GM
……では、三つめの駅の名前を決めましょう。
雨樋 緑郎
「……あのさ」
雨樋 緑郎
「 いや、なんでもない。」
雨樋 緑郎
知らない景色が流れていく
雨樋 緑郎
1d12 (1D12) > 3
雨樋 緑郎
1d12 (1D12) > 6
GM
次の駅は、『凪島』。
GM
『まもなく、凪島……凪島……』
GM
ゆっくりと、車体が減速していく……。
雨樋 緑郎
ゆっくりと身体が傾いでゆく。
GM
【凪島駅】ハンドアウト
もうすぐ終着駅だ。
ドアのすぐ近くに自販機がある。少しならホームに出ても戻ってこられそうだが……。
このハンドアウトは、第3サイクルの間のみ調査することができる。
雨樋 緑郎
その場で降りずに、もう一度座り込む。空き缶は、手の中にある。
GM
*第3サイクル 雨樋 緑郎
雨樋 緑郎
「…そういえば、思い出した?」
小山田 みちる
「なんぞ?」
雨樋 緑郎
「忘れもの」
小山田 みちる
「……」
小山田 みちる
目を逸らす。
雨樋 緑郎
「……そっか。」
雨樋 緑郎
車内をみまわす……誰もいない。
雨樋 緑郎
あるのは、誰かの忘れ物らしい 置き去りにされた プレイヤーとノート。
雨樋 緑郎
「うっかりしたまま死ぬのかね、俺らは。」
小山田 みちる
「きちっとするよりっぽいでしょ」
雨樋 緑郎
「それはそうだ」
雨樋 緑郎
そう笑いながら、プレイヤーを拾い上げる。
雨樋 緑郎
「旅の仲間だ」
小山田 みちる
「ずっとそこにあったよね~」
小山田 みちる
「運転士さんに渡した方がいいんかな」
雨樋 緑郎
「そうだなぁ……」
雨樋 緑郎
名前が書いてあったりとかは……
とりあえず、プレイヤーを追跡で調査。
GM
よいでしょう。判定をどうぞ。
雨樋 緑郎
2D6>=5 (判定:追跡) (2D6>=5) > 11[5,6] > 11 > 成功
GM
成功。
GM
それには、有線のイヤホンが繋がっている。
GM
持ち上げれば、音の流れている気配。
雨樋 緑郎
「お、生きてる」
GM
あなたは耳を近づける――
GM
音がする。
雨樋 緑郎
「何聞いてんだろ」
GM
『……ピッ……ピッ……ピッ……』
GM
【音楽プレイヤー】秘密
ショック:全員
ずっとなにかの曲が再生され続けている。好奇心からイヤホンを耳に近づけてみると、音が聞こえてくる。
一定間隔で鳴り続ける、電子的な単音。なんだか薄気味が悪い。
やがて唐突にぶつりと音が途切れた。電池切れのようだ。
……そういえばさっきの音は、あなたの心音とまったく同じ間隔で鳴ってはいなかっただろうか?
▼《電子機器》で恐怖判定。
GM
そして音は、ぷつりと途切れた。
雨樋 緑郎
「うわ」
雨樋 緑郎
手から滑り落ちる
GM
感情共有で公開されていますので、お二人ともショックを1点。そして、恐怖判定。
小山田 みちる
滑り落ちたそれを、自分もと耳に近づける。
小山田 みちる
「……?」
[ 雨樋緑郎 ] 正気度 : 5 → 4
[ 小山田 みちる ] 正気度 : 5 → 4
雨樋 緑郎
2D6>=7 (判定:手触り) (2D6>=7) > 5[1,4] > 5 > 失敗
小山田 みちる
2D6>=6 (判定:整理) (2D6>=6) > 7[3,4] > 7 > 成功
GM
振り直しはありますか?
雨樋 緑郎
このまま引き取ろうとおもいます
GM
では、緑郎さんは狂気カードを1枚。
小山田 みちる
【共感】を使用します。
GM
おや。では判定をどうぞ。
小山田 みちる
2D6>=6 (判定:笑い) (2D6>=6) > 7[2,5] > 7 > 成功
小山田 みちる
その狂気カード……もろたで!
