GM
*マルクは発狂。亡者化の判定を行います。
マルク
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
マルク
2d6+2>=7 愛 (2D6+2>=7) > 7[5,2]+2 > 9 > 成功
GM
*成功。
GM
セアラ
マルクが動かなくなったことを確認して、
セアラ
長く、長く息をつく。
セアラ
「……バルトルトさま。……勝ち、ました……」
バルトルト・リッツ
「……うん、」 頷いて、
バルトルト・リッツ
「……よく頑張ったね」 表情を緩める。
バルトルト・リッツ
それから、意識のない二人に目をやって。
バルトルト・リッツ
「…………」
バルトルト・リッツ
きりりが、今になって、ようやく身じろぎするのを、見た。
金鎖 きりり
ひゅ、と喉が鳴る。
金鎖 きりり
悪夢のあとの目覚めのような。
金鎖 きりり
咄嗟に跳ね起きようとして、身体がぜんぜん動かない。
金鎖 きりり
「……」
金鎖 きりり
「マルマル……」
金鎖 きりり
そのひとの背と。
金鎖 きりり
目の前に立つふたりと……
金鎖 きりり
状況を把握する。
金鎖 きりり
死んでいない。けれど、それはおそらくまだ、というだけ。
金鎖 きりり
訊かずとも、どれほどの戦いを経たのかわかるほどボロボロだ。
金鎖 きりり
這うように身体を起こす。
金鎖 きりり
「マルマル……マルマル、……」
金鎖 きりり
揺する。
マルク
ゆすられ、一度倒れる身体。
マルク
カエルのように醜く肥えた身体は、贖った罪の数だけ洗われて。
マルク
目を醒ました時、それは。元の姿に近づいていて。
マルク
でも、その腕に羽根はなく、尾もなくなっていて。
マルク
「キリ……?」
金鎖 きりり
「……痩せすぎ……」
金鎖 きりり
「びっくりした」
マルク
「え……あれ……」
マルク
「そっか……」
金鎖 きりり
「…………」
金鎖 きりり
「ごめん」
マルク
もう、必要ないからだと、思う。
マルク
兄さんが、僕を、他の人から遠ざける理由が
マルク
なくなったんだ。
金鎖 きりり
「ごめん、マルマル」
金鎖 きりり
「……ごめん……」
金鎖 きりり
何に対するごめんなのか、自分でもわからないまま。
マルク
「どうしてキリが謝るの?」
マルク
「僕の方こそ、最後までちゃんと、守れなかったのに」
金鎖 きりり
「だって、それはさあ」
金鎖 きりり
「私がちゃんと一人でなんでもできないと、だめじゃん」
金鎖 きりり
「私がひとりでやれるのが、最低条件じゃん……?」
金鎖 きりり
「できなかったんだよ」
金鎖 きりり
「できなかったのに、マルマルがこんなになるまで、」
金鎖 きりり
「……がんばるなんて、思ってなかったのに、……」
マルク
「僕、キリに幸せになってほしかった」
金鎖 きりり
「……なんで……」
金鎖 きりり
「私マルマルに、なんも…………」
マルク
「優しくしてくれたから」
マルク
「できそこないで、醜くて、何の取り柄もなくて」
マルク
「誰にも相手にされないって、思ってた、僕に」
マルク
「優しくして、助けてくれて、一緒に連れて行ってくれた」
マルク
「だから……」
金鎖 きりり
「マルマルがお人好しなだけじゃん、それ」
金鎖 きりり
優しくしたつもりなんてない。
マルク
「僕、キリが優しいのも、本当は怖いのも、嫌なのも、苦しいのも、辛いのもわかるから」
金鎖 きりり
助けたのだって、それがたまたま自分の命に関わったからで。
マルク
「少しでも、笑えたらいいなって、思って」
金鎖 きりり
「わら、って、たじゃん」
金鎖 きりり
連れてきたのは、そう……勝手に、
金鎖 きりり
勝手に、ついてきたんでしょ、君が。
マルク
「しあわせに、できるなら」
マルク
「君を、しあわせにしたかった」
金鎖 きりり
「…………いっぱい殺したんだよ」
金鎖 きりり
「いっぱい嘘ついた」
金鎖 きりり
「いっぱい裏切ったし、いっぱい……いっぱい、酷いこと言った」
金鎖 きりり
「最初からわかってたんだよ、もうもとになんか戻れないことくらい」
マルク
「全部、夢だよって」
マルク
「言ってあげたかった」
マルク
「最初のアリスが帰ってこないみたいに、全部夢だよって、忘れちゃって」
マルク
「思い出せなくなるくらい、しあわせな時間をすごしてほしかった」
金鎖 きりり
「夢になんか」
金鎖 きりり
「できないよ、……」
金鎖 きりり
「……そんな夢見がちなやつ、いちばん最初にみんな死んじゃうんだよ」
金鎖 きりり
「……」
金鎖 きりり
「私だって」
金鎖 きりり
「マルマルにしあわせに、なってほしかったよ」
金鎖 きりり
「私よりもっと優しくて、助けてくれて、連れてってくれる救世主、いたよ」
マルク
首を横に振る。
マルク
「僕の救世主はキリだけだよ」
金鎖 きりり
「こんなときに涙のひとつも出ないやつになんて、」
金鎖 きりり
マルクの腕を握る。剥製の翼はもうない。
金鎖 きりり
「……もったいないよ、マルマルは……」
マルク
「キリ」
