GM
一人。
一人。
GM
出会って、二人になる。
GM
そこに結び渡される絆は、どんな色をしているの? どんな歌を奏でるの?
GM
どうかその手を離さないで。
GM
Dead or AliCe
『They lived happily ever after.』
GM
それから、二人は、末永く――
GM
GM
――歓声が上がる。
GM
斃れた一人。立っている二人。
GM
街の広場に血の花が咲いて、散って。
GM
あなたがたはまた、ひとつの裁判を終え。
GM
幾ばくかの六ペンスコインを得る。
ユークリッド
「これで終幕か。…終わりというのはあっけないものだ」
懐からコインを拾い上げ、ため息をつく。
「勇者」エー
「…… ……」
勇者は無言で剣についた血を払い、仲間の方を見る。
ユークリッド
「やっていることは救世とは聞いているが…やってみればは征服に近い気すらするよ」
ユークリッド
二人とも、『戦のあった地』の者なことは、まだ救いか。
「勇者」エー
その言葉に目を閉じて、何事か考え込む様な仕草を見せる。
「勇者」エー
元の世界での戦闘能力は、心の疵の力に置き換えられる。そして、6ペンスコインをより多く持つ――すなわち、他の救世主からコインを奪えば奪う程、その力を引き出すことが出来る。それが堕落の国のルールだ。
「勇者」エー
その為に元の世界に居た時ほど、自分も彼も本来の能力を発揮することは出来ない。
……それでも戦闘経験があるか否かは『裁判』への抵抗の差が出てくる事だろうか。
「勇者」エー
死した救世主の方に近付いて、その死体をじっと見る。
はたしてこの人物は、どうだったのだろう。
GM
救世主の出自はさまざまだ。
GM
戦うこと、傷つくこと、傷つけること……そうしたことへの慣れも、抵抗も、また人それぞれ。
GM
その一方で、末裔たちは生まれたときから、この「ぶっちゃけもうだめ」な国で生きている。
GM
救世主同士の裁判を目にしても、それが常識。
帽子屋の末裔
「……いやぁ~、おふたりとも、お強いなあ!」
帽子屋の末裔
ぱちぱち、と拍手をしながら近づいてくる帽子屋の末裔が一人。
「勇者」エー
声を掛けられてそちらに振り向く。
ユークリッド
「むっ、何奴!」お決まりの返事をしつつ、合わせて視線を送る。
ユークリッド
「知らぬ顔だな。末裔のものだろうが…」
帽子屋の末裔
「ええ、ええ。ぼくはしがない末裔ですとも、救世主さま」
帽子屋の末裔
「裁判、拝見してましたよ。お強いんですねえ!」
「勇者」エー
「…… …… ……。」
お礼でも告げるのが正しい応対の仕方なのだろうが、生憎この勇者は声を持たない。なので、頷く事で返す。
ユークリッド
「無論だ、我々はこの世界を救うのだからな」
帽子屋の末裔
「おっと。本物の『救世主』を目指してる救世主さまかい」
帽子屋の末裔
「この世界をお救いくださる」
帽子屋の末裔
少しばかり値踏みするような色が、ちらっと覗いてすぐに消える。
「勇者」エー
その言葉にもまた、頷きを返す。
ユークリッド
「…用件でもあるのか?」
この後はまた酒場で噂でも集めるくらいの予定しかない、何かあるならば手間が省けるが。
帽子屋の末裔
問われればにっこりと笑って、
帽子屋の末裔
「それじゃあ……まことに救世主たらんとする救世主さまに、ひとつ、お願いをしたいことがあってね」
「勇者」エー
「……?」
首を傾げる。勇者は、その"お願い"の内容を聞くつもりの様だ。
帽子屋の末裔
「ここから北にしばらく行ったところに、プレスコットっていう村があってね」
帽子屋の末裔
「しばらく前から、そこに一人で行くとだね」
帽子屋の末裔
「これが、だあれも戻ってこない」
帽子屋の末裔
ぴん、と一本指を立てながら。
帽子屋の末裔
それから、立てる指を三本にして、
帽子屋の末裔
「三人で行っても、そのうち一人は戻ってこない」
帽子屋の末裔
一本折りたたみ、
帽子屋の末裔
「二人でなら……戻ってくる、こともある」
帽子屋の末裔
残った二本の指をぴょこぴょこと動かす。
ユークリッド
「こともある、か。あやふやだな」
帽子屋の末裔
「戻ってきたと思ったら、今度は二人で一緒にいるところをとんと見ないんだなあこれが!」
「勇者」エー
「…… …… ……」
奇妙な話である。戻ってこないという話なら、己の中に刻まれた物語にもよくある事だが。人数によってそれが変わる?
