゃ、また何か仕事があれば宿の方にね」
ヴェンフリート
機嫌のいい背中に、店主が声をかける。
ヴェンフリート
『今日も行くのかい?』
ヴェンフリート
「まあね」
ヴェンフリート
機嫌のいいのには理由がある。
ヴェンフリート
あの子に会いに行く。
ヴェンフリート
そう、決めたから!
GM
あの子がいるのは二階の、右から三番目の部屋。
GM
安い娼館だが、娼婦自体はそれなりの数、揃っていて。
GM
店主は別の娘を勧めてみたりもしたけれど……
GM
あなたにはここしばらく、お気に入りがいる。
ヴェンフリート
彼女の姿を最初に見た時、近づくのが怖いと思った。
ヴェンフリート
別に、娼館で女を買うのは初めてではなかったし
ヴェンフリート
抱くのにも、まあ、それなりにはなれていると思う
ヴェンフリート
でも、入り口から見た彼女の姿はとても儚げで
ヴェンフリート
一緒に来た仲間が別の扉を閉める音が聞こえるまで、すっかりその場に固まってしまっていた
ヴェンフリート
それから、もう、何日が過ぎただろう
ヴェンフリート
仲間は既に他の街へと向かっていて
ヴェンフリート
自分だけがまた、ここに来ている
ヴェンフリート
2回、扉を叩く。
アステリア
「……いらっしゃいませ、お客さま」
アステリア
扉の向こうから、すっと通る声。
アステリア
「どうぞ」
アステリア
いつもと変わらぬ物言いがあなたを招く。
ヴェンフリート
すぅ、と息を吸い。吐く。
ヴェンフリート
なるべく普段どおりに扉を開いて、声をかける。
ヴェンフリート
「こんばんは」
ヴェンフリート
扉を閉める音。
アステリア
「あ……」 あなたを認めて、
アステリア
「……こんばんは」
アステリア
ほのかに笑う。
アステリア
「また、いらしてくれたのね」
ヴェンフリート
その、笑みに。言葉に。
舞い上がりそうになるのを抑える。
ヴェンフリート
「あ、あー……うん。迷惑じゃ、なかった?」
アステリア
「いいえ、……どうして?」
ヴェンフリート
「いや、だって……ほら。お店で毎回指名してくるとかさ……」
ヴェンフリート
「ストーカーみたいでキモイとか……」
ヴェンフリート
何いってんだ、俺。
ヴェンフリート
そういうこと聞くのがキモイだろ、俺。
アステリア
「やさしくしてくれるお客さまは好きよ」
アステリア
「あなたのことも」
ヴェンフリート
「そ……」
ヴェンフリート
「そっか……なら、いいんだけど」
アステリア
「こちらへどうぞ。まずはお座りになって?」
ヴェンフリート
「…………うん」
アステリア
ほとんどベッドしかない部屋で、自分のとなり、今は整ったシーツの上を示す。
ヴェンフリート
グローブを外し、装甲の認証確認部分に触れ
外した重たい装備をその場へ残し。
ヴェンフリート
薄い布地とズボンの姿で隣に座る。
ヴェンフリート
「ありがとう」
アステリア
「すぐ、ありがとうって言う」 くす、と笑う。
ヴェンフリート
「そう、かな?」
アステリア
「ええ」
ヴェンフリート
「あはは……」
アステリア
「律儀なひと」
アステリア
まぶたを閉じれば、小さなランプの明かりに、まつげの影が頬に落ちる。
ヴェンフリート
その様子に見惚れてしまう。
綺麗だな、と思う。
ヴェンフリート
「そうだ、今日さ」
ヴェンフリート
「向こうの丘に人喰い三月が出て……何人か襲われたらしくって」
ヴェンフリート
「なんとか退治はできたけど、ここのところ増えてるから……」
ヴェンフリート
「外を歩くときは、気をつけて」
アステリア
「……そと……」 小さな声。
アステリア
「そうね……」
アステリア
少し高いところにあるヴェンの顔を見上げる。
アステリア
「……ヴェンも、気をつけてね」
アステリア
「戦いって……こわいものでしょう」
ヴェンフリート
「心配してくれてるの?」
ヴェンフリート
「大丈夫だよ、俺は頑丈だから」
ヴェンフリート
左手で、リアの手に触れる。そっと。
アステリア
細い指。
アステリア
ほんのわずか冷たい。
ヴェンフリート
対象的に筋張った大きな手。
宝石に触れるようにそっと包み込む。
ヴェンフリート
へへ、と笑って視線を合わせた。
アステリア
応じるように、もう片方の手のひらが重なる。
ヴェンフリート
「でも、嬉しい」
アステリア
「……うれしい?」
ヴェンフリート
「うん」
ヴェンフリート
「リアが心配してくれるのは、嬉しいよ」
ヴェンフリート
それが、建前だったとしても。
アステリア
「…………」
アステリア
「……しかたのない、ひと」
ヴェンフリート
握った手に少しだけ力を込めて。
ヴェンフリート
誰かがしなければいけない。
みんなを守らなければいけない。
ヴェンフリート
いま、自分の番が回ってきたというだけ。
ヴェンフリート
そんなこと言うのは君だけだよ。
アステリア
今、手の届かない場所で死なれては困る。
アステリア
この部屋の外には、手が届かない。
アステリア
訪れを待つほかない。
アステリア
ヴェンの。そして、『その時』の。
アステリア
瞳を見つめる。
ヴェンフリート
「リア」
アステリア
「なあに?」
ヴェンフリート
「もう少し、触れてもいいかい?」
アステリア
「……ええ」
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
絡めた指をそのままに、隣の細い首筋に頭を寄せる。
アステリア
細い首、薄い肩。呼吸に合わせてかすかに動く。
ヴェンフリート
強い香水やシャンプーの香りはしない。
ヴェンフリート
手を引き寄せるように、繋いだまま。
ベッドの上へとリアの上体を寝かせていく。
アステリア
応じるように、指先が手のひらを辿る。
アステリア
「今日も、やさしくしてくださる……?」
ヴェンフリート
「……うん」
ヴェンフリート
右手で頬に触れる。
ヴェンフリート
末裔の首を折ることは容易い。
ヴェンフリート
救世主を客にとるのには、大きなリスクが伴うのだろう。
ヴェンフリート
この子が受け入れるのは自分ばかりでないことは知っているし、理解している。
ヴェンフリート
筋肉に沿って頬から首、肩へと指を滑らせて服に手をかける。
アステリア
もとより肌の透けるような薄い布と、細い紐。
アステリア
するりとほどけるように、肌があらわになる。
アステリア
空いた片手が、腕に触れる。
ヴェンフリート
この肌がぼろぼろだったら。
傷だらけになっていたら。
ヴェンフリート
そうだったら、自分は黙っていることができるだろうか。
ヴェンフリート
そんな考えを振り払うように、浮き出た鎖骨へ唇で触れる。
アステリア
「ん……」
アステリア
かすかに漏れる声。
ヴェンフリート
水も食料も十分でないこの世界で、暴力は娯楽だ。
ヴェンフリート
滑らせる指、肌のすぐ下に骨があるのがわかる。
ヴェンフリート
柔らかな肌を愛おしげに包んで、かたちをたしかめる。
ヴェンフリート
自分は女を抱きに来ているのではないとわかっている。
ヴェンフリート
この子に会いに来ているのだと。
アステリア
触れる手に、肌が淡く色づいていく。
アステリア
「ヴェン、」 囁くように名を呼ぶ。
ヴェンフリート
名を呼ばれると、心がざわめく。
ヴェンフリート
「リア」
ヴェンフリート
君が、好きだ。
アステリア
*ヴェンフリートの『純愛』を舐めます。ティーセット使用。
アステリア
*併せて、クエストの【心を奪う】。
[ アステリア ] ティーセット : 2 → 1
アステリア
2d6+2>=7 (2D6+2>=7) > 7[2,5]+2 > 9 > 成功
[ ヴェンフリート ] 純愛 : 0 → 1
アステリア
*ヴェンフリートの次の手番に、クエストNo.3【心を開く】を行わせます。
GM
クエスト【心を開く】

概要:あなたは相手をもっと内側に招きたい。だから、心の鍵を渡す。
条件:PC2であること
目標値:自動的に成功
消滅条件:お茶会終了と同時に消滅
成功:PC2はPC1に対し、技能による同意や許可を求められたときに拒否できなくなる。
(主に調律について。他には伝授、貢物、愛染など)
アステリア
肌で、くちびるで、触れられるたび。
アステリア
この男を殺すのだ、と思う。
アステリア
生きるために。
GM