マルク
「負けちゃって、ごめんね」
金鎖 きりり
今度はこちらが首を振る。
マルク
「でも、僕、頑張ったんだ」
金鎖 きりり
「うん」
マルク
「キリのためだから、がんばれたんだよ」
金鎖 きりり
「……うん……」
金鎖 きりり
それは疑いようもない。
金鎖 きりり
たとえもはや妄執の域にあったとしても。
金鎖 きりり
「ありがと……」
金鎖 きりり
「ありがと、マルマル」
金鎖 きりり
しあわせを願ってくれた。
金鎖 きりり
ほかならぬ君が。
金鎖 きりり
「……すごいね。よく、がんばったね」
マルク
「うん」
金鎖 きりり
「えらいね」
マルク
「うん」
金鎖 きりり
「かっこいいなあ……」
マルク
「そうかなぁ」
金鎖 きりり
頬を撫でる。
金鎖 きりり
「顔はいいと思ってたけど、思ってたよりかっこいい」
マルク
「えへへ」
金鎖 きりり
笑みの一つも浮かばない。
金鎖 きりり
「ひとりで戦わせてごめん」
金鎖 きりり
「痛かったでしょ」
マルク
「全然平気」
金鎖 きりり
「……ありがと」
マルク
手を差し伸べて、その身体を、抱きしめる。
マルク
「……ごめんね」
マルク
「ごめんね、ごめんね」
マルク
「守れなかった、ダメだった、がんばったけど」
マルク
「君を守れなかった」
マルク
「嫌だよ」
マルク
「君が死ぬなんて嫌だ」
金鎖 きりり
首を振る。
金鎖 きりり
「いいんだ」
マルク
「明日には新しい楽しみがあるのに」
マルク
「明後日にも、その次にも」
金鎖 きりり
首を振る。
マルク
「だって……」
マルク
「絶対にあるのに、キリには、しあわせの資格が……あるのに!」
金鎖 きりり
「うん」
金鎖 きりり
「……マルマルが、そう思ってくれてるなら、なんか」
金鎖 きりり
「もう、それだけでいいや」
マルク
「どうして、全員でしあわせになれないの」
金鎖 きりり
「どうしてだろ」
金鎖 きりり
「わかんないけど……でも」
金鎖 きりり
「マルマルが、その全員に、私を入れてくれたことが」
金鎖 きりり
「うれしいよ」
マルク
「キリ~~~!」
マルク
わんわんと泣き出す。
金鎖 きりり
「あーあー」
マルク
だって、キリが泣かないから。
金鎖 きりり
ぎこちなく抱き返して、その背を撫でる。
マルク
しんじゃうんだよ。
マルク
こんなにがんばったのに、がんばってるのに。
金鎖 きりり
いっぱい殺したもん。次が私の番だってだけ。
金鎖 きりり
みんながんばってたよ。
金鎖 きりり
セアラちゃんも、バルトさんも。
マルク
嫌だよ、そんなの。
金鎖 きりり
マルマルはがんばりすぎ。
金鎖 きりり
「ありがとねえ……」
金鎖 きりり
私がいま、泣きたいくらい嫌なことがあるとしたら、
金鎖 きりり
こんなに優しくて、助けてくれて、ここまで着いてきてくれた君を、
金鎖 きりり
巻き添えにしてしまったことくらい。
金鎖 きりり
「……」
金鎖 きりり
「泣かないで……」
マルク
「やだ」
マルク
「ないていいっていったもん……!」
金鎖 きりり
「言ったなあ、そういえば……」
金鎖 きりり
「じゃあ、泣いていいから」
金鎖 きりり
「……謝らせて」
金鎖 きりり
謝ったところで何が変わるわけでなし。
金鎖 きりり
となればそれはただの自己満足、最悪の自慰。
金鎖 きりり
それでも。
金鎖 きりり
「最後にマルマルと一緒だってことが、なんかうれしくて、ごめんね」
金鎖 きりり
「気づかないうちに死んじゃってなくてよかった」
マルク
「キリ……」
金鎖 きりり
「こうやってお話出来る時間、作ってくれてありがと」
金鎖 きりり
「マルマルが頑張ってくれたからだね」
マルク
「…………」
マルク
ぐし、と頭越しに目元を拭って身体を離す。
マルク
「…………僕も」
マルク
「僕も、キリと一緒で、よかったよ」
金鎖 きりり
「ほんと?」
マルク
「うん」
金鎖 きりり
「そっか」
金鎖 きりり
「……じゃあ、ここまで来て、わりと、よかったかもな」
金鎖 きりり
荒野のどこかで飢えて、裏切って殺したり。
金鎖 きりり
亡者に襲われてわけわかんないうちに死なれたり。
金鎖 きりり
知らない救世主にいつのまにか盗られちゃったりするよりは、
金鎖 きりり
少しだけ。よかったかもな。
セアラ
静かに見ていた。やりとりも、その涙も。
セアラ
そして、やはり、静かに。
セアラ
歩み寄る。
セアラ
最後に、あなたがたの命を摘むために。
セアラ
「…………」
セアラ
謝ったりはしない。
セアラ
ただ、二人に。
セアラ
「……さようなら」
GM
そうして、あなたがたの命は摘み取られ。
GM
何とも知れぬ、『糧』になる。
GM
でも。
GM
ここに来たのは、招かれたのは。
GM
しあわせの資格があるから。
GM
辿り着けなかったとしても。
GM
その幸福を願われるに十分な、何かがあって。
GM
あったはずで。
GM
だから、辿り着けなかったここでも。
GM
流れる涙のように小さく輝く、
GM
それはきっと、
GM
一粒の幸福だった。