ユークリッド
「まじないか何かか…いずれにせよ、理解しがたいな」
「勇者」エー
「……。」
縁結びの岬の、逆の様な場所だろうか……と、ふと過る。
帽子屋の末裔
「ともあれ、プレスコット村はこのあたりの水源でね」
帽子屋の末裔
「買い付けの奴らが戻ってこなくて、今は水がずいぶん高騰してってる」
帽子屋の末裔
「このままいくとまあ、この街をはじめ、近隣一帯、干上がっちまうってわけだね!」
ユークリッド
「それを我々に解決してほしいと。成程な」
「勇者」エー
帰還する……可能性がある二人組の救世主だから、自分たちに頼もうという事なのだろうか。勇者はそう思い、再び首を傾げる。
帽子屋の末裔
「まあそういうこったね。お二人はおあつらえ向きに『お二人』だ」
ユークリッド
「ふむ、どうする」一目、そちらに向ける。
おおかた予想はついているが。
「勇者」エー
「…… …… ……」
「勇者」エー
末裔に何事か頼まれごとをすることは、これまでの旅でもあっただろうか。
勇者はそれらに首を横に振ったことは無かった。
「勇者」エー
彼の予想通り、今回もまた。同じ様に頷く。
ユークリッド
「…決まりだな」
元より、男は勇者には足りえない男だった。より広く策を弄すことが出来、危険に足を踏み入れる事を避ける事が出来た。
ユークリッド
「いいだろう、我々に任せるがいい」
このような安請け合いも、この世界に来てからだ。
帽子屋の末裔
「本当かい!さっすが、まことの救世主を目指すって方は違うねえ!」
帽子屋の末裔
やんややんや。
GM
帽子屋は二人をなんやかんや褒めながら、ごく簡単な地図と、わずかながらの水と食料を用立ててくれて。
GM
プレスコット村への道へ、二人を送り出します。
GM
GM
そうして、帽子屋の末裔が教えてくれた道を歩く……歩く……歩く。
GM
途中、野営を一泊挟みつつ……歩くこと丸一日とすこし。
GM
徐々に足元がぬかるみだします。
GM
砂塵に塗れたこの国では珍しい、水の匂い。
「勇者」エー
「!」
足元に気を付けつつ(沼に嵌ってゲームオーバーなんて事もあり得るのだから)、久方ぶりの湿気に何度か瞬き。
ユークリッド
「ほう…斯様な地がこの世界にもあったとはな」
「勇者」エー
周囲を見渡して、景色を眺める。
GM
まばらに枯れた木の残る道をさらに進むと、緑色の水を湛えた沼に出ます。
GM
薄く靄のかかる水面。しっとりとした空気。
GM
そしてその向こうに、朧に見える屋根の影。
「勇者」エー
「…… …… ……」
その方向に指をさし、あれがプレスコット村だろうかと伝える様に。
ユークリッド
「朧の影、漸く見えたな…」
GM
頭上の厚い雲の向こう側、太陽は傾いていく時分。
GM
ぽつりぽつりと、明かりがつき始めているようです。
「勇者」エー
迷いなく、そちらの方向に足を進めていくだろう。
……沼には気を付けつつ。
ユークリッド
「ここまで不審なものはなかったが…警戒はするべきだろう。ここは敵地ともいえる」
「勇者」エー
その言葉には頷きを返して。
GM
そうしてぬかるんだ道を行くことしばし。
GM
足元がようやくしっかりとしてきて……
GM
あなたがたは、プレスコット村に辿り着きます。
GM
村の入口からまっすぐに続く中央通りには、ぱらぱらと人が歩いていますが……
GM
村の規模と時間帯からすると、少しばかり、ひとけは少ないような気がしますね。
GM
しかも道ゆく村人たちは、あなたがたを見ると、なんとも言えない顔をしてすっと目を逸らします。
「勇者」エー
「…… ……?」
「勇者」エー
特に何があるという訳でもなく、辿り着く事は出来たが。
何かが起きている様な不審な感覚は、自分達から目を逸らす村人から感じる事だろうか。
ユークリッド
「随分閑散としているな。…そして、違和感がある。これまでの街とは何か違う」
「勇者」エー
一先ず村人たちに話を聞いてみようか、と勇者は思った。
