GM
シーンづくりにご希望があればどうぞ。なければシーン表を。
GM
11:紳士の絵画の下 大きな金の額縁が鈍く輝いている。ワインを嗜む紳士が描かれている。
GM
2:貴婦人の絵画の下 大きな金の額縁が鈍く輝いている。仰臥する黒いドレスの貴婦人が描かれている。
シュエシュエ
一夜明け、生身の夫の休息は充分とまではいかなくとも……ひとまずは。
シュエシュエ
腹が減ってはなんとやら。敵情視察がてら朝食を取りに行く、その途中。
シュエシュエ
絵画のかかる廊下を通る。異国の貴婦人たちが描かれた絵画を仰ぐ。
シュエシュエ
夫の後ろを歩いていた足が、止まった。
GM
黒いドレス。白いドレス。赤いドレス、青いドレス。
マオマオ
そのまま数歩歩き、足音が一つ減ったことに気付いて振り向く。
シュエシュエ
豪奢な衣裳に身を包む、お姫様のようなおんなたちの絵。
シュエシュエ
いつもなら、空腹の夫の機嫌を損ねるようなことはそうないはずだが。
マオマオ
数秒、ぼうっと絵画を見上げる。横たわる黒いドレスの女。
シュエシュエ
「昨日も見たんですヨ。あっちは男の人の絵でしたケド」
マオマオ
「昨日今日とのんびり絵画鑑賞だなんて、随分と優雅な事してるなぁ」
シュエシュエ
「だってェ……裁判のアテはついたカラ……」
シュエシュエ
心の疵に触れられた。触れた。夫のいないところで。
マオマオ
「アテがついたからこそ、弱みの一つでも握ってきたらどうなんだ?」
シュエシュエ
「ンン……でもシュエ、ちょっとあのひとのこと分かったような気がしますヨ」
シュエシュエ
鈍い音。……だが、昨日のような身体がばらばらになる感触はない。
マオマオ
ばらばらにならないように、蹴る場所や殴る場所には気を使っている。
シュエシュエ
「……えっト。故郷がなくなったんですッテ」
シュエシュエ
「それが助けられなくテ、でも忘れられなくテ」
シュエシュエ
包帯の上から眼窩の辺りに袖に覆われた手を置いて。
マオマオ
フーの心の疵について思案していたが、シュエシュエの言葉に片眉を吊り上げる。
マオマオ
話を聞いた限りでは、フーにシュエシュエは有利を取っているように聞こえた。それならまぁ、いい。嘘を言うような妻ではない。
マオマオ
「お前が俺に質問するなんて、何様のつもりなんだ?」
マオマオ
別に話したくないという訳ではない。
ただ、妻が質問してくることなど滅多にない。平時と異なる挙動をするのは気にかかる。
シュエシュエ
「シュエ、マオさンの昔の話、聞いたことないなッテ」
シュエシュエ
頬を張られたことを責める態度はまるでない。
シュエシュエ
あなたの腹を探るはずの無い死体が。自我のないはずの道具が。
シュエシュエ
”あなたについて”問いかけようとする。
マオマオ
いつもなら、少し生意気なことを言っても嗜めれば引いていた。質問することも、食い下がることも珍しい。
マオマオ
この妻は、信用できる相手として用意した道具だ。自分の腹を探るはずのない死体。自我のない道具。それがなぜ、自分のことを知りたがるのか。
シュエシュエ
昨晩、あなたのまどろみのなかに、腐乱しながら戻って来てから。
シュエシュエ
なにかが外れているような。どこかがずれているような。
ついではいだような。
マオマオ
金髪の男に何か言われたのだろうか。そういえば、昨日は包帯が外れ、膿がこぼれていた。
