GM
歌声が呼ぶひとは誰?
GM
あなたとあなた、一人と一人。そして二人が八揃い。
GM
光をなくしたのは誰?
GM
今は八人。そしてこれからもう六人。
GM
目の前に立つのは誰?
GM
あなたの隣と、あなたの敵と。どちらを見るのが正解か。
GM
自由になったのは誰?
GM
もしかして、八人。そうしてまた、いつか、誰か。この塔から。
GM
Dead or AliCe 『盲の塔』
GM
第2話 なくしもの
GM
あなたの過去と、あなたの未来。
GM
目を逸らさずに見るべきものは?
GM
GM
あなたがたがどれほどか、さほど長くはなく……あるいはたっぷりと休んだあと。
GM
階段は目の前に開かれている。
レフト
食事を摂り、しばしの仮眠を済ませ、身支度をして。
レフト
「……進まれますか?」
レフト
階段の前。
カーシェス
「ま、そうだなぁ……」
カーシェス
「休めないか?」
レフト
「塔がどれほどの休息を許すものなのかはわかりませんが……」
レフト
「カーシェス様のご準備が整っていないようでしたら、お休みください」
カーシェス
「お前がちゃんと休めたなら大丈夫だよ」
レフト
「ああ、それならば十全に」
レフト
「美味しい食事も頂きましたから」
カーシェス
「そりゃよかった」
カーシェス
準備と言っても武器は勝手に出てくるし、服も軽く洗ったし。
カーシェス
上にも同じ設備があることを期待したいが、ねんのため少し保存食も頂戴したし。
カーシェス
「それじゃ、行くか」
レフト
「はい」
レフト
階段に足を掛け、上る。
GM
塔の廊下と同じく、ゆるやかに左へとカーブする石の階段。
GM
足音が上から下まで遠く響く。
GM
これほど長い階段は上ったことがない。
GM
階段は塔の内側にあり、窓がない。
GM
ところどころ灯る蝋燭の明かり。
GM
誰が交換しているものか……わからないまま。
GM
延々と上った先、右手側に扉が見える。
カーシェス
「結構上まで来たな」
レフト
足音が遠く繰り返し反響し、自分が上っているのか下っているのかもわからなくなりそうになって。
レフト
ふとカーシェスの言葉で我に返る。
レフト
「……ええ」
カーシェス
「疲れてないか?」
レフト
「休んでから上がって良かったです」
レフト
「カーシェス様も、お疲れではありませんか?」
レフト
癖のように口にはするが、コインが増したせいか、疲れは微塵もなかった。
カーシェス
「全然」
カーシェス
肩をまわしてみる。
カーシェス
「身体は軽いし、調子もいい」
カーシェス
「でも、きっと相手側も同じだろうから」
カーシェス
「注意していこう」
レフト
「はい」
レフト
「先程とは変わって、問答無用で襲いかかって来ないとは限りませんからね」
カーシェス
「それはそれでありがたいかもしれないけどな」
レフト
「……そう、ですね」
レフト
「では、参りましょう」
レフト
扉に手を掛けて。
GM
重くも軽くもない扉。
GM
あなたはそれを開く。
GM
と。
ルゥルア
「ミア」
ミア
「はい」
ミア
音もなく降りかかる、どこかで見たことのあるようなチラつく輝き。
ミア
それは目眩のとき、目の前を覆う白に似ている。
レフト
「……!」
カーシェス
言葉を耳にするなり、レフトの足元を影がすり抜ける。
レフト
咄嗟に盾を構え、カーシェスを庇う体勢に入る。
ミア
影を照らす光。
カーシェス
「レフ」
レフト
「はい」
カーシェス
レフトを追い越した影から、救世主と同じ姿の男が飛び出し、末裔に向かって弾丸のようにダイスを投げつける。
ミア
光が質量を持ってそれを迎え撃つ。
レフト
飛び出したそれがカーシェス自身ではないとわかっていれば、その場から動かない。
ミア
すり抜けた光の粒子はレフトの盾をも強かに叩く。
カーシェス
手元に呼び出した錨を担ぎ、とんとレフトの上に飛ぶ。
レフト
「っ……」
カーシェス
「上げろ、レフ」
レフト
言葉を交わすこともなく完璧に合わせて、盾を上げる。踏台として。
カーシェス
盾を蹴って更に高く上がり、鎖を握って錨を敵の足元へと投げる。
ミア
ふわりと軽いステップが光の尾を引いて後ろに跳んで、
ミア
「…………」 それきり、追撃はない。
カーシェス
鎖を引いて、錨の上へと降り立つ。
ルゥルア
脇から、ぱちぱち、と気の抜けた拍手。
ルゥルア
「お元気ですこと」
カーシェス
「そっちがな」
ルゥルア
「待ちくたびれておりましたの」
カーシェス
「こっちはゆっくり休んで元気いっぱいだ」
カーシェス
ちら、ともう一人を見て。
ルゥルア
「それは結構」
カーシェス
「向こうが末裔ってことは、あんたは救世主だな」
ルゥルア
笑った女が頷く。
レフト
警戒を怠ることなく、盾を構え直して対峙する。
カーシェス
錨から降りれば、それは跡形もなく消える。
ルゥルア
「あたくし、ルゥルアと申しましてよ。こっちはミア」
カーシェス
「俺はカーシェス、向こうのがレフトだ」
カーシェス
「まあ、短い間だけどよろしくな」
ルゥルア
「よろしくしてくださいますの?」
カーシェス
「まあね」
レフト
主人が談笑しているなか、救世主と末裔の両方に視線を遣って。
ミア
「…………」 細めた目がレフトを捉える。
レフト
「グリフォンか」
レフト
小さくひとりごちる。
ミア
「トランプ」
レフト
「ああ」
ミア
「杖……」
レフト
睨まれている……?