……話してくれるのであればだが。また、聞いてみようと思ったものの、会話の多くは彼に任せる事になるのだが。
ユークリッド
「…そうだな、話を聞いてみるか」
「勇者」エー
適当な村人に近付いていく。
GM
では、そうですね。
村人
こういう感じの村人がいますね。
村人
あなたがたが近寄ってくるのに気づいて、足を止めます。
「勇者」エー
軽く会釈をしてから、村の事に付いて尋ねたそうにじっと村人の方を見る。
ユークリッド
「汝、この村の者だな?以前ここに来訪者が来たと思うのだが…」
村人
「え、ああ、はい。……来訪者?」
村人
「……ああ、お水を買いに来る方ですか?」
「勇者」エー
勇者は頷いた。
村人
「お水を買いに来る方は、たくさんいらっしゃいますよ。このあたりだと、一番お水を安く買えるのはこの村ですから」
「勇者」エー
「…… …… ……」
首を傾げる。彼らに何かあった、という話は聞いていないのだろうか?
ユークリッド
「…ふむ」
「"救世主"は、いなかったか?」
村人
「救世主……たまにいらっしゃいますよ。お二人も、そうですよね?」
「勇者」エー
頷く。……同時に、疑問に思う。
「勇者」エー
訪れた者が帰ってこないのならば、何かしらが起きている筈だ。――或いは、村人たちが何かを起こしていて、それを隠しているという可能性も考えられるだろうか。
村人
「お二人は、旅の途中?お水を買いにいらしたの?」
ユークリッド
「然り、旅の救世主であるが…」
疑いがあるならば、正直に話すべきかも考える必要はある。
ユークリッド
とはいえ、末裔に対して臆する理由もないだろうか。
「勇者」エー
「…… ……」
少々考え込んでから、ユークリッドの方を見る。
「勇者」エー
勇者の方は、正直に話しても構わないのではないかと思っている様だ。
村人がどこまで知っているのかは、訊ねなければ分からない気がする、と。
「勇者」エー
仮に騙していて襲い掛かられたとしても、場を切り抜ける事は……そう、難しくはない。という見解。
ユークリッド
「…まあ、そうだな」視線に応じるように。
ユークリッド
「ここのところ、こちらに向かった救世主が戻らないと話を聞いてな」
「知っている事がないか、こうして訪れた次第だ」
村人
「戻らない……」
村人
かすかに首を傾げる。
村人
「……うーん、どうだろう……」
村人
「わたし、村の噂話にはあんまり詳しくなくって」
村人
「明日になら、知り合いに聞いて回ってみますけど……」
村人
空の明るさを確かめるようにしながら言う。
「勇者」エー
「…… …… 、」
同じ様に空を見る。灰色の空に微かに灯る陽は、まもなく暮れようとしている。
ユークリッド
「…ならば仕方ないか。暫くはただの救世主だ」
勇者に視線を送りつつ。
「勇者」エー
頷く。一度、宿屋を探すべきだろうか。
村人
「そうだ、お二人はこの村にお知り合いがいらっしゃる?」
ユークリッド
「?いや、いないだろうが」
「勇者」エー
首を横に振る。
村人
「あらら。じゃあ、お泊りのアテはないんですね……」
村人
「この村、宿がないんです」
「勇者」エー
……瞬き。村や町には宿があるのが当たり前だったもので、その可能性は考えていなかった。
ユークリッド
「…真か、来客は少なくなさそうだが」
「勇者」エー
どうしよう。割と困っている。
ユークリッド
野営の物資はまだ残っていただろうか。
村人
「昔一度、宿が潰れちゃって、普通のおうちにしちゃったんですって」
村人
「この村って、まわりがすぐ沼でしょう。新しい建物を増やせないの」
村人
「お水を買いに来る方って、いつもお決まりだから。馴染みのおうちに泊まられていくのよね」
GM
言う間にも、ちゃくちゃくと太陽は沈みゆき。
通りの家にも灯がともる。
「勇者」エー
再び首を傾げつつ。戻ってこない事が良くあるのに、馴染みの家がある。村人や"戻ってこなかった人たち"は、異変に気付いていない?