マオマオ
心の疵に触れられたのは、あの男だけではないのかもしれない。
シュエシュエ
自分で嗅いでみても、ぜんぜんわからない。
マオマオ
こんなことは初めてだ。今まで様々な救世主と裁判を行い、腹の探り合いをしてきた。しかし、妻はいつでも自分の望むままでいた。
マオマオ
返事は返さずに、そのまま歩みを進める。変わりゆく妻にどうしたらいいのか分からない。
マオマオ
一緒にするなと言った手前、黙っている訳にもいかない。
マオマオ
「俺は母の黒いスカートの膝に頭を乗せて、空や花を眺めている」
マオマオ
ちょうどあんな感じに、と絵画を顎で示す。
シュエシュエ
死体のあたまのなかの、歯抜けの本のページが翻る。
シュエシュエ
「シュエのいちばん古い、いちばん大事な記憶はネ」
シュエシュエ
「マオさンが、起こしてくれたときのコトですヨ」
シュエシュエ
*マオマオの心の疵『虚言吐き』を猟奇で舐めます。
”フー”
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
”フー”
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 5[4,1]+4 > 9 > 成功
シュエシュエ
2D6+4+2-2=>7 (2D6+4+2-2>=7) > 11[5,6]+4+2-2 > 15 > 成功
GM
PCがお茶会中の判定でスペシャルを起こした場合〔自身の所有する六ペンス/2〕までの価値の小道具を1つ入手します。
[ シュエシュエ ] ティーセット : 2 → 1
[ シュエシュエ ] マオマオの寵愛 : 1 → 0
GM
マオマオには、『シュエシュエへの恋心』が付与されます。
シュエシュエ
ほんとうはもうすこし古い記憶も、この腐ったあたまの中に残っている。
マオマオ
死体の記憶がどうなっているかは分からない。死と共に全て抜け落ちているのかもしれないし、そうではないのかもしれない。
シュエシュエ
でも、いちばん大事な記憶なのは、ほんとう。
シュエシュエ
無事な左目が、あなたを見つめて瞬く。
シュエシュエ
自我のないはずの死体が。あなたの腹を探らないはずの死体が。
マオマオ
小さく苦笑して、妻の袖に隠れた手を取った。
マオマオ
「大ホールに行ったら、少し踊ってみるか」
シュエシュエ
ないはずの心臓が、きゅっとしめつけられる、まぼろしが。
マオマオ
大ホール。絶えず響く音楽。幻のような舞踏会。
マオマオ
花嫁衣装の屍と、牧師の姿の虚言吐きが手を取り合う。
GM
疵はいつだって罪ではない。
嘘は必ずしも裏切りではない。
[ シュエシュエ ] 子山羊皮の手袋 : 0 → 1
GM
3:オイルランプの回廊 大広間にある扉の外、橙の灯が等間隔にともる窓のない回廊。いくつもの扉が並んでいる。
”フー”
シュエちゃんの疵を抉るんですけど、今なにしてる感じですか?
”フー”
マリユスを部屋に残し、ふらふらと出歩く。
出歩くと言っても大ホールを中心にあちらこちらの廊下を見てまわる。
”フー”
ふと大ホールを見れば、裁判相手の夫婦が踊っている。
手を取り合って、仲睦まじく。
”フー”
しばらくの間踊っていたが、しかし疲れたのか夫の方がソファへと腰かける。
”フー”
あの男のどこがいいのだろうか。
そもそも本当に夫婦なのか?