GM
*第1ラウンド ヴェンフリート
ヴェンフリート
誰もが苦しみを、葛藤を、絶望と希望を抱えたこの国で。
ヴェンフリート
特別にしたいと思う人が、できてしまった。
ヴェンフリート
俺はこの子に、恋をしている。
ヴェンフリート
それがどのくらいの時間だったのか、いつもわからなくなる。
ヴェンフリート
一瞬にも、永遠にも思える時間。
ヴェンフリート
ここにいる間、この店の店主が扉を叩くことはない。
ヴェンフリート
代金も十分に渡しているし、なにより、立場とこれまでの信用がある。
ヴェンフリート
ベッドの上に仰向けに横たわり、天井を見上げたまま。
ヴェンフリート
視線を隣へと流す。
アステリア
目を閉じ、あなたの方を向いて、かすかに身を丸めて。
アステリア
眠ってはいない。それを、あなたはもう知っている。
ヴェンフリート
いつまでも見ていられる。
ヴェンフリート
ここが元いた世界でなくてよかった。
ヴェンフリート
馬鹿みたいに花束やドレスの贈り物をして
ヴェンフリート
仲間に笑われずにすむ。
ヴェンフリート
上体を起こし、髪を撫でる。
アステリア
薄く目を開いて、
アステリア
それから、心地よさそうに再び閉じる。
アステリア
「……ふふ」
ヴェンフリート
「起こした?」
アステリア
「起きてた」
ヴェンフリート
「じゃ、もしかして。さっき君の顔を30秒くらいずっと見てたのも気づいてた?」
アステリア
「いつもよりは短かったわ」
アステリア
今日に限らず、もうずっと、その視線を感じている。
ヴェンフリート
「えっ、そ、そうかな……」
ヴェンフリート
「そうかも」
ヴェンフリート
「……ねえ、リア」
アステリア
「なあに?」
ヴェンフリート
「リアも知ってるだろう、救世主が……最後の一人になったら」
ヴェンフリート
「世界が救済される……みたいな話」
アステリア
「……ええ」
ヴェンフリート
「リアは……世界を救済してほしいって、思う?」
アステリア
「せかい…………」 どこかたどたどしいような声で繰り返す。
アステリア
「……わからないわ」
アステリア
そうなったとき。救世主の屍の山の底に、アステリアはいるだろう。
アステリア
末裔を演じるのなら、ふたつ返事で、もちろん、と言うべきだったのかもしれない。
アステリア
言えばよかったな、と。思ったけれど、もう遅い。
ヴェンフリート
「そっか……そっか」
ヴェンフリート
「なんか、『救済』ってお得だと思ってさ」
アステリア
「おとく?」
ヴェンフリート
「うん」
ヴェンフリート
「争いってさ、きりがないじゃない」
ヴェンフリート
「欲しい物を奪ったり、気に入らないやつを黙らせたり」
ヴェンフリート
「そういうのって、どうやっても終わらないと思うんだよね」
アステリア
「うん……」
ヴェンフリート
「でも、もしかするとその『救済』ってやつはぜんぶ終わらせてくれるのかもしれない」
ヴェンフリート
「って考えると、ゴールがあるのはお得だなって」
アステリア
「ゴール」
アステリア
「ヴェンは……誰かがそこに辿り着けるって、ほんとうに思う?」
ヴェンフリート
どうしたら、君がそんな顔をしなくていいように、なるのだろう。
ヴェンフリート
何をしたら、喜んでくれるだろう。
ヴェンフリート
「正直、あんまりね……堕落の国(ここ)に来て長くはないけど、そもそもだいたいの救世主が乗り気じゃなさそうだし」
ヴェンフリート
世界が救われたら、君も救われる?
ヴェンフリート
救いってなんだろう。
ヴェンフリート
「それに、俺が生きてる限り誰かが唯一になるってことはないだろうし」
ヴェンフリート
「そう考えると、俺がなるしかないじゃない?」
アステリア
瞬く。
アステリア
「あなたが……?」
ヴェンフリート
「あっ、無理だって思ったでしょ」
アステリア
「……だって」
アステリア
「……だって……」
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
「君を……」
ヴェンフリート
「君を、笑顔にしたいんだ」
アステリア
かすかに息を呑む。
アステリア
「ヴェン……」
ヴェンフリート
「もちろん、今のままじゃ無理さ。コインも10枚しか持ってないし、裁判の相手を探すだけでも大変なこんな辺境じゃ……強くはなれない」
ヴェンフリート
視線をそらす。
ヴェンフリート
「だから、期待させるようなこと、本当は言っちゃいけないんだ……でも」
ヴェンフリート
「君を」
ヴェンフリート
「君を、絶対に守れるくらい、強くなって、いつか……」
ヴェンフリート
その先の言葉を飲み込む。
ヴェンフリート
「…………」
アステリア
言葉を飲み込んだそのさまに、手を伸ばす。
アステリア
なのに、触れるのをためらう。
ヴェンフリート
いつか、は。手を伸ばさなければやってこない。
ヴェンフリート
力を手に入れたければ、離れるしかない。
ヴェンフリート
離れれば、君を守れない。
ヴェンフリート
伸ばされた手をとる。
アステリア
小さな手だ。なんの力があるようにも思えない。
ヴェンフリート
「なんて、随分先の話になりそうだけど」
ヴェンフリート
街を一歩出れば、どこまで続くとしれない荒野が広がっている。
ヴェンフリート
自分よりも強力な救世主や亡者にいつ遭遇するかわからない。
ヴェンフリート
この街で暮らすのが、彼女にとって安全であることはわかっている。
ヴェンフリート
だけど
ヴェンフリート
「その時は、その、もし……君が望んでくれるなら、だけど」
ヴェンフリート
「一緒に来て、くれる?」
ヴェンフリート
*アステリアの疵『純愛』を愛で舐めます
アステリア
*横槍します……
アステリア
*ティーセット使います……
アステリア
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
アステリア
2d6+2>=7 (2D6+2>=7) > 11[6,5]+2 > 13 > 成功
アステリア
1d6 (1D6) > 6
ヴェンフリート
2d6+3-6>=7 (2D6+3-6>=7) > 7[2,5]+3-6 > 4 > 失敗
アステリア
答えの代わりに、取った手がこわばる。
アステリア
「…………」 裸の胸に、シーツを手繰る。
[ アステリア ] HP : 15 → 14
アステリア
一瞬。ざわめいた胸に、ざらついた布地が現実を教える。
アステリア
夢見がちなヴェン。わたしが何を考えているか知りもしない。
アステリア
「……そうできたら」
アステリア
「きっと、すてきね」
アステリア
目を逸らす。
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
君が、好きだ。
ヴェンフリート
そう言えたら、いいのに。
ヴェンフリート
困らせてしまうと、拒絶されたらと思うと。
ヴェンフリート
その先に、踏み込めない。
ヴェンフリート
「がんばって強くならないとなぁ」
ヴェンフリート
君を全てから、守れるくらい。
GM
あなたの心の鍵は、もう開いている。
その外に、自ら踏み出すことはできなくとも。
GM
もしも踏み入られれば、拒めない。
GM
【心を開く】は自動成功。
ヴェンフリートは、アステリアから技能の効果に同意を求められた場合、拒否できなくなります。
アステリア
「強くなんて……」 言いかけて。
アステリア
「……いいえ、……」
アステリア
「……ごめんなさい、わたし」
アステリア
「わたし……」 言葉が消えていく。
ヴェンフリート
「ごめん、困らせちゃうよね」
ヴェンフリート
「どこにも行かないよ」
ヴェンフリート
「街の人も、できるだけいて欲しいって言うし……」
ヴェンフリート
「戦うの、あんまり得意じゃないしね」
アステリア
「ヴェン、……」
アステリア
何を言おうとしたのか、自分でもよくわからない。
アステリア
殺して奪うために、何を言ったらいい。
ヴェンフリート
「ん?」
アステリア
「…………」 手を引き寄せる。
アステリア
頬に触れさせる。
アステリア
「……あたたかいわ」
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
「それは……よかった、な……」