……ともあれ、今夜はどうするべきか。
ユークリッド
「仕方ない、今宵も野営する他なさそうだな」
村人
「野営」
村人
「えっ……うーん……どうしよう」
村人
「もしよろしければ……わたしのうちにいらっしゃる?」
「勇者」エー
ユークリッドの方に頷こうとした後、提案に村人の方を見る。
「勇者」エー
……申し出は有難い事だが、良いのだろうかと思いつつ。
ユークリッド
「…真か?」驚きつつ。
村人
「あんまり広くはないですし、お貸しできるのは一部屋で、ベッドもひとつですけど……それでもよければ」
村人
「沼地で野営はたいへんですから」
ユークリッド
「ならば…」勇者に視線を送りつつ。
「勇者」エー
「…… ……。」
お辞儀を返す。
「勇者」エー
実際沼地で野営は大変であり、物資も少々不安な部分があったもので。申し出を受けるつもりの様だ。
ベッドは……まあ何とかなるだろう。たぶん。きっと。
村人
村人は微笑み、二人を先導して村の通りへ入っていきます。
GM
すれ違う人々は、やはりあなたがたを見るとなんとも言えない顔で目を逸らしますが……
GM
やがて村のやや奥まったところで、村人は足を止めました。
GM
こぢんまりとした家の扉が開かれる。
村人
「どうぞ」
「勇者」エー
軽く会釈をして家の中へ。
GM
家の中は、外観と違わずやはりこぢんまりとまとまっています。
GM
小綺麗な内装に、ほんのりと、どこか甘いにおい。
ユークリッド
「僥倖だ、屋根と壁があるだけでも随分と変わるからな」
GM
入ってすぐは、四人がけのテーブルが詰め込まれた狭いリビングの奥に、仕切りのないまま台所。
寝室か何か、右手にドアがふたつ。
GM
村人はテーブルを示して、席を勧めてくれます。
「勇者」エー
頷いて、示された席に座る。
村人
「狭いおうちですけど、ゆっくりなさってくださいね」
村人
言いながら、奥の台所から木のコップと水差しを持ってきてくれます。
ユークリッド
ありがたく頂こう
「勇者」エー
やった~。お水注ぎましょう。
村人
お水しかありませんけど……と淡く笑いつつ。
村人
そういえば、こちらの方はずいぶん物静かですね、とか。
「勇者」エー
物静かな方は、声が無いので説明が出来ない。仕様です。
ユークリッド
こっちがうるさくします。
村人
お二人とも仲が良さそうでうらやましいです、とか。
「勇者」エー
少し嬉しそうにする。
ユークリッド
「そうか?…それもそうか」
ユークリッド
「勇者と魔王だ、組み合わせとしてはこれ以上ない」
「勇者」エー
そうなのだろうか……?? まあでも、ユークリッドが楽しそうなので良いかと勇者は思っている。
村人
あなたがたを見ながら、ふふ、と微笑う柔らかな声音。
歌うような語り口。
GM
それを聞いているうちに……
GM
あなたがたは、すぅっと意識の遠のいていくのを感じます。
GM
女の声が遠ざかる。
GM
そして、意識の途絶えるその前に。
シュゼット・バルデ
「これで、あなたがたの絆は永遠になりますよ……」
GM
その声を最後に、瞼の裏に暗闇が落ちる。
GM
GM
――夢? 幻?