”フー”
死者を起き上がらせたとき、一番簡単なのは『あなたの伴侶だ』と伝えること。
”フー”
そうするだけで、疑問も持たず従順で健気な人形の出来上がり。
”フー”
休んでいる夫が2、3言あの女……シュエに声をかける。
”フー”
シュエの方は傍に居たかったようだが、すぐにあちらこちらと邸内を熱き回ることにしたようだ。
シュエシュエ
舞踏会の空気に酔っているのか、相変わらずの夢見るような足取りで。
シュエシュエ
ランプの並ぶ回廊に出る。高い天井を見上げて。
”フー”
昨日と変わらない様子で、金髪の男が姿を現す。
”フー”
「いやぁ……見てましたけどお上手でしたよ、踊り」
シュエシュエ
包帯、化粧、香水。”きれいな”死体が振り返る。
”フー”
「昨日は申し訳ないことをしましたからねぇ」
シュエシュエ
くるりと回る。ずいぶん”調子”がいい。
”フー”
「おお、それはよかった。体の動きも良かったようですし……旦那さんのご機嫌もよかったようで」
シュエシュエ
いつもならむせ返るような樟脳の香りも、それに紛れている腐臭も、いまはほとんど気にならない。
シュエシュエ
「はイ!楽しく過ごさせてもらってマス」
”フー”
「いやぁ、ちょっと心配だったんですよぉ。旦那さんの許可を得ずに随分と話し込んでしまったでしょう?」
”フー”
私としたことが、と言わんばかりに頭に手をそれ軽く首を振る。
シュエシュエ
ニコニコと、右の口端を僅かに引きつらせて笑う。
”フー”
「……ところで、旦那さんには俺のことを?」
シュエシュエ
「やましいコトはな~んにもないので、お話しちゃいましタ」
”フー”
「旦那さんはどういう人なんです?直接聞いても、俺にはわからないだろうって言われちゃいましたからね」
”フー”
「ああ、これはどちらかというと”興味”の方です」
”フー”
「ははは、とりませんとも!約束しましょう!」
”フー”
「ところでそれほどに仲の良いご夫婦でしたら……」
”フー”
「結婚式の時のことは覚えてらっしゃらないんで?」
”フー”
「例えば、初めて抱き寄せられた日のことだとか」
”フー”
表情は変わらず、雰囲気も声色もむしろ昨日より落ち着いている。
シュエシュエ
頬を赤らめる血は、死体には流れていない。
シュエシュエ
「……夫婦の個人的なおはなしでスヨ」
シュエシュエ
「よくないデス、そういうこと訊くノ」
”フー”
「いやぁ、一日考えたんですけどねぇ。やっぱりどうしても気になるというか……」
”フー”
「昨日の俺のいじわるな質問に、どうして嘘をつかなかったんですかね?」
”フー”
「『旦那さんと出会った日』とか、『結婚の祝いをした日』とか……」
シュエシュエ
頭のなかになんとか残る腐った脳が、昨日のことを思い出そうとうごめく。
シュエシュエ
「シュエが、訊かれたのは、一番古い記憶のことデ」
シュエシュエ
問われた記憶をひとつひとつ思い出すことができるかといえば、それは。
シュエシュエ
ばらばらの身体。ばらばらのパーツ。ばらばらの。
シュエシュエ
「別二、嘘なんかつかなくったッテ、シュエの記憶がちょっとダメになってるのハ、本当のことだシ」
シュエシュエ
明らかに、”訊かれたくない”ことだ。
”フー”
声のトーンを落とし、何かが笑っていないようなちぐはぐな表情。
”フー”
「何かあっても、忘れてしまう。出会った時のことも、式のことも、これまでの生活のことも忘れてしまう……じゃあ―――」
”フー”
「……旦那さんから、そういう話をしてもらったことはありますかねぇ?」
”フー”
「シュエさんは別に、起きた時に旦那さんの顔を忘れているわけでもなければ……何故ここにいるかだとか、そういうことは覚えてますよねぇ」
”フー”
「だから、すべて忘れてしまうってことはないと思うんですよね」
シュエシュエ
唇がゆるく開く。思い出そうとする間ではなく、肯定の気配を含んだ間。
シュエシュエ
けれどそれを肯定してしまっては。頷いてしまっては。
シュエシュエ
死体になってから、目を覚ますまでの間にある空白を。
シュエシュエ
この死体が埋めるすべを持ってはいないことを、”思い出して”しまう。
シュエシュエ
「シュエは、昔のこト、あんまり訊かないようにしてるかラ」
シュエシュエ
「それデ、話してもらってないだけデ」
シュエシュエ
「……大体、あなたにそんな話する必要、ないですモノ」
