GM
歌声が呼ぶひとは誰?
GM
あなたとあなた、一人と一人。そうして二人が八揃い。
GM
光をなくしたのは誰?
GM
まだ誰も。けれどこれから十四人。
GM
目の前に立つのは誰?
GM
あなたの隣と、あなたの敵と。どちらを見るのが正解か。
GM
自由になったのは誰?
GM
まだ誰も。けれども、いつか、誰か。この塔から。
GM
Dead or AliCe 『盲の塔』
GM
第1話 野萵苣の塔
GM
ああ、ラプンツェルを食べなくちゃ。
GM
――食べなくちゃ、死んでしまうわ!
GM
GM
ある日ある時、あなたがたの耳に届いたのは、美しい歌声。
GM
それが一体誰のものだか、どうして聞こえたのか――
GM
知らないままに、あなたがたの足は、目的地への道から離れ。
GM
それが一体どこにあるのか、どうして辿り着いたのか――
GM
わからないままに。
GM
あなたがたの目の前には今、緑の絨毯。
GM
瑞々しい葉のラプンツェルが、果ても知らないように広がっている。
金鎖 きりり
「…………」
マルク
「わぁ、すごいね」
マルク
その場に膝をついて、もちもちとした指でつやつやの葉を撫でる。
マルク
「これ、全部植物かな」
金鎖 きりり
「……うーん、まあ、うん……」
金鎖 きりり
頭を掻く。
金鎖 きりり
さっきまで向かっていた街は姿も形もなく、地平の向こうまで緑色。
金鎖 きりり
この堕落の国はまま、こういうことがある。
金鎖 きりり
いちいち驚いていてはキリがない。
マルク
「食べられるやつかな……どうかな」
金鎖 きりり
「どうだろ。食べたら亡者になっちゃうかも」
マルク
「あっ、そうか……亡者かもしれないね」
金鎖 きりり
「食べてみる!?」
マルク
「うーん……」
金鎖 きりり
「マルマルが亡者になったら殺してあげるよ」
マルク
「うーん」
マルク
「お腹が空いたら考えるよ」
金鎖 きりり
「そっか~」
金鎖 きりり
「まあ……向かってた道と違う、いつの間にか、ってことは」
金鎖 きりり
「……なんかされたかね」
金鎖 きりり
ぐ、ぱ、と手を握る。状況を把握すべく、あたりを見回す。
GM
すると、あなたがたの通り過ぎてきた、すぐ背後から。
案内人
「ごきげんよう、お客さま」
マルク
「ふわっ」
金鎖 きりり
「お」
金鎖 きりり
「ちわっす!」
案内人
「ちわっす」
金鎖 きりり
「軽ッ!」
マルク
「ちわっす??」
金鎖 きりり
「あいさつあいさつ、気にしない」
案内人
「わたくし、ご挨拶はお客さまの流儀に合わせることにしております」
金鎖 きりり
「あっはは、面白い人きたな~!」
GM
深くかぶった黒いフードの奥には、目元をきつく覆い隠す白い包帯。
GM
それでも、目線……のようなものは、あなたがたを捉えているように感じられる。
金鎖 きりり
眼帯の奥の視線が、それに応じる。
マルク
「でも、話せる人で良かったね、キリ!」
金鎖 きりり
「うんうん。”おはなし”がいちばん大事だからね」
金鎖 きりり
「それで……私たち、ちょっと困ってるんですけど」
金鎖 きりり
「道に迷ったみたいで」
案内人
「ふふ。迷ってはいらっしゃらないと思いますよ」
案内人
「わたくしのおひいさまが、あなたがたをお招きしたようですから」
マルク
「お招き?」
金鎖 きりり
「……」ため息。
マルク
「よかったね、キリ。お茶会かな?」
案内人
「お聞きになったと思いますけれど……」
案内人
「魔法の歌声が、『しあわせの資格』をお持ちの方に聞こえたはず」
マルク
「しあわせだって!」
金鎖 きりり
「うんうん、マルマル。けっこう大変な状況だぞこれは」
金鎖 きりり
「あの歌声で、お招きされて、勝手にここに着いちゃったってわけだ」
金鎖 きりり
「ここの国の人ってみんな招待だって言えば許してもらえると思ってんのかな?」
案内人
「許されますよ」
案内人
さらり。
マルク
「許されるんだって!」
金鎖 きりり
「許してねえ~~~!!」
案内人
「招きにあらがえない方は、相手に、世界に、あらがうちからのないということですからね」
案内人
「まあ、救世主さまはみなさま、そう。だいたいは」
金鎖 きりり
「ま、そうですね。はい。お招きありがとうございます」
金鎖 きりり
「それで?」
金鎖 きりり
「あなたのおひいさまは、私たちに何をしてくれるって?」
案内人
「しあわせ」
案内人
「と、言って……何事か。願い? 祈り? そうしたものを」
案内人
「おひとりに、ひとつ」
案内人
「ただし」
案内人
「おひいさまの呼び集めたのは十六人」
案内人
「そして、しあわせを得られるのはお二人!」
金鎖 きりり
「辞退しますって言ったら?」
案内人