GM
1枚しかございませんので、そのままどうぞ。
雨樋 緑郎
あっ手癖の悪い……っ
雨樋 緑郎
じっと立ち尽くしている。
小山田 みちる
「……」
小山田 みちる
ぽん、とその背に手のひらを押し当てる。
小山田 みちる
「ちょっと冷えるなあ」
雨樋 緑郎
あたたかいてのひらの感触
小山田 みちる
「みちるさんは体温高いから温もりを持ってゆくがよい……」
小山田 みちる
シュゴオオオ……と口から効果音を発する。
雨樋 緑郎
「……は は…」
小山田 みちる
片手では足りぬとみて、両手をぺたり。
小山田 みちる
心音が手のひらから伝わってくる。
雨樋 緑郎
心音。 自分とは違うリズムがまぎれこむ
雨樋 緑郎
「わらえ、ないな。」
雨樋 緑郎
今まさに、死にに行こうというのに。
雨樋 緑郎
否応なしに、その体温が伝って震える。
小山田 みちる
なお冷えてゆく身体を前に、みちるは友達に背を預けることにした。
小山田 みちる
「笑お」
小山田 みちる
うしろ向きで顔は見えない。
雨樋 緑郎
沿うように固い背が丸くなってゆく。
小山田 みちる
強引に背中合わせで腕を組んだ。
小山田 みちる
丸くなってゆく背中にかかとが持ち上げられる。
小山田 みちる
「お、お……キく……っ」
小山田 みちる
組体操のアレ。
雨樋 緑郎
「……ふ、」
小山田 みちる
「腰がーっ」
雨樋 緑郎
「…………ふふ」
小山田 みちる
「アアアーーッ」
小山田 みちる
「バキバキいうとる!」
雨樋 緑郎
このまま、丸まっていったら……どうなるだろう
小山田 みちる
「ギブ!ギブ!」
雨樋 緑郎
「はは。運動不足だ。」
小山田 みちる
「スリーツーワン!カンカンカン!」
雨樋 緑郎
「まったなしだ」
小山田 みちる
自分から組んだ腕を解こうともがもがと動いた。
GM
*第3サイクル 小山田 みちる
雨樋 緑郎
そのまま姿勢が崩れて、倒れた。
小山田 みちる
「わーっ」
小山田 みちる
べちん、と床に倒れつつ。
寝そべったまま開け放たれたドアに視線を向ける。
小山田 みちる
「……あ、缶返さな」
小山田 みちる
「アカン!」
雨樋 緑郎
そのまま冷たい床に転がり笑う。 ばかみてえ。
雨樋 緑郎
「平和の為に だっけか」
小山田 みちる
立ち上がり、しるこの缶とコーヒーの缶を持ってホームへ向かう。
雨樋 緑郎
起き上がり、離れてゆくぬくもりを見やる。
小山田 みちる
凪島駅を【整理】で調査。
ゴミは分別がだいじ。
GM
OK、判定をどうぞ。
小山田 みちる
2D6>=5 (判定:整理) (2D6>=5) > 3[1,2] > 3 > 失敗
GM
振り直しはございますか?