眠りの淵の、暗闇の中で。
GM
女の左手の薬指に、銀色の指輪。
GM
それが、黒い靄を纏って輝いているのが見える。
GM
ただそれだけを、覚えている――
GM
GM
それからしばらく。
GM
空気が冷たい。
冷たいということが、わかるようになる。
GM
意識が戻ってくる。
「勇者」エー
「…… …… …… ……、」
「勇者」エー
冷たい。意識を戻して、最初に思ったのはその感覚だ。
「勇者」エー
それまでの記憶を思い返そうとする。最後にあるのは女の声と、銀の指輪。
……判断を見誤ったか、と。頭に過る。
「勇者」エー
目を開け、辺りを見渡す。……彼は、傍に居るだろうか?
ユークリッド
「…ぃくしっ、冷えるな…」
ユークリッド
もぞもぞと動き出して数秒、異常に気が付く。
ユークリッド
「…やはり、罠か。いや」
「それを踏まえて、想定通り、としようぞ」
GM
家の中には、もはや二人以外の誰もいない。
GM
小さな窓の外は、深夜の暗さ。
GM
にもかかわらず、その暗闇の向こう側に、未だぽつぽつと……灯りの残る家々。
GM
通りにも、先程と変わらない程度に人がいます。
GM
深夜ですが。います。
「勇者」エー
「…… ……。」
彼の姿を見つければ、申し訳なさそうに目を閉じる……が。
ユークリッド
「ふむ、拘束されているわけではないのか。外の様子は?」
「勇者」エー
自身と彼の状態は、至って何も変わらないように思える。
拘束されている訳でも、何処か別の場所に連れられている訳でもなく。先ほどまでの家の中……の様に見える。
「勇者」エー
言われて窓の外に視線をやれば、暗闇の向こうにある灯と人の気配。
……あの村人は此方を"意図的に"眠らせたのに、感じる気配は平穏のまま。何故?勇者は首を傾げた。
GM
柱にかかった時計を信じるならば、時刻は日付を変わってしばし、といったあたり。
GM
それでも、ゆるやかに人の流れ。
GM
平穏そのものの光景……夜色に染まりきった空の下であることを除けば。
「勇者」エー
「…… …… ……。」
時計を見てから、再度。窓の外を指さす。
ユークリッド
「夜半だというのに、人が多いな…」
「勇者」エー
頷く。……女の姿を探そうとするが、見当たるだろうか。
GM
見当たりませんね。
「勇者」エー
暫く窓の外を見ていたが、覚えのある姿が無いと分かると首を横に振る。
GM
ちなみに、この家で家探しをしても特段何も出てきません。
ユークリッド
「脱出…というのもな。いやに我々への手打ちがないのが気になる」
「…外に出てみるか」
「勇者」エー
「…… ……。」
「勇者」エー
頷いた。……ちなみに、多分家探しもする。
GM
なにも みつからなかった!