アステリア
少しかさついた頬と、さらりと落ち掛かる髪の感触。
ヴェンフリート
毎日、毎夜、君を好きになっていく。
ヴェンフリート
会おうとも、会わざるとも。
ヴェンフリート
「君も」
ヴェンフリート
「温かいよ」
ヴェンフリート
触れ合った部分からぬくもりが伝わり合う。
ヴェンフリート
もう少し、後少しだけ。
ヴェンフリート
そんな言葉が、ずっと、自分をこの場所に。街に。世界につなぎとめていた。
アステリア
ゆっくりと同じ温度になっていく。
アステリア
もう少し。あと少し。
アステリア
警戒されていない。開かれている。それを確かめる。
アステリア
そのさまに。
アステリア
どう殺したらいいかを、考えながら。
アステリア
今、ぬくもりはとけあっている。
アステリア
「…………」
アステリア
「……ねえ」
アステリア
何事か、くちびるに乗せかけて。
アステリア
「もう少し、一緒にいてくださる?」
アステリア
本当に言おうとしたことは、言わない。
ヴェンフリート
「喜んで」
アステリア
「うん……」
ヴェンフリート
心の底から、嬉しかった。
GM
GM
*第2ラウンド アステリア
アステリア
1d12 前の客 (1D12) > 12
GM
12:前と同じ客だ。すっかりあなたをお気に入りにしている。
アステリア
馴染みの白兎が帰る。
アステリア
気分屋の白兎は、優しくする日と、酷くする日の落差が激しい。
アステリア
今日は、どちらかといえば酷かった。
アステリア
強く押さえつけられた身体が、薄い布団の下の板を感じてひどく痛んだ。
アステリア
息をつく。
アステリア
もうすぐ。もうすぐ、この部屋から。
アステリア
きっと。
アステリア
……きっと。
アステリア
出ていく。出て、……それから。
アステリア
それから、…………
アステリア
考えながら、常のように、次の客のための準備をする。
アステリア
申し訳程度に身体を清め、服を着て、ベッドを整えて。
アステリア
……せめて窓があったら。
アステリア
そう思ううちに、また、扉が叩かれる。
ヴェンフリート
「……はいっていいかい?」
アステリア
ヴェンの声だ。
アステリア
一呼吸だけおく。
アステリア
「……いらっしゃいませ、お客さま」
アステリア
「どうぞ」
ヴェンフリート
扉を開く。
ヴェンフリート
その手に、ちょっとした贈り物の箱を携えて。
ヴェンフリート
ラッピングなどもない、小さな。
手のひらより少し大きい程度の箱。
ヴェンフリート
扉を閉めて、やぁ、と挨拶する。
アステリア
「……こんにちは。それとも、こんばんは、かしら……」
アステリア
「ここにいると、ときどき、わからなくて」
アステリア
微笑む。
ヴェンフリート
「今は夜。日中は色々忙しくて」
ヴェンフリート
と、話したところで気づく。
ああ、外を歩くことなど……ないのだと。
アステリア
今、アステリアの世界はこの部屋がすべて。
アステリア
運ばれてくる食事と新しいシーツ。運ばれていく、空の皿と汚れた布。
アステリア
小さなランプの明かりが、絶えず揺らめくこの部屋で。
アステリア
訪れる者を拒むこともできない。
ヴェンフリート
「そうだ、えっと……これ」
ヴェンフリート
差し出すのは白い箱。
ヴェンフリート
「今日、救世主のキャラバンが来てて」
ヴェンフリート
「譲ってもらったんだ」
アステリア
「……?」
ヴェンフリート
中には、かわいい包み紙のキャンディが5つ。
ヴェンフリート
「一つ食べてみて大丈夫だったから、毒は入ってないと思うし」
ヴェンフリート
「よかったら、ね」
アステリア
「……キャンディ?」 両手で箱を受け取って、それからあなたを仰ぐ。
アステリア
「……いいの?」
ヴェンフリート
「うん」
ヴェンフリート
本当はもっと、色んなものをあげたい。
ヴェンフリート
一緒に食べたい。外を歩きたい。
ヴェンフリート
でも、自分にできるのは、この身体を使って戦うことだけで。
ヴェンフリート
物を作り出すどころか、何かを取り寄せることだってできない。
ヴェンフリート
この街から離れられない。
ヴェンフリート
「ごめんね、こんな物しか……贈れなくて」
アステリア
「ヴェン……」
アステリア
胸元に、白い小箱を引き寄せる。
アステリア
キャンディひとつだって、この国ではずいぶんな貴重品だ。
アステリア
「ありがとう」
[ アステリア ] ティーセット : 1 → 0
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
こんなものでは、彼女を笑顔にすることなんてできないと。
ヴェンフリート
わかっているのに。
アステリア
「……座って?」
アステリア
そっと、隣に招く。
ヴェンフリート
いつものように装甲を外して隣へ。
ヴェンフリート
右手を頬へ伸ばし、親指で目の下あたりを撫でる。
アステリア
されるまま、ただあなたを見つめる。
ヴェンフリート
どうしたら、君は……。
ヴェンフリート
わからない、けれど、わかっていることがひとつある。
ヴェンフリート
彼女がずっと、ここにいるということだ。
ヴェンフリート
「取り上げられたりしない?」
アステリア
「……隠しておくわ」
アステリア
「大丈夫」
ヴェンフリート
「見つかったら俺にもらったって、言うんだよ」
アステリア
今は開いた箱の中、キャンディのひとつを指先でつついて。
アステリア
「うん」
アステリア
頷く。キャンディの包み紙がかさりと音を立てる。
ヴェンフリート
『きっと、すてきね』と、言われた時のことを忘れられない。
ヴェンフリート
今日は、少し疲れているように見える。
ヴェンフリート
もしかしたら、たくさん客をとったのかもしれないし
良い客でなかったのかもしれない。
ヴェンフリート
自分がここに来る前に、ここには別の男がいて
ヴェンフリート
その前にも、別の男がいて
ヴェンフリート
…………。
アステリア
「……ヴェン?」
ヴェンフリート
「えっ、ああ……何?」
ヴェンフリート
「ごめん、ちょっとぼーっとしてた」
アステリア
「……難しい顔、してたから」
アステリア
「どうしたのかしらと、思って」
ヴェンフリート
「なんでもないよ。ほんと」
ヴェンフリート
嘘だ。
ヴェンフリート
嘘をついた。
ヴェンフリート
君を独り占めにしたいなんて。
ここから攫いたいだなんて。
ヴェンフリート
言えないよ。
ヴェンフリート
ごまかすように、そっと。
頬から滑らせた手で頭を胸元へ引き寄せる。
ヴェンフリート
「なんでもない」
アステリア
「…………」 そっと、胸に頬を寄せる。
アステリア
そのぬくもりの向こうに、心臓の音を数える。
アステリア
ひとつ。ふたつ。
アステリア
「…………」 目を閉じて。
アステリア
箱をそっと膝の上に乗せ、ヴェンの身体に腕を回す。
アステリア
なんの力もない、ただ細い女の腕の、どこか縋るような抱擁。
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
君を笑顔にしたい。
ヴェンフリート
君を自由にしたい。
ヴェンフリート
そんなことを思いながら、ただ、自分がしているのは。
ヴェンフリート
髪に頬を寄せて、寄り添うだけ。
ヴェンフリート
「リア」
アステリア
「……なあに?」
ヴェンフリート
好きだよ。
ヴェンフリート
それだけのことが、言えない。
ヴェンフリート
だから、代わりに。
ヴェンフリート
「キスしても、いいかい」
アステリア
「…………」 少しだけ、黙り。
アステリア
それから、そっとあなたを仰ぐ。
アステリア
「……いいの?」 そう尋ねる。
ヴェンフリート
「えっ?」
アステリア
娼婦とくちびるを交わすことを避ける客も少なくはない。
ヴェンフリート
「あっ、いや……嫌ならいいんだ、ぜんぜん……っ」
アステリア
「……そうじゃ、なくて……」
アステリア
「身体を売ってる女と……」
アステリア
「キスなんてしたがらないひとも、多いから」
アステリア
「だから……」
アステリア
自分は汚れている。そう思う。
アステリア
かつて、愛しいと思った相手にさえ許せなかった身体を、今は、誰にでも開く。
アステリア
そう、なってしまった。