小山田 みちる
車窓から、こけてつんのめるのが見える。
雨樋 緑郎
ああ と声が出る。 言わんこっちゃない。
雨樋 緑郎
立ち上がると、追いかけてゆく。 
雨樋 緑郎
お守り投げるよ、とりあえず
[ 雨樋緑郎 ] お守り : 2 → 1
GM
では、振り直し。
小山田 みちる
2D6>=5 (判定:整理) (2D6>=5) > 5[1,4] > 5 > 成功
GM
成功。
雨樋 緑郎
「ワンピースで転ぶな転ぶな」
小山田 みちる
つんのめった、が踏みとどまる。
小山田 みちる
ぷるぷるしている。
雨樋 緑郎
今度は代わりに手を伸ばす。
小山田 みちる
「せやかてろくろう……」
雨樋 緑郎
「ヒールで転ぶとは聞くが…まさかワンピースでデバフにかかるとは」
小山田 みちる
手をとって体勢を立て直した。
GM
【凪島駅】秘密
ショック:なし
自動販売機で飲み物を買うと、取り出し口に畳んだ画用紙のようなものが挟まっていた。
広げてみると、クレヨンで描かれた電車の絵だ。電車の外は黒いクレヨンで執拗に塗りつぶされている。
▽この【秘密】を調査したキャラクターは、鎮痛剤を1つ獲得する。
雨樋 緑郎
ぐっとこちらへ引っ張り起す。
雨樋 緑郎
……軽いな。
小山田 みちる
ゴミ箱に缶を捨てる。
その間に、自販機に目をやると何かある。
小山田 みちる
「……」
小山田 みちる
取り出したそれを広げてみた。
小山田 みちる
「……むむ」
雨樋 緑郎
「また落ちてるもの拾って……」
雨樋 緑郎
「ぺっしなさい ぺっ」
GM
あなたがたの乗ってきた電車と同じ位置に、同じ色のラインが引かれた電車の絵。
GM
そのほかは、真っ黒。
小山田 みちる
「食ってないわ!」
小山田 みちる
ぺっ、する代わりに飲み物を買う。
雨樋 緑郎
「くち空けてたから」
小山田 みちる
「ほい、ろくろー」
小山田 みちる
キリンレモンを差し出した。
雨樋 緑郎
「お。」 つめたい。
小山田 みちる
「夏の旅行にはやっぱこれやね」
雨樋 緑郎
「夏はキリンだな」 うけとるなり、力を籠める。 炭酸が漏れる音。
小山田 みちる
今しがた手に入れた鎮痛剤をろくろーに譲渡します。
雨樋 緑郎
む。いってこいだ
GM
OK
GM
増やしておいてください。
[ 雨樋緑郎 ] 鎮痛剤 : 0 → 1
小山田 みちる
「そろそろ出るっぽいな、急ご」
雨樋 緑郎
「……いらないのか、これ。」
雨樋 緑郎
手渡そうとしたキリンレモンが手元で揺れている
小山田 みちる
「あとでひとくちもらう~」
雨樋 緑郎
「あいよ」
GM
『ドアが閉まります……ご注意ください……』
雨樋 緑郎
その背が駆けてゆくなら、合わせて駆け込んでゆく。
小山田 みちる
うおお~~!ダッシュ!
GM
ドアが閉まる……。
雨樋 緑郎
ギリギリセーフ
GM
重たい慣性とともに、電車が走り出します。
GM
たたん、たたん……もう聞き慣れてきた走行音。
雨樋 緑郎
「……結局乗り過ごさなかったな。」
雨樋 緑郎
揺られながら、窓の外を見る。
小山田 みちる
「運がいいのう」
雨樋 緑郎
「神様もきまぐれよなぁ」
GM
……そんなあなたがたの会話の隙間に、ふと。
GM
ぷつり、スピーカーの入る音。
GM
まだ発車して間もないというのに、ざらざらとしたノイズ混じりの音声……。
雨樋 緑郎
耳を澄ます。
GM
『……………………』
    『…………不明……』
  『いつまで…………』
GM
『もう…………年……』
  『…………このままでは、……』
     『諦め…………』
雨樋 緑郎
なんだ……? 車内アナウンス、ではなさそうな……
小山田 みちる
ぼんやりと聞いている。
GM
ざらざら。途切れ途切れに聞き取る音声。そして、
GM
『もう時間がありません』
GM
最後に、奇妙なほどクリアにそう聞こえ。
雨樋 緑郎
「……時間?」
GM
スピーカーは沈黙する。
小山田 みちる
「……?」
GM
最後の言葉は、何故か――あなたがたに、語りかけたように聞こえました。
GM
お二人とも、《時間》で恐怖判定。
小山田 みちる
2D6>=11 (判定:整理) (2D6>=11) > 9[3,6] > 9 > 失敗
雨樋 緑郎
2D6>=12 (判定:手触り) (2D6>=12) > 3[1,2] > 3 > 失敗
GM
では、それぞれに狂気カードを引いてください。
GM
……はい、OKです。
小山田 みちる
なにか、じりじりとするようなものが胸中からわいて背中を伝う。
小山田 みちる
「時間……」
雨樋 緑郎
手からペットボトルが滑り落ちて、鈍い音を立てた。
雨樋 緑郎
冷たい手を、見る。
GM
スピーカーは、もう何も言わない。
雨樋 緑郎
「…………」 そうして、もう一度、ちいさな後ろ姿を見る。
小山田 みちる
「……」
雨樋 緑郎
白いワンピース、なだらかな頭を沿う猫っ毛
小山田 みちる
「……え?まさかこの電車……乗り継ぎが必要!?」
小山田 みちる
くるりとふりむいて。
雨樋 緑郎
…瞬間、はっとする。
小山田 みちる
「うあーー、だったらどうしよ」
雨樋 緑郎
「……それは、参ったな」
雨樋 緑郎
言葉を継ぎはぎに出して、確かめる。
小山田 みちる
「困るーーっ」
雨樋 緑郎
「こまったな……?」
小山田 みちる
運転士さ~ん、と立ち上がってぺたぺたと歩いていく。
雨樋 緑郎
後ろ姿が行ったり来たりしている。
GM
運転席はもちろん、しっかりと区切られている。
GM
運転士の後ろ姿だけが見える……。
小山田 みちる
おそるおそる声をかけてみる。
小山田 みちる
「すみませえん……あの……」
雨樋 緑郎
「…待った。」
小山田 みちる
この電車、行きますか?