”フー”
「………それって、存在しない”嘘”だからじゃあ?」
マオマオ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
マオマオ
* 愛している妻の横槍に手抜きする訳にはいかないので、ティーセット使います
マオマオ
1D6+2 (1D6+2) > 2[2]+2 > 4
マオマオ
2d6+2 (2D6+2) > 3[1,2]+2 > 5
”フー”
2d6+4>=7 (2D6+4>=7) > 10[5,5]+4 > 14 > 成功
GM
シュエシュエには『フーへの恋心』が付与されます。
[ シュエシュエ ] つぎはぎハート : 0 → -1
シュエシュエ
ばり、と。音が。それは幻聴かもしれないけれど。
シュエシュエ
『不細工!』『あんたなんか生むんじゃなかった』
シュエシュエ
『あんたみたいなブスを嫁にもらってくれるって』
シュエシュエ
『喜びなさい、相手は死体!あんたがブスでも大丈夫!』
シュエシュエ
へた、と座りこむ。ぶよぶよとした肉が床に叩きつけられるひどい音。
シュエシュエ
こんな顔でも、がんばっていれば、いつか王子様がくると、そう信じていて。
シュエシュエ
『安心しなさい、顔ならちゃんときれいにしてあげるから』
シュエシュエ
夫となるそのひとは、とても美しい死体で。
シュエシュエ
『さみしがっているの。あなたが慰めてあげて』
シュエシュエ
だから、それで、もういいかと、思って。
シュエシュエ
こんな不細工な女でも、さみしがりのこのひとを慰められるのなら。
シュエシュエ
それでいいと、思ったから。毒を呷ったの。
シュエシュエ
「あ…………………………………………………!」
シュエシュエ
あの美しい死体は、いま夫を名乗るそのひとではなかった。
シュエシュエ
顔がぐずぐずに溶けては戻ろうとして、また崩れ。
シュエシュエ
ついではいで作られた美しさを失っていく。
”フー”
長い脚を折りたたみ、座り込んだシュエシュエと目線を合わせる。
顔をそらさずただシュエシュエを見ている。
シュエシュエ
空白に穴が開く。見ないふりをしていた現実が覗く。
”フー”
手を伸ばす。
細くしなやかな手足からするとやや大きな手。
シュエシュエ
触らないでと跳ねのけることも出来なかった。
”フー”
崩さぬよう、こそがぬよう。
その冷たい肌を掌に感じながら、そっと膿を親指でぬぐう。
シュエシュエ
抜け落ちた本のページが、自分が読まぬように封じていただけだったことに気付く。
シュエシュエ
嗚咽めいて唸っても、死体は涙を流さない。
”フー”
汚れもかまわず添えた手は冷えた肉を温める。
”フー”
「手に収まらないものばかり気にしてきたんで」
”フー”
「あんた1人が、俺の掴めるせいぜいですよ」
シュエシュエ
袖のうちに隠された、僅かばかり腐肉のついた骨を震わせる。
シュエシュエ
後ろへ退がる。名残惜しげに腐肉が糸を引いて。
シュエシュエ
立ち上がり、背を向ける。ふらつく足で走りだす。
GM
愛しあう夢が崩れ去り、信じあう幻が腐り落ちる。
GM
ここには、ゆめまぼろしがいくらでも満ちている。溢れている。輝いている。
マリユス
零れたため息は、これまでの低いものとは違う。
マリユス
澄んだ泉のような声。
昔の声。泣き叫んで枯れた声ではなく。
聖歌を歌ったあの日の声。
これも、忌々しい疵の力。
マリユス
私は苦しんで死ぬために生まれたんじゃない。
マオマオ
大ホール。壁際の椅子に座って休んでいる。
マオマオ
シュエシュエは道具だ。
決して自分を裏切らない、自分のための便利な道具。
マオマオ
道具が自分に逆らった。そのはずなのに、悪い気はしない。
マオマオ
自分の言うことに逆らってまで妻が求めたのは、自分の話だった。
マオマオ
妻のいちばん古い、いちばん大事な記憶は。
マオマオ
他人のために用意された花嫁の墓を暴いて、道士に嘘を吐いて、夫だと思わせた。
マオマオ
それ以前の人生もあっただろう。あの歳まで生きたのだから、それなりに楽しいことも、悲しいこともあっただろう。
マリユス
赤いハイヒールの踵がかつりと乾いた音を響かせる。
マリユス
どこもかしこも仮面をつけた奇妙な人々ばかり。
マオマオ
大ホールに一人の女が現れた。仮面を付けていない。救世主だろう。
マオマオ
いまここにいる救世主は、4人だけではなかったのか?