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
顔を近づけ、唇を重ねる。
ヴェンフリート
その言葉を閉ざすように。
アステリア
小さく震える。
アステリア
くちびるの温度に。やわらかさに。
ヴェンフリート
頭を撫でるように支えて、唇を喰む。
アステリア
されるまま。
アステリア
応じるすべは知らない。
アステリア
乱暴に貪られたことはあっても、こんなキスはされたことがない。
ヴェンフリート
唇を離して、額を合わせ。
ヴェンフリート
「俺は」
ヴェンフリート
「君のことを、そういう風に思ったことはないよ」
ヴェンフリート
身体を売ってる女。それは、その通りだけど。
ヴェンフリート
その言葉に含まれる色々な感情を
ヴェンフリート
消し去ってしまえたらいいのにと、思った。
アステリア
目の前の瞳から目を逸らせない。
アステリア
何を言ったらいいのかも、わからない。
アステリア
心を傾けられていることだけが、あまりにもはっきりとわかる。
ヴェンフリート
額を押し付けるようにして、ゆっくりと。
ヴェンフリート
ベッドの上に、身体を倒していく。
ヴェンフリート
膝の上にのった小さな箱のことなど、もうどうでも良くなっていて。
ヴェンフリート
今は、眼の前の彼女に伝えたかった。
ヴェンフリート
俺は君が好きだと。
ヴェンフリート
君に恋していると。
ヴェンフリート
君を愛していると。
ヴェンフリート
言葉にできない。してはいけないようなそれを
ヴェンフリート
伝えるすべが、他に思いつかなくて。
アステリア
膝の上から箱が落ち、キャンディがこぼれる。
アステリア
「あ、」
アステリア
ごく軽いものの落ちる、かすかな音。
アステリア
「ヴェン……」
ヴェンフリート
「うん」
アステリア
「もう、いちど」
アステリア
その先が、迷うように掻き消える。
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
ベッドの上で、再び唇を重ねる。
ヴェンフリート
金さえ払えば誰とでも寝る。
だって、そうして生きているんだから。
ヴェンフリート
自分も、その誰とでものひとりだ。
ヴェンフリート
でも、今この時は
ヴェンフリート
そうでない気がして。
アステリア
息ができない。苦しい。
アステリア
くちびるが塞がっているからではなくて。
アステリア
「…………、」
アステリア
あなたの首筋に触れる。
アステリア
今、ここに、刃を突き立てればいいのだろうか。
アステリア
ここに、このあたたかい場所に。
アステリア
「ヴェン、」 くちびるの離れるとき、名を呼ぶ。もう一度。
ヴェンフリート
「……なぁに」
アステリア
「ねえ、ヴェン……ヴェンは」
アステリア
「誰にでも、いまと同じように、やさしくできる?」
アステリア
*ヴェンフリートの『博愛』を舐めます。併せて、【心を奪う】。
アステリア
2d6>=7 (2D6>=7) > 9[5,4] > 9 > 成功
[ ヴェンフリート ] 博愛 : 0 → 1
アステリア
*次の手番で、クエストNo.4を。
GM
クエスト【心を染める】

概要:あなたは相手を心から望む。だから、相手の望むままになりたい。
条件:PC2であること
目標値:自動的に成功
消滅条件:お茶会終了と同時に消滅
成功:自身のデッキから技能を一つ入れ替える。その際、PC1が内容を指示する。
アステリア
できると言ってほしいのか、君だけだよと言ってほしいのか。
アステリア
自分でも、わからない。
ヴェンフリート
できる、できない。そう聞かれたら、そう。
ヴェンフリート
答えは『Ja(はい)』だ。
ヴェンフリート
でも、違う。そうじゃないんだ。
ヴェンフリート
だから、こう答える。
ヴェンフリート
「しないよ」
アステリア
「……………………」
アステリア
「うん……」
ヴェンフリート
しない、したくない。君以外には。
ヴェンフリート
でも、大切なことだからこそ、嘘をつけなくて。
アステリア
首に触れた手は、刃を握ることも、それを絞めようとすることもなく、
アステリア
ぎゅう、としがみつく。
ヴェンフリート
リア。
ヴェンフリート
それが君の、本心でも。そうでなくても。
ヴェンフリート
俺は。
ヴェンフリート
頭を支える。肩から背を撫でる。
ヴェンフリート
「リア……リア……」
ヴェンフリート
伝わっても、伝わらなくても。
ヴェンフリート
大好きだという、思いをたくさん込めて、唇を。
身体を重ねる。
アステリア
乱れたシーツの上に、髪が散らばり。
アステリア
吐息と、喘ぎと。
アステリア
そして、時折。
アステリア
零れそうになる涙を、押さえつける。
アステリア
だめ。
アステリア
考えてはだめ。
アステリア
考えたら、
アステリア
……、…………。
アステリア
何も言えない。
アステリア
何も。
アステリア
ただ名前だけを、切れ切れに繰り返す。
アステリア
「ヴェン……」
ヴェンフリート
誰かの心に触れるとき、どうしてこうも罪深いと感じるのだろう。
ヴェンフリート
こんなに好きでも、好きになってもらっていたとしても。
ヴェンフリート
なにかの犠牲なしに、救うことはできない。
ヴェンフリート
救うという考え自体が烏滸がましい。
ヴェンフリート
何が救世主だ。
ヴェンフリート
呼吸が乱れる。
脳が痺れて、思考が麻痺する。
ヴェンフリート
壊してしまわないようにと、大切にと思いながら。
ヴェンフリート
こうして、ひとつになることに舞い上がって
ヴェンフリート
つい、必死になってしまう。
ヴェンフリート
離したくない、離れたくない。
ヴェンフリート
君とキスしたい。君と……
ヴェンフリート
君と、ずっと……いられたら
ヴェンフリート
「……っ」
アステリア
「あ、」
ヴェンフリート
「あ……」
ヴェンフリート
それでも、どうしても、離れられなくて。
ヴェンフリート
強く、背を抱いた。
アステリア
女の指先もまた、あなたの背中を辿る。
アステリア
だめ、と。そう言う自分と。
アステリア
なにもかも投げ出してしまいたい自分とが。
アステリア
指先を震わせる。
アステリア
「ヴェン……、」
ヴェンフリート
「…………」
アステリア
「……ごめんなさい……」
アステリア
こぼれるようにそう言って。
アステリア
女の背を抱いたあなたの腕に、重みが増す。
アステリア
「………………」
アステリア
背を辿っていた指先が、するりと滑って、シーツの上に投げ出される。
ヴェンフリート
「リア……」
ヴェンフリート
どうして、と、聞けない。
ヴェンフリート
聞けないまま。
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
いちばん大切なことを伝えられないまま。
ようやく身体を離した。
GM
GM
*第2ラウンド ヴェンフリート
ヴェンフリート
リアが目を覚ます時、男は隣に
ヴェンフリート
背を向けて寝ている。
ヴェンフリート
寝ているというのは正しくない。
ヴェンフリート
眠れず、黙って横になっている。
アステリア
「ん、……」
アステリア
「……ぁ」
アステリア
目が開く。
アステリア
どれほど眠っていたかわからない。
アステリア
「……ヴェン……?」
ヴェンフリート
「ん……」
ヴェンフリート
返事は返ってくるが、背は向けたまま。
アステリア
「……ごめんなさい。起こした、かしら……」
アステリア
先程の、どこか切実な「ごめんなさい」とは違う。
ヴェンフリート
「いや、あの……」
ヴェンフリート
身体を起こす。
ヴェンフリート
「ごめん……さっき……痛かっ、た?」
ヴェンフリート
そういうことではないのはわかっている。
ヴェンフリート
わかっているが、聞いてしまうと。
ヴェンフリート
何かが、取り返しのつかなる気がしていた。
アステリア
「……大丈夫。やさしくしてくれてるもの」
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
横たわる、その身体の。肩に手を添えて。
ヴェンフリート
「ねえ、リア」
ヴェンフリート
「やっぱり、俺……君を置いて、何処へもいけないよ」