「辞退した方、負けた方……」
案内人
「お知りになりたい?」
金鎖 きりり
「マルマル、予想してみて」
マルク
「うーん…………」
マルク
「帰るんじゃないの?」
金鎖 きりり
「どうですか?」
案内人
ころころと笑う。
金鎖 きりり
「笑われちゃった」
案内人
「おひいさまに必要なものになりますよ」
案内人
「端的に言えば……『糧』、とか……そういうのがよろしいでしょうかね?」
金鎖 きりり
「残念、マルマル。はずれだ」
マルク
「そっかぁ」
案内人
「うふふ」
マルク
「じゃ、しあわせの方にならないとね」
金鎖 きりり
「……そうだねえ」
案内人
「わたくしは、お二人にしあわせになっていただきたいと思っておりますよ」
案内人
くすくすと笑いながら。
案内人
「では、お話は道々」
金鎖 きりり
マルクの脇を小突く。
金鎖 きりり
「あれ、全員に言ってるよ、ぜったい」
マルク
「そうなの!?」
金鎖 きりり
力なく笑った。
案内人
どこともなく先を指し示して、あなたがたの先に立つ。
案内人
緑色の絨毯を踏んで歩く。
案内人
踏まずに歩けないほどの緑。
マルク
もったいないなぁ。
金鎖 きりり
ざっくざっくと踏みつける。踏まずに通れないのなら、仕方ない。
マルク
滑らないように慎重に。
こんな緑の上を歩くのは初めてだ。
マルク
街に持っていったら、みんな喜ぶだろうなぁ。
案内人
「最初に、塔の途中で半分」
案内人
「それから、塔を上ってさらに半分」
案内人
「最後にまた上って、もう半分」
案内人
「そうしたら、最上階で、おひいさまがお待ちです」
金鎖 きりり
「塔……」
案内人
「そろそろ見えますよ」
案内人
「ほら、あちらに」
マルク
「ほわっ」
金鎖 きりり
「……高いな」
GM
白壁の高い塔。
GM
途中にいくつも、小部屋と思しき、窓付きのでっぱり。
GM
てっぺんは見えない。
マルク
「おひいさまって、救世主かな……」
金鎖 きりり
「さあ……どうなんですか?」
金鎖 きりり
視線が追いつく範囲で塔を見上げ。壁を上るのは大変そうだな、と思ったりする。
案内人
「わたくしにとっては、世を救ってくださる方ですよ」
GM
言いながら笑っている。
GM
笑みを絶やすことがない。
金鎖 きりり
「だって。マルマルにとってもそうだと良いんだけどねえ」
マルク
「うん」
金鎖 きりり
肩を竦める。
マルク
あるくたび、もふもふの尾羽根が左右に揺れる。
GM
歩いて、歩いて、踏み潰される草からたちのぼる青い匂い。
GM
それにもすっかり慣れた頃、塔の足元へとたどり着く。
GM
白く塗られた壁に、入り口は見当たらない。
マルク
「…………高いなぁ」
案内人
「雲の上まで伸びておりますよ」
金鎖 きりり
「これ、どうやって入るの?」
案内人
ふふ、と笑い。
案内人
「おひいさま、おひいさま」
案内人
「お客さまがお見えですよ」
案内人
遠く呼びかける。
GM
それが、どこに届いたとも思われないが……
GM
するすると、どこか、高い場所から。
GM
金色の、太い三編みが下りてくる。
マルク
「ほわわっ」
金鎖 きりり
「うわっ……」
金鎖 きりり
やや引き。
案内人
「途中に、露台……バルコニーがございます」
案内人
「そこから中へ。それより上は、窓が閉まっておりますので」
マルク
「はいれない……ってこと!」
金鎖 きりり
「マルマル上れるかなあ?途中で千切れない?」
案内人
「大丈夫でしょう。髪は強いものですから」
マルク
「よかったぁ」
金鎖 きりり
逆らったり、逃げたり、その他、なにかルールの外のことをやろうとするのは、あまり得策ではない。そのことをよく知っている。
マルク
「じゃ、僕先に登るね」
金鎖 きりり
「え?!」
マルク
「えっ」
マルク
「だって、危ないかもしれないし」
金鎖 きりり
「……マルマルが落ちてきたらたぶんほぼ間違いなく死ぬから先に上っていい?」
マルク
「落ちないのに~」
マルク
「じゃ、これ持ってるね」
マルク
そういって髪を手繰り寄せ、持つ。
金鎖 きりり
「はいはい、じゃ、よろしく」
金鎖 きりり
どこまでも長く、艶のある金の三つ編み。
金鎖 きりり
ためらわずその編み込まれた髪に足を掛け、ぐいぐい踏んで強度を確かめて、上りだす。
案内人
「いってらっしゃいませ」
金鎖 きりり
振り向かない。目的のバルコニーだけを見て、上る。
マルク
きりりが登りきったのを見て、両手で三つ編みを握り
マルク
右足を壁につけ、駆け上がるように登っていく。
GM
塔の下、フードの姿は見えなくなり。
GM
バルコニーの窓は開かれている。
GM
そして、塔の内側。
GM
窓と、ろうそく。扉がたくさん!