GM
では、あなたがたが外に出るとですね。
GM
通りを行く村人の目が、さっと集まり。
GM
顔を見合わせた村人の中から……
白兎の末裔
白兎の末裔が一人、近寄ってきます。
白兎の末裔
「お二人ですか?」
白兎の末裔
真剣な声音で尋ねる。
ユークリッド
「…その問い、汝は知っていそうだな」
「勇者」エー
今までずっと目を逸らされていたのに、急にさっとこちらに向けられた幾つもの目に。少々驚く様な様子を見せる。
「勇者」エー
「…… ……」尋ねられた質問には頷きつつ、じっと。その真意を伺う様に、末裔の方を見ている。
白兎の末裔
「まだ、お二人とも起きていらっしゃいますね?」
白兎の末裔
確かめるように二人を見て。
ユークリッド
「起きている‥・だろう。こうして話をしているのだ」
「勇者」エー
「…… …… ……。」意味を尋ねようと、変わらずじっと視線を向けている。
白兎の末裔
「……ここは、『魔女』の家」
白兎の末裔
「……あの魔女が今ここにいないなら」
白兎の末裔
「お二人は、たぶんもう、呪われてしまいました」
「勇者」エー
「……」
ユークリッド
「あの人間に、そんな力があるとはな」
「勇者」エー
自分達はこの村で起きている事を解決する、という依頼を受けている。
帰ってこない人が居る事態。それに、女――恐らく、この末裔が『魔女』と呼ぶ人物が、関わっているのだろう。
「勇者」エー
何が起きているのか、詳しく教えて欲しい。そう言いたげに、再び末裔をじっと見る。
白兎の末裔
見つめられ、ちょっぴり困ったようにしながらも、白兎はゆっくりと口を開きます。
白兎の末裔
「……『二人でひとつの人生』」
白兎の末裔
「そう、あの魔女は言いますね」
GM
白兎の言うことには。
GM
この村には、『シュゼット・バルデ』という魔女がいて。
彼女はほうぼうに呪いをかけて回っています。
GM
この呪いの影響下で、二人は『二人でひとつの人生』を歩むことになるそうです。
GM
具体的に申し上げますと、
GM
片方が起きているとき、片方は必ず眠りにつくことになります。
GM
ちなみに、二人になれなかった者は、二度と目覚めません。
GM
概ねそのまま死にます。
白兎の末裔
「……そして、あの魔女は、この呪いを『ハッピー・マリッジ』と呼んでいます」
「勇者」エー
一人で向かったら、戻ってこない。三人で向かったら、一人が帰らない。
ユークリッド
「成程な、納得がいった」
「勇者」エー
そして二人で向かったら、二人で一緒に居るところを見なくなる。
「勇者」エー
「…… ……。」
大体理解は出来た、が。自分達は末裔曰く呪われたにも関わらず、二人とも起きているのは何故なのだろう。
ユークリッド
「それで、この『まだどちらも起きている』状態は、いつまで続く」
白兎の末裔
「呪いをかけられて、次に眠ると、もう『会えない』」
白兎の末裔
「それまでの猶予期間のことは……『結婚前夜』、と……言っていましたね」
白兎の末裔
「死がふたりを分かつまで、だそうですよ」
「勇者」エー
「…… …… ……」
ユークリッド
「けっこん」ふむ?
「勇者」エー
それを連想させるものを、『魔女』は付けていたが……。
ユークリッド
「つまり、寝る前に奴を討てばいいのだろうか」
白兎の末裔
「……そうですね。お二人は救世主さまでしょう?」
「勇者」エー
頷く。
白兎の末裔
「……でしたら、きっと」
GM
救世主の力は、心の疵と――そして、六ペンスコインの力。
GM
勝って奪えば、それが答え。
白兎の末裔
「……この村は今、もう、誰も彼もみんな『二人でひとつ』です」
白兎の末裔
「みんな、もうずっと、大切な人と話すこともできない……」
白兎の末裔
「だから、どうか……お二人で、勝っていただけませんか」
「勇者」エー
「…… …… ……。」
「勇者」エー
頷く。……思わない事が無い訳では無いのだが、彼らもまた困っているのならば、勇者の答えは既に決まっていた。
「勇者」エー
それに、その様な形で袂を分かつのは……彼も、望んではいないだろう。
「勇者」エー
頷いてから、ユークリッドの方を見る。
ユークリッド
「それは…許される事ではないな」
「我々はすでに、この世界での最後の在り方を決めているのだ。他の誰とて邪魔をさせるつもりは毛頭ない」
ユークリッド
「そして、民を助けるのが勇者の役割で、立ちはだかる者を蹂躙する事が、魔王の役割だ」
「いいだろう、魔女を名乗る不届き者め、我々が相手をしてやる!」
白兎の末裔
「……ありがとうございます。どうか……がんばって」
GM
そう言ってぺこりと頭を下げると、白兎の末裔はゆっくりと歩み去っていきました。
GM
さあ、時は真夜中。
GM
タイムリミットは眠るまで。
GM
二人の『結婚前夜』――お茶会が始まります。