ヴェンフリート
「こんなこと言われるの、キモいって思われるかもしれないけど、でも……」
ヴェンフリート
「いけない……」
ヴェンフリート
「君と、離れられない」
ヴェンフリート
そうして、世界が救えなくても
ヴェンフリート
他の誰かが苦しんでいても。
ヴェンフリート
「君と、一緒にいたいんだ」
アステリア
かすかにくちびるが震えた。
アステリア
ヴェンよりも前に、アステリアと一緒にいたい、と、そう言ってくれたひとのことを思い出した。
アステリア
手を取れなかったひとのことを。
ヴェンフリート
君を幸せにしたいのに。
ヴェンフリート
君が他の誰かの隣で笑っているのを、想像したくない。
ヴェンフリート
「君が……」
ヴェンフリート
「君が好きだ」
アステリア
「っ、」
ヴェンフリート
*アステリアの疵『純愛』を愛で舐めます
アステリア
*横槍します……
アステリア
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
アステリア
2d6>=7 (2D6>=7) > 11[6,5] > 11 > 成功
アステリア
1d6 (1D6) > 4
ヴェンフリート
2d6+3-4>=7 愛 (2D6+3-4>=7) > 4[1,3]+3-4 > 3 > 失敗
GM
あなたの言葉は、女の心を染められない。
染まっていくのはあなたのほうだからだ。
GM
【心を染める】は自動成功。
[ アステリア ] HP : 14 → 13
アステリア
*『祝福』を『逆鱗』に。
アステリア
「……わたし」
アステリア
「好きだと言ってくれたひとを……」
アステリア
「……きっと、あのとき、裏切ったわ」
ヴェンフリート
瞬く。
アステリア
「……あのとき……」
アステリア
あのとき、自分にあったもの。
アステリア
それを、あのひとのために、捨ててしまえていたら。
アステリア
少しは、何かが違ったのだろうか。
アステリア
「……わたしは、いつだって、自分の身がかわいくて……」
アステリア
これ以上、言ってはいけない。
アステリア
何かが言葉を塞き止める。
アステリア
ただ、ひとつ。
アステリア
あれほど押さえつけていた涙が、ほろりと落ちた。
ヴェンフリート
「リア……?」
アステリア
「ごめんなさい……」
アステリア
「ごめんなさい、ヴェン……」
ヴェンフリート
「え……」
アステリア
かすれるような声が、ごめんなさい、ともう一度繰り返す。
ヴェンフリート
「どうして」
ヴェンフリート
「どうして謝るのさ」
ヴェンフリート
「俺こそ、勝手なこと言ってごめん」
アステリア
「……ちがうの」
アステリア
「ちがうの……」
アステリア
まるで子どものようだった。
アステリア
ろくに意味のあることなど言えずに。
アステリア
ただ、ちがう、と、ごめんなさい、とを繰り返す。
ヴェンフリート
「あっ、えっと……」
ヴェンフリート
どうしたらいいだろう。
ヴェンフリート
同じ気持ちだったらいいなって、勝手に思って。
ヴェンフリート
馬鹿みたいだ、俺。
ヴェンフリート
ほんと、最低だ。
ヴェンフリート
「リア」
アステリア
「ぅ、ん……」
ヴェンフリート
「俺……街を出るよ」
アステリア
「……っ」
ヴェンフリート
「明後日、また来る、から……」
ヴェンフリート
「考えてほしい」
ヴェンフリート
「俺と、一緒に……」
ヴェンフリート
「一緒に、きてほしいんだ」
ヴェンフリート
いつか、なんてもうやめよう。
ヴェンフリート
君を死ぬ気で守るから。
ヴェンフリート
絶対守るから。
アステリア
「わ、たし、……ヴェン……」
アステリア
曖昧に震える声。
ヴェンフリート
「明後日」
ヴェンフリート
「もし、合うのも嫌だって……なったら」
ヴェンフリート
「店長さんに言ってくれても、いいから」
ヴェンフリート
ベッドから降りて、身繕いを。
ヴェンフリート
そして、頑丈な装甲の機械的な装着音。
アステリア
ヴェン、と。呼びかかって、くちびるを閉ざす。
アステリア
いかないで、と。言ってしまう気がした。
アステリア
たすけて、と。縋ってしまう気がした。
アステリア
「……明後日……」 小さな小さな呟き。
ヴェンフリート
思案している間に、扉の閉まる音。
アステリア
もう猶予はない。ヴェンがこの街に留まるのも、……アステリア自身に残された時間も。
アステリア
明後日。
アステリア
手のひらから滑り落ちていく時間。
アステリア
溺れるような息苦しさ。
アステリア
この部屋に窓はない。
アステリア
だから、暗闇に溺れている。
アステリア
「ヴェン……」
アステリア
「いかないで」
アステリア
「……たすけて……」
アステリア
誰も聞いていない。
アステリア
聞いていないから、言える。
アステリア
聞いていないところでなければ、言えない。
アステリア
言えるはずもない。
GM
GM
そして二日が経つ。
アステリア
窓のない部屋に時を告げるのは、下働きのトカゲが運ぶ、日に二度の食事と、リネンの交換。
アステリア
それが一度訪れるたび、来ないで、と思った。
アステリア
いっそ、店主に、訪いを拒んでもらおうかとも思った。ヴェンの言った通りに。
アステリア
でも。
アステリア
そうすれば、わたしに待っているのは。
アステリア
……それが、怖くて、怖くて、たまらない。
アステリア
殺さなければならない。
アステリア
殺して、六ペンスを奪って、……
アステリア
握ったこぶしが震える。
ヴェンフリート
扉が叩かれる。
ヴェンフリート
荷物は店主に預け、一番近い街へ、馬車の手配もした。
ヴェンフリート
この街ですべきことは、たったひとつ。
ヴェンフリート
だから、大好きな人を、迎えにきた。
アステリア
あなたの叩いた扉の向こうから。今日は、いらっしゃいませとも、どうぞとも声は掛からず。
アステリア
「ヴェン……?」
アステリア
ただ、震える声が、かすかにだけ届く。
ヴェンフリート
「うん」
ヴェンフリート
「迎えに来たよ、リア」
アステリア
「……入って」
ヴェンフリート
緊張から、ごくりとつばを飲み。
ヴェンフリート
扉を開く。
アステリア
「ヴェン……」
アステリア
いつもはベッドに腰掛けて待つ女が、その少し手前で佇んでいる。
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
「どうするか、決めてくれた?」
アステリア
一度あなたを仰ぎ見て、
アステリア
それから、視線が逃げて。
アステリア
その視線の先に、キャンディの小箱がある。
アステリア
結局、ひとつも食べていない。
アステリア
「……ずっと考えていたわ」
アステリア
「ずっと……」
ヴェンフリート
「うん」
アステリア
「でも、」
アステリア
「……きっと、あなたは」
アステリア
「もう……わたしを連れて行っては、くれなく、なるわ」
ヴェンフリート
「え?」
アステリア
「ヴェン……」
アステリア
「…………」
アステリア
一歩、二歩。
アステリア
あなたに近づいて。
アステリア
まるで抱きつこうとするように――
ヴェンフリート
どうして、と。問う間もなく。
アステリア
ナイフが振るわれる。
アステリア
刺すことも知らない。
アステリア
戦うことなどまるでわかっていない、拙い刃。
アステリア
それでも、
アステリア
「…………っ、」
アステリア
その手は、しっかりとナイフを握っている。
ヴェンフリート
「え……?」
ヴェンフリート
何をされたかわからなかった。
ヴェンフリート
それなりに訓練は受けていた。
ヴェンフリート
それでも、何をされているかわからない。
アステリア
「……もうだめなの」
アステリア
「もう、……わたしは、」
ヴェンフリート
「リア……?」
アステリア
「こうするしか、ないの……!」
アステリア
*裁判MOD『不意を突く』を使用。裁判を開廷。
GM
*同時に、心の疵MOD『逆棘』が発動。すべての○の疵が、●へと変更されます。
ヴェンフリート
何が起きてる?何が起こった?
ヴェンフリート
俺は、どうして刃を向けられているんだ。
ヴェンフリート
どうして……?街を出ると言ったから?
ヴェンフリート
みんなを裏切る行為だから……?