ミア
特にこだわりなく、ふいと視線をそらした。
レフト
視線が外れればこちらもまた、それ以上の追求はしない。
ミア
すう、とルゥルアの隣へ。そこからさらに一歩下がって控える。
ルゥルア
それに微笑んで、それからあなたがたに目を戻す。
ルゥルア
「お茶会はお好き?」
カーシェス
「うーん……」
カーシェス
「嫌いではないかな」
レフト
「私も、好きかと問われれば難しく思います」
レフト
「ですが必要とあれば」
ルゥルア
「救世主が二人いて、お茶会が必要でないときなんて、ありますかしら?」
カーシェス
「まあ、そうだな……」
カーシェス
「してくれる気があってよかったよ」
レフト
「ええ」
ルゥルア
「ふふ、どうも」
ルゥルア
「とっても退屈してたの。たくさんお喋りをしましょうね」
カーシェス
「幸い、他に罠なんかはなさそうだしな」
レフト
「……お二方も、こちらに上がって来られているということは、既に一度裁判はお済みのものとお見受けしますが」
レフト
「休息は取られましたか?」
ルゥルア
「あら、ご心配なく」
ルゥルア
「言ったでしょう? 待ちくたびれておりましたわ。この階で二日、待ちぼうけ!」
レフト
「ふつか」
カーシェス
「ふぅん」
カーシェス
「降りてこられない構造で助かったな」
ルゥルア
「今、あなたがたも下りられなくなりましたわ」
ルゥルア
「下りてみようとは思いましたの。でも、上がっても下がってもここに戻ってくるようで」
ルゥルア
「行けども行けども、いつの間にか、この階で待っているミアが目の前に」
レフト
ミアを見る。
レフト
すこし、不思議そうに。
ミア
「…………?」
ミア
「何?」
レフト
「いや……」
カーシェス
「寝込みを襲われるとこだったな」
ルゥルア
にこにこしている。
カーシェス
「まあ」
カーシェス
「寝起きに見る顔としちゃ悪くないけどさ」
ルゥルア
「まあ、お上手」
レフト
「……」
レフト
良い従者なので黙っています。
ルゥルア
「でも、あたくしが寝込みを襲ったら、『寝起き』なんてものはなかったかも」
カーシェス
「こわいこわい」
レフト
「お言葉ですがその場合は、まず私とお手合わせ願うことになったかと思います」
レフト
良い従者ですが聞き捨てならなかったので黙れませんでした。
ミア
「……あたしがいるわ」
ミア
細く、ぴんと硬い声。
レフト
「……降りられない仕組みになっていて良かった」
カーシェス
「それで、どうする」
カーシェス
「この階は下と作りは変わらないのか?」
ルゥルア
「あたくしたちの階と、お二人の階のつくりが同じであれば」
ルゥルア
「さして変わらないようですよ」
ルゥルア
「そうね、食料庫の中身に……緑の葉がずいぶん増えましたかしら」
カーシェス
「外に生えてるあれか……」
ルゥルア
「ええ。萎れも腐れもしないようですけれど」
ルゥルア
「まあ、それがどう、ということもございませんでしょ。不安なら、食べなければそれで」
カーシェス
「ここにもあるなら助かるな。流石に保存食以外は持ってこなかったし」
カーシェス
「今更だろ」
ルゥルア
「では……こんな塔の中ですけれども」
ルゥルア
「お散歩気分ででも参りましょうか」