GM
あなたがたがバルコニーから内へと入ると、金の髪はするすると上へ。
GM
そうして、下りることができなくなる。
マルク
「よっと」
金鎖 きりり
「ゴール!」
マルク
「全員優勝!」
金鎖 きりり
「マルマルって突っ込みできないタイプだよね~」
マルク
「そうかな?」
金鎖 きりり
「……と、そういえば14人、どうやって蹴落とすか聞いてなかったな」
金鎖 きりり
「もう始まってんのかな……」
マルク
「裁判じゃないの?」
金鎖 きりり
「勝ち抜きなのバトロワなのかで違うでしょってこと」
マルク
「バトロワ……?」
金鎖 きりり
「よーいどんで参加者全員殺し合い始めるやつ」
マルク
「でも、最初は半分なんでしょ」
マルク
「ここで二人になったら楽ちんだね!」
金鎖 きりり
「そうだねえ……」
金鎖 きりり
談話をしながらも、身体は敏感に”参加者”の気配を捜している。
GM
広い廊下はゆるやかにカーブして、遠い先は見通せない。
GM
が……その向こうから、足音がふたつ。
セアラ
先を歩く少女と、
バルトルト・リッツ
数歩後ろの男。
セアラ
「あっ……」
マルク
「あっ、人だ!」
金鎖 きりり
とっさに数歩退がり、マルクの後ろへ。
バルトルト・リッツ
こちらは逆に、男が前へ。
金鎖 きりり
こんにちは、はじめましてって雰囲気でもない。
バルトルト・リッツ
「……『しあわせの資格』とやらをお持ちの方かね」
金鎖 きりり
「みたいっすね」
バルトルト・リッツ
「ふむ」
マルク
「こんにちは」
バルトルト・リッツ
「…………」 やや間を置いて、
バルトルト・リッツ
「……こんにちは」 やや呆れたような声。
マルク
「僕はマルク、よろしくね」
金鎖 きりり
「うーーーん!グッバイ緊張感!」
金鎖 きりり
「ってなわけでどうも」
金鎖 きりり
後頭部を掻きながら頭を下げる。
金鎖 きりり
幸い出会い頭に襲いかかってくる相手ではないらしいが、そこはそれ。
金鎖 きりり
「たぶん、対戦よろしくおねがいしますってやつっすね」
バルトルト・リッツ
「そうか。やる気がおありなのだね」
金鎖 きりり
「そっちが降りてくれるならもちろんやらなくても」
金鎖 きりり
そうしている間にも間合いを測る。心を探る。
セアラ
「だめですよ」
セアラ
「あなたは勝たなくてはいけません。……負けては、だめ」
バルトルト・リッツ
「……お前さんはそう言うね」
セアラ
「もちろんです」
マルク
「みんな優勝じゃダメかぁ」
マルク
「じゃ、キリが勝たなきゃ」
金鎖 きりり
たぶん後ろのが末裔で、手前のが救世主。
末裔と二人一組にされてるのかな?それは現状わからない。
金鎖 きりり
仲は良さそう。信頼もしていそう。でも、独特の緊張感がある。
金鎖 きりり
「そうだねえ」
金鎖 きりり
「それで」
金鎖 きりり
「はじめます?」
バルトルト・リッツ
あなたがたを見て。
マルク
準備運動
マルク
走る前には準備運動だよ!
バルトルト・リッツ
「……さて……」
バルトルト・リッツ
「私はもう少し、『しあわせの資格』とやらと、この塔が気になるがね」
バルトルト・リッツ
「それに」
バルトルト・リッツ
「裁判の前には、お茶会があるものだと聞くよ」
マルク
「お茶会?」
バルトルト・リッツ
聞くよ、と言いながら。それに、当然のように馴染んでいる空気。
金鎖 きりり
「出た、お茶会」
金鎖 きりり
「苦手なんだよな……」
金鎖 きりり
「でもいいですよ、たしかにこの塔、謎過ぎますからね」
バルトルト・リッツ
少し微笑う。
バルトルト・リッツ
「何もわからないからね」
マルク
「そうだね」
マルク
「君たちの名前は?」
バルトルト・リッツ
「私はバルトルト。こちらが」
セアラ
「……セアラ……」
マルク
「よろしくね!」
金鎖 きりり
「あ、まって私まだだった」
金鎖 きりり
「きりり。キリとかキーリとか好きに呼んでね。きりりはNGで」
バルトルト・リッツ
「では、キリ、と」
バルトルト・リッツ
「私の名も、好きに略してくれて構わんよ」
GM
では、お茶会を開始します。