[ ヴェンフリート ] 博愛 : 1 → -1
ヴェンフリート
君が好きだ。
ヴェンフリート
こんなにも、好きで……何を犠牲にしても
ヴェンフリート
怖くないと思った
ヴェンフリート
絶対に守ると、誓った
ヴェンフリート
己自身に、誓って……それで……
ヴェンフリート
じゃあ、なんで
ヴェンフリート
なんで、リアは、俺に
ヴェンフリート
ナイフを向けて…………
[ ヴェンフリート ] 純愛 : 1 → -1
ヴェンフリート
「…………っ、」
ヴェンフリート
涙は出ない。
ヴェンフリート
俺は泣き虫だから、とってもらったから。
ヴェンフリート
だけど
ヴェンフリート
「っあ、あああ……うう、え……あああああ」
ヴェンフリート
嗚咽の声を上げながら、その場に膝をつく。
ヴェンフリート
頭を抱え、何度も自問する。
ヴェンフリート
どうして、どうして、どうして
ヴェンフリート
背中で盛り上がった鱗が服を突き破り、隆起する。
ヴェンフリート
どうして
アステリア
息を呑む。ナイフをぎゅっと握りしめる。
アステリア
女の手に収まるばかりの、小さなナイフを。
ヴェンフリート
「リア……」
ヴェンフリート
消え入りそうな、潰れたような声。
ヴェンフリート
「リア…………」
アステリア
「…………、」
アステリア
もう、名前は呼ばない。
GM
*先制判定。
アステリア
*『不意を突く』の効果で、アステリアを先攻にします。
ヴェンフリート
はい
GM
*裁判第1ラウンド 手札補充
アステリア
*『不意を突く』の効果で、15枚引いて、5枚まで削ります。
アステリア
*h2 d3 h4 s4 d4 d5 s6 d9 s8 h9 d10 cJ cQ hQ sK
アステリア
*うち、残すのはs4 s6 d10 cJ sK
ヴェンフリート
*h3 h5 c6 s7 sQ
GM
*裁判第1ラウンド アステリア
アステリア
*d10鋭気
アステリア
*s6暗器、対象ヴェンフリート s4精確を割り込み
アステリア
1d6 精確 (1D6) > 6
アステリア
2d6+1+6>=7 (2D6+1+6>=7) > 5[4,1]+1+6 > 12 > 成功
アステリア
c(2+3+2+1+3) 威力+鋭気+看破+発狂+逆鱗 c(2+3+2+1+3) > 11
ヴェンフリート
*防御 s7 h5 sQ +防弾コート
GM
4点軽減。
ヴェンフリート
c(11-4) c(11-4) > 7
[ ヴェンフリート ] HP : 21 → 14
アステリア
リア、と。呼ぶ声を振り払うように、ナイフを振るう。
アステリア
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《封印》
ヴェンフリート
避けるどころか、動こうともしない。
ヴェンフリート
世界が崩れ去ったかのような絶望の中で
ヴェンフリート
ただ、植え付けられた本能だけが、命を守る。
アステリア
硬い鱗に阻まれながら、それでも、動かなければ傷にはなる。
アステリア
暗い部屋に血が跳ねる。
ヴェンフリート
人を傷つけたことなどないだろう彼女が
ヴェンフリート
刻んだ傷から血が吹き出る。
ヴェンフリート
痛い。
ヴェンフリート
もはや、何の痛みだかわからない。
アステリア
まだ、自分がナイフを振るっただけ。
アステリア
なのに、息がひどく苦しい。
アステリア
喉が熱い。
GM
*裁判第1ラウンド ヴェンフリート
ヴェンフリート
*牽制 c6 精確 h3
ヴェンフリート
1d6 (1D6) > 4
ヴェンフリート
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 6[4,2]+4 > 10 > 成功
ヴェンフリート
c(2+3) 威力+逆鱗 c(2+3) > 5
アステリア
*豪華な衣装で1点軽減
[ アステリア ] HP : 13 → 9
ヴェンフリート
「っ……ああああっ!」
ヴェンフリート
腕を振って立ち上がる。
ヴェンフリート
振るわれた右手は相手の胴を薙いで吹き飛ばす。
ヴェンフリート
「なんで……」
ヴェンフリート
「どうしてなんだ、リア……」
ヴェンフリート
「リア……!」
アステリア
ひぅっ、と。悲鳴にもならない細切れの息とともに、細い身体がベッドの方へと吹き飛ぶ。
アステリア
勢いよく投げ出されたベッドは、衝撃を和らげてくれるほど分厚くも柔らかくもない。
ヴェンフリート
謝ってすむものなら、きっと、こんなことはしない。
ヴェンフリート
じゃあ、殺さないといけないほどの理由って……なんだよ。
ヴェンフリート
わからないわからないわからないよ
ヴェンフリート
どうして、何も言ってくれないんだ……
アステリア
よろよろと起き上がる。
アステリア
ベッドに上体を起こしたそのさまは、形だけ見れば、見慣れたようなそれにも見えて。
ヴェンフリート
その姿を、見下ろす。
アステリア
けれどその手に、固く握られた刃。
ヴェンフリート
「やめよう、リア……こんなこと、やめようよ……」
アステリア
「…………、」
アステリア
「だめなの」
アステリア
「どうしても……」
アステリア
かすれる声は、泣き出す寸前のようで。
アステリア
右手だけが頑なに握りしめられている。
GM
*ラウンド終了 手札廃棄
アステリア
*キープ
ヴェンフリート
なしなし
GM
*裁判第2ラウンド 手札補充
アステリア
*s2 s5 h8(cJ sK)
ヴェンフリート
*h7 h10 s10 hK hA
GM
*裁判第2ラウンド アステリア
アステリア
*h8鋭気、s5暗器にs2精確で割り込み
アステリア
1d6 精確 (1D6) > 3
アステリア
2d6+1+3>=7 (2D6+1+3>=7) > 7[1,6]+1+3 > 11 > 成功
アステリア
計11点。
ヴェンフリート
*防壁 s10
ヴェンフリート
2d6+3>=7 愛 (2D6+3>=7) > 5[2,3]+3 > 8 > 成功
ヴェンフリート
*防御 hK
ヴェンフリート
c(11-5) コートあわせて5点軽減 c(11-5) > 6
[ ヴェンフリート ] HP : 14 → 8
ヴェンフリート
あっ
ヴェンフリート
牽制であと2点!
[ ヴェンフリート ] HP : 8 → 10
アステリア
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《封印》
GM
封印のラウンド数を更新。4Rのアステリアの手番まで。
アステリア
女は理由を語らない。
アステリア
納得できるものも、同情に足るものも、見せようとしない。
アステリア
刃は拙い。けれど、殺すために振るわれている。
ヴェンフリート
君の願いなら、それが、君の願いなら……
ヴェンフリート
叶えてあげられる、のに
ヴェンフリート
どうして……
ヴェンフリート
どうして、そんな顔で、声で
ヴェンフリート
振るわれた刃を腕で受ける。
アステリア
「う……っ」
アステリア
硬い。こちらの手が、じんと痺れる。
ヴェンフリート
深く突き刺さろうと構いはしない
ヴェンフリート
鱗が何枚剥がれようと
ヴェンフリート
死んだって
ヴェンフリート
でも
ヴェンフリート
これ以上君を、苦しめたくない
GM
*裁判第2ラウンド ヴェンフリート
ヴェンフリート
*牽制 h7 精確 hA
ヴェンフリート
1d6 (1D6) > 6
ヴェンフリート
2d6+6>=7 (2D6+6>=7) > 5[2,3]+6 > 11 > 成功
ヴェンフリート
c(2+3) 威力+逆鱗 c(2+3) > 5
アステリア
1点軽減して、4点。
[ アステリア ] HP : 9 → 5
ヴェンフリート
ナイフごと、その身体を振り払う。
ヴェンフリート
これまで見せなかった顔。兵士の顔。
ヴェンフリート
「リア……」
ヴェンフリート
「それじゃ、俺は殺せない」
ヴェンフリート
一緒にいる時、寝ている時。
ヴェンフリート
殺せるときは何度もあった。
ヴェンフリート
今日だって、もっと、やり方はあったはずなのに。
ヴェンフリート
装甲だって、いつも外していたのに。
ヴェンフリート
「ちゃんと、首を狙わないと」
アステリア
振り払われ、倒れるぎりぎりでかろうじて踏み留まる、覚束ない足取り。
アステリア
首。
アステリア
言われて、視線が上を向き。
アステリア
目が合う。
アステリア
「……………………」
アステリア
何か、言おうとして。
アステリア
言えない。
ヴェンフリート
晴れた空のような瞳に
ヴェンフリート
リアの姿が映っている。
アステリア
見ないで、と思う。
アステリア
やさしい目をしたひと。
アステリア
今、そこに、何があって。どんな自分が映っているのか。
アステリア
知りたくない。
GM
*ラウンド終了 手札廃棄
ヴェンフリート
*捨てなし!