マオマオ
いや、あの顔を覆うヴェールや立ち姿には見覚えがある。
マリユス
ヒールの分だけ、少しだけ背が高く見える。
マオマオ
昨日話した声を思い出す。低く響く男の声。昨日見たワイングラスをつまむ指先を思い出す。わからない。そこまで見ていなかった。
マオマオ
いやぁ、と言いながら立ち上がり、帽子を胸に当てる。
マリユス
「ふふ……随分と、驚かれているようですね」
マオマオ
「それはそうですよ……声まで変わってるんですから」
マリユス
「封印を……といっても、通じないかもしれませんね。男性でいた方が、何かと都合が良いものですから」
マオマオ
「それは理解できます。女性で不便なことは多い」
マオマオ
「しかし……、私に知られていいのですか?」
マリユス
「……いえ、負けた時の事は考えたくありませんね。」
マオマオ
「戦う前から殺される時の心配をしても仕方ない」
マリユス
手を口元に持ってきて、紅く染まった爪を噛む。
マオマオ
「しかし、ご存知ですか?妻の体は傷みやすい。定期的に女の体と交換する必要がある」
マオマオ
「そして一人は死ぬ必要がありますが……、逆に言えば、二人殺さなくてもいい」
マオマオ
「あなたが女だと知ったことで、あなたを殺す優先度が高まった、かもしれない」
マリユス
目の前に膝をつき、右手でとった手を左袖の中へと導く
マリユス
触れた腕には、鞭打たれた痕がはっきりと残っている。
マリユス
「『おわかり』いただいた方が……よろしいかと思いまして。」
マオマオ
「そういえば、あなた方の方が頼りになる、という話をしていましたね」
マリユス
「こうも言いました。『死ぬのは二人でなくともよい』、と。」
マリユス
「『身体』も、ひとつでなくてもいいのでは?」
マオマオ
マリユスの顔を見る。ようやく、初めてと言っていいくらいに。
マオマオ
「条件だけなら、なるほど魅力的だ。しかし私には、まだあなたを信頼できるだけの材料がない」
マオマオ
「今日初めて会ったあなたよりも、私以外の記憶を持たない妻の方が信頼できる」
マリユス
「私の相方が、奥方にご執心のようでしたから」
マリユス
「本当に、貴方以外の記憶を持たないといえますかどうか」
マオマオ
「私が死ぬまで騙し通して欲しいところです」
マリユス
「お優しいことをおっしゃいますね。少々意外です」
マオマオ
「これはこれは、人の心を手玉に取るようなあなたがそんなことを言うなんて」
マリユス
「暴力的で実利主義、嘘吐きで人を信じない」
マリユス
「信用いただけるとは思っておりませんよ」
マリユス
「生かしておいた方が有益だと思っていただければ、まあ……」
マオマオ
膝をついたマリユスの顎を、指先で軽く持ち上げる。
マオマオ
「お前が言う通り、俺は暴力的で実利主義、嘘吐きで人を信じない」
マオマオ
「俺が最も重視するのは、信じられるかどうか」
マオマオ
「ですが、信頼は相互に築くものです。あなたは私を信頼できないでしょうし、逆もまた然りというものじゃないですか」
マリユス
「見たところ、術者か聖職者のように見えますが」
マオマオ
「分かりますか。聖職者ですよ。熱心でないことは、ご想像頂けると思いますが」
マオマオ
「では、あなたが秘密を教えてくれたお礼に、私も一つ教えましょう」
マオマオ
「戒律を守っている訳でも、神を信じている訳でもない」
マオマオ
「……信頼は相互理解によって成り立つものです。ご参考にして頂ければ」
マリユス
立ち上がると赤いフリルからぽたぽたと血が滴る。
マリユス
「いいんです。初めから……期待していたわけではありませんし……」
マリユス
「私はただ……死にたくないだけですから」
マリユス
ただ、ヒールで踏んだ場所に血痕を残して人ごみに消えていった。