アステリア
*キープ
GM
*裁判第3ラウンド 手札補充
アステリア
*c2 c7 c10(cJ sK)
ヴェンフリート
*c5 dK sA Joker(h10)
GM
*裁判第3ラウンド アステリア
アステリア
*c10鋭気、c7暗器にc2精確を割り込み
アステリア
1d6 精確 (1D6) > 3
アステリア
2d6+1+3>=7 (2D6+1+3>=7) > 5[1,4]+1+3 > 9 > 成功
アステリア
11点。
ヴェンフリート
*防壁 h10
ヴェンフリート
2d6+3>=7 愛 (2D6+3>=7) > 6[3,3]+3 > 9 > 成功
ヴェンフリート
*防御 dK
ヴェンフリート
c(11-6) 牽制 装備 防壁 c(11-6) > 5
[ ヴェンフリート ] HP : 10 → 5
アステリア
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《猛毒》
GM
猛毒2R。5ラウンド目のアステリアの手番まで。
アステリア
右手が震えている。それを、左手で押さえつける。
アステリア
両手で握ったナイフは、それまでにも増して、子どもの振り回すさまに似る。
ヴェンフリート
向かってきた、その手首をとって
ヴェンフリート
己の鎖骨あたりに突き刺す。
ヴェンフリート
刃の刺さる痛み。
アステリア
「ぁ……っ!」
ヴェンフリート
それよりも、君を傷つけているという、痛み。
ヴェンフリート
「だめじゃないか……っ」
ヴェンフリート
「ちゃんと、刺さないと……俺を、殺したいなら……」
アステリア
「う、ぅ、」
ヴェンフリート
「ちゃんと……殺さないと……!」
GM
*裁判第3ラウンド ヴェンフリート
ヴェンフリート
*パス 猛毒を3点受けます
[ ヴェンフリート ] HP : 5 → 2
ヴェンフリート
そのまま、動かない。
ヴェンフリート
刺された場所が痛む。
ヴェンフリート
精確には、自分で刺した場所が。
ヴェンフリート
引き抜けば、出血するだろう。
ヴェンフリート
君がこのナイフを引き抜きさえすれば
アステリア
固まっている。
アステリア
いや。震えている。
ヴェンフリート
「俺は……」
ヴェンフリート
「君を失うくらいなら……」
ヴェンフリート
「…………」
アステリア
「……っ、ヴェン、……」
アステリア
ぽろり。呼ぶまいと思っていた名前がこぼれ落ちる。
ヴェンフリート
「リア……」
アステリア
「や、めて……」
アステリア
「どうして」
アステリア
「どうして……っ」
ヴェンフリート
「君が好きだ」
ヴェンフリート
「愛してる」
ヴェンフリート
「君のためなら、命だって惜しくはない」
アステリア
「嫌」
アステリア
「そんなこと、」
アステリア
「……なんで……」
ヴェンフリート
「愛してるから」
アステリア
「嫌……」
アステリア
たすけて。
アステリア
ヴェン。ねえ。どうしたらいい?
アステリア
死にたくない。亡者になるのも嫌。怖い。怖いの。
アステリア
でも。
アステリア
でも、本当はわかってる。
ヴェンフリート
「…………」
アステリア
たとえ今日、あなたを殺して、たった30日を得たとしても。
アステリア
「嫌……っ」
アステリア
その先に何があるのか、
アステリア
――なにもない。
アステリア
最初に奪われたときと同じ。
アステリア
「どうして……ヴェン、ねえ……っ」
ヴェンフリート
心が軋む音が聞こえる。
ヴェンフリート
愛しい人。
ヴェンフリート
君を殺すことなんてできない。
ヴェンフリート
手首を握る力を緩める。
ヴェンフリート
最初に君を見たとき、心臓が飛び跳ねたようだった。
ヴェンフリート
何かを諦めたようで、でも、頑張っているその眼が好きだ。
ヴェンフリート
細い指先が肌をなぞる、感触が好きだ。
ヴェンフリート
君の声が好きだ。
ヴェンフリート
君の、その、本当は優しいところも好きだ。
ヴェンフリート
「君の……」
ヴェンフリート
「君の、笑顔が……」
ヴェンフリート
「見たかったんだ」
GM
*ラウンド終了 手札廃棄
アステリア
*キープ
ヴェンフリート
*c5
GM
*裁判第4ラウンド 手札補充
アステリア
*s3 c4 d8(cJ sK)
ヴェンフリート
*h6 s9 hJ(sA Joker)
GM
*裁判第4ラウンド アステリア
GM
*ヴェンフリートの封印が解除されます
アステリア
「ヴェン」
アステリア
「ヴェン、……ねえ、」
ヴェンフリート
「なぁに」
アステリア
「どうして……?」 聞き分けのない子どものように繰り返す。
アステリア
「わたし」
アステリア
「また、裏切ったわ」
ヴェンフリート
「うん」
アステリア
「裏切ったの」
ヴェンフリート
「うん」
アステリア
「だから……」
アステリア
「だから、」
アステリア
言葉にならない。
ヴェンフリート
「でも」
ヴェンフリート
「好きだっていう気持ちは、変わらないから」
ヴェンフリート
だからこそ、痛む。
ヴェンフリート
心が軋み、悲鳴をあげる。
ヴェンフリート
君のためなら、死んでもいい。
アステリア
「ヴェン……」
アステリア
「こうするしか、ないのに」
アステリア
「……嫌なの、」
アステリア
「どうして?」
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
「誰かを殺すのって、大変だよ」
ヴェンフリート
「俺、もともといた世界では武器を売る仕事してたんだ」
ヴェンフリート
「人を沢山殺すための道具をさ」
ヴェンフリート
「たくさんって、5人とか10人とかじゃなくて」
ヴェンフリート
「本当にたくさん」
ヴェンフリート
ぐ、と。ナイフを深くまで押し入れる。
アステリア
女の瞳が怯える。
ヴェンフリート
「俺の仕事は人を殺すことじゃなくて、その武器を運ぶことで」
ヴェンフリート
「でも、仲間とか家族が生きるためにはそうするしかなくて」
ヴェンフリート
「そんなの、人殺しと一緒だよね」
ヴェンフリート
「……ごめん、怖がらせちゃった」
ヴェンフリート
そのまま、すぐ目の前に立ったまま。
ヴェンフリート
「だから」
ヴェンフリート
「これは、俺が勝手に死んだだけ……なんて」
ヴェンフリート
「気休めを言っても、君がもっと傷つくだけだって、知ってる」
アステリア
「ヴェン、」
アステリア
「……やだ、……」
ヴェンフリート
「俺が」
ヴェンフリート
「君を、追い詰めてしまったの、かな……?」
ヴェンフリート
「そうだとしたら、ごめん」
ヴェンフリート
「何も気づいてあげられなくて」
アステリア
「ちがうの」
アステリア
二日前と同じように。
アステリア
ちがう、と。
アステリア
「ちがう、……わたしが」
アステリア
「……わたしが、わるいの」
アステリア
「……わたし、が」
ヴェンフリート
「リア」
アステリア
「お願いよ」
アステリア
「わたしを許さないで」
ヴェンフリート
「それは、難しいなぁ……」
ヴェンフリート
「心は、変えようと思って変えられるものじゃないから」
アステリア
「だって、」
アステリア
「でも、」
ヴェンフリート
「俺はもう、選んだ」
ヴェンフリート
ナイフをちらと見る。
ヴェンフリート
皮膚と刃の間から、血が流れているが
ヴェンフリート
その量はまだ少ない。
アステリア
「…………ヴェン…………」
アステリア
*パス
GM
*裁判第4ラウンド ヴェンフリート
ヴェンフリート
*救済 Joker 対象はアステリア
ヴェンフリート
3d6 (3D6) > 7[2,3,2] > 7
[ アステリア ] HP : 5 → 12
ヴェンフリート
今にも崩れてしまいそうなその、頭のてっぺんに口付ける。
ヴェンフリート
「痛かった?」
アステリア
「わ、かんない……」
ヴェンフリート
「ごめんね、突き飛ばしたりして」
ヴェンフリート
「でも、こうやってちゃんと話せたから」
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
「ナイフが血管に突き刺さると」
ヴェンフリート
「刺したときより、抜いたときのほうがたくさん血が出るんだ」
ヴェンフリート
「俺を、殺したいなら」
ヴェンフリート
「このナイフを引き抜いたらいい」
ヴェンフリート
そう言って、添えていた手を離す。
アステリア
「ヴェン」
アステリア
今日。彼の名は、呼ぶまいと思っていたのに。
アステリア
もう何度、その音がくちびるを通り過ぎただろう。
アステリア
「もし……わたしが、このナイフから、手を離したら」
アステリア
「そうしたら、…………」
アステリア
そうしたら?
アステリア
ヴェンは生き残るかもしれない。
アステリア
そうして、
アステリア
わたしを置いて行ってくれるかもしれない。
アステリア
わたしはここで、この暗い場所で、それを見送って。
アステリア
ヴェンの去ったこの部屋で亡者になって、
アステリア
そうしてようやく、この部屋を出るのかもしれない。
アステリア
「ヴェン……」
アステリア
もう、半ば以上、縋るような声で。
ヴェンフリート
「…………君を」
ヴェンフリート
「守るよ」
アステリア
「……だめなの」
アステリア
「わたし、……わたしがこれ以上生きていたら」
アステリア
「どのみち、きっと、あなたを殺してしまう」
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
それでもいいと、いっても。
ヴェンフリート
君は、きっと
ヴェンフリート
*回復 hJ 対象はアステリア
ヴェンフリート
2d6+3>=7 愛 (2D6+3>=7) > 7[4,3]+3 > 10 > 成功
ヴェンフリート
1d6+3 (1D6+3) > 2[2]+3 > 5
[ アステリア ] HP : 12 → 15
ヴェンフリート
*猛毒でダメージ
[ ヴェンフリート ] HP : 2 → 0
GM
*ヴェンフリートのHP0 判決表
ヴェンフリート
2d6+1 判決表 (2D6+1) > 4[3,1]+1 > 5
GM
〈昏倒〉する。
ヴェンフリート
「…………」
ヴェンフリート
君ができないなら
ヴェンフリート
この生命を、君に贈ろう。
ヴェンフリート
それで、君が、なにかから救われるなら。
ヴェンフリート
「リア」
アステリア
その声に、怯えた目があなたを見る。
アステリア
迷子のような。
ヴェンフリート
微笑み、もう一度だけ。
ヴェンフリート
そっと唇を重ねて。
ヴェンフリート
「赦してくれなくていい」
ヴェンフリート
「ありがとう」
ヴェンフリート
「さよなら」
アステリア
「……嫌」
アステリア
「やだ」
アステリア
「ヴェン、嫌……っ」
ヴェンフリート
再びその手をとって、ナイフを引き抜く。
ヴェンフリート
傷口から吹き出した血が、男を、ベッドを、部屋を
ヴェンフリート
アステリアを真っ赤に染めていく。
ヴェンフリート
「ごめ……ね……」
ヴェンフリート
意識が薄れていく。
アステリア
「やだ、やだ、ヴェン、まって」
アステリア
からん、とナイフが落ちる。
ヴェンフリート
身体が倒れる。
ヴェンフリート
ああ、死ぬんだ。
ヴェンフリート
死ぬのって、怖いな。
ヴェンフリート
もう二度と、眼が覚めないなんて。
ヴェンフリート
二度とキミに会えないなんて。
ヴェンフリート
リア。
ヴェンフリート
君を、愛してる。
ヴェンフリート
そうして、意識を失う。
GM
*ヴェンフリートの昏倒により、裁判閉廷。
GM
*勝者、アステリア。
GM
*ヴェンフリートは亡者化の判定を行います。
GM
能力値のチョイスから。
ヴェンフリート
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
ヴェンフリート
2d6+3>=7 愛 (2D6+3>=7) > 2[1,1]+3 > 5 > 失敗
ヴェンフリート
倒れた男の身体がびくんと跳ねる。
ヴェンフリート
君を守りたい。
ヴェンフリート
君を、愛したい。
ヴェンフリート
背中の鱗を突き破り、尖った骨が店に向かって伸びる。
ヴェンフリート
みんな、幸福であれば
ヴェンフリート
世界がこんなんじゃなければ
ヴェンフリート
君を幸せにできたかもしれないのに。
ヴェンフリート
それが、もう一本。
ヴェンフリート
亡者化が始まった。
ヴェンフリート
こうなればもう、助けるすべはない。
アステリア
「ヴェン、」
アステリア
手のひらが。変わっていくあなたに触れようとして、迷って。
アステリア
「……ヴェン……」
アステリア
震えながら、落としたナイフを拾い上げる。
ヴェンフリート
気を失っているはずの身体が動く
ヴェンフリート
うつ伏せに倒れた状態から、右手を着く。
ヴェンフリート
「リア……」
アステリア
「………………」
ヴェンフリート
「……げっ、う……」
アステリア
あなたは、女の本当の名前を知らない。
ヴェンフリート
背中から突き出た骨に
ヴェンフリート
植物の葉が茂るように、真っ白な羽根が生える。
ヴェンフリート
口から、傷口から。
ヴェンフリート
同じ羽を撒き散らす。
アステリア
『ちゃんと、首を狙わないと』。
アステリア
そう言った、あなたは。
アステリア
わたしの本当の名前を、もう、呼んでくれない。
ヴェンフリート
「リ……ア……」
ヴェンフリート
足が崩れる。
アステリア
「……ヴェン、」
アステリア
「わたし、きっと」
アステリア
「あなたをすきだった」
ヴェンフリート
その眼はもう、何も見ていない。
アステリア
「……あなたのこと」
アステリア
「すきだったわ……」
アステリア
その手に、ナイフを固く握りしめる。
アステリア
その切っ先で、首を、狙って。
アステリア
突き下ろす。
ヴェンフリート
ぶわりと。
ヴェンフリート
羽が舞い上がり、首がおちる。
ヴェンフリート
そんなナイフで、殺せるわけないのに。
ヴェンフリート
そんなナイフで、落とせるわけがないのに。
ヴェンフリート
でも、これは。
ヴェンフリート
あなたへ届けられる、最後の贈り物。
ヴェンフリート
亡者になりきっていない救世主は、まだ、救世主だ。
ヴェンフリート
最後に。ごろんと、転がった首が。
ヴェンフリート
大好きな人を見上げて、微笑んだ。
ヴェンフリート
それだけ。
ヴェンフリート
それだけのこと。
ヴェンフリート
死は、一瞬だ。
ヴェンフリート
もう言葉を発することはなく、もう動くこともない。
ヴェンフリート
ただ、真っ赤な血の広がった床の上に。
ヴェンフリート
半分亡者化した肉体と、救世主の首。
ヴェンフリート
そして、六ペンスコインが10枚。
アステリア
落ちた首の、頬に触れる。
アステリア
「ヴェン」
アステリア
「わたしの……ほんとうの名前は、アステリア」
アステリア
「この国では、誰も知らない……」
アステリア
「だから、あなたにだけあげる」
アステリア
「ほんとうは、あなたの声で呼んでほしかったけれど」
アステリア
「いま、あなただけが知ってる」
アステリア
「ねえ」
アステリア
「……だれにも、ひみつよ」
アステリア
いとしいものを撫でる指先が、頬を滑って、くちびるに触れる。
アステリア
「……わたし、きっと、天国にはいけない。あなたにはもう会えない……」
ヴェンフリート
触れた唇はまだ暖かく、やわらかい。
アステリア
「でも、どうか」
アステリア
「この世界を離れたあなたが、どこか、やさしい場所で」
アステリア
「わたしの名前を覚えていてくれますように」
ヴェンフリート
それも、すぐに冷たく、固くなるだろう。
アステリア
10枚の六ペンスコイン。そして、30日間。
アステリア
あなたの命と引き換えに。
アステリア
あなたの愛と、引き換えに。
アステリア
「……ごめんなさい」
アステリア
「ありがとう」
アステリア
冷たくなっていくあなたに。
ヴェンフリート
ヴェンフリートは最後まで、裏切ることはなかった。
ヴェンフリート
これからも、永遠に。
アステリア
「……あいしてるわ」
ヴェンフリート
君を、愛し続ける。
GM
どれだけ大きく心を占めたものを引き換えにしても、そこに残るのは、たった30日。
GM
ただそれだけ。
GM
けれども、ただその僅かの間を。
GM
その、ほんの少しの未来を。
GM
この暗く、小さく、湿った部屋に、細い細い光を与えたのは、
GM
確かに、愛だった。
GM
Dead or AliCe
『In The Dark, Small And Wet Room』
GM
――FIN.