……あれ。どこに?
小山田 みちる
思考は声に遮られた。
小山田 みちる
「?」
雨樋 緑郎
「せっかくの、旅だし……」
雨樋 緑郎
「聞かずにいくというのは、どうだろう。」
小山田 みちる
「……」
小山田 みちる
「それも、そうかあ」
小山田 みちる
大人しく戻って来る。
雨樋 緑郎
「行き先がわかってしまうのも、なんだしな。」
小山田 みちる
座席に座った。
雨樋 緑郎
その方が、多分。 いいような気がする。
雨樋 緑郎
ひっくり返ったペットボトルを拾って、膝にのせた。
小山田 みちる
揺れに身体を預ける。
雨樋 緑郎
座席には座らず、ドアの角にもたれた。
雨樋 緑郎
2d6 ガタンゴトン… (2D6) > 11[5,6] > 11
GM
11:押し包むような雲から、水のにおいが沈んでくる。雨だ。
GM
雨が降り続いている。
GM
車窓を斜めに流れていく雫。
小山田 みちる
窓に打ち付ける水滴を見ている。
雨樋 緑郎
いつも、雨だ。
雨樋 緑郎
こんな日くらい、天気でもいいんじゃないか。
小山田 みちる
ワンピースの裾はまだ濡れたまま乾かない。
雨樋 緑郎
湿ったレースを見やる。台無しだな。
小山田 みちる
えっち!
小山田 みちる
ば、と胸元を隠した。
雨樋 緑郎
はいはい、ごめんなすって。
雨樋 緑郎
目線を戻す。両手をひらひら。
小山田 みちる
サンダルを脱いで座席の上で体育座りをしはじめた。
小山田 みちる
揺れにともなってゆーらゆら……。
雨樋 緑郎
「……パンツ、みえるぞ」 ぼそり
雨樋 緑郎
窓ガラス越しに、見ている。
小山田 みちる
「安心してください、はいてませんよ」
雨樋 緑郎
「はけ、いますぐ」
雨樋 緑郎
……仕方ないので目を閉じることにした。
GM
さて。次が四つめの駅――終点です。
GM
名前を決めましょう。
雨樋 緑郎
目を閉じて、揺られている。
小山田 みちる
1d12 (1D12) > 10
小山田 みちる
1d12 (1D12) > 10
雨樋 緑郎
―きっと、しばらくすれば次の駅のアナウンス
雨樋 緑郎
知らない場所、知らない土地。
雨樋 緑郎
だけど、諳んじて言える。
GM
『次は、終点……』 淡々としたアナウンスが流れ始める。
小山田 みちる
紙片に書かれた場所のことを思う。
どんな駅だったっけ。
雨樋 緑郎
――終点は、
雨樋 緑郎
雨の音がかき消してゆく。
雨樋 緑郎
多分、この駅に 止まることはない。
雨樋 緑郎
瞼の裏で 電車は、加速をつづけていく。
小山田 みちる
駅のことはなにひとつ霞がかかっていて考えられない。
終点の海の音が雨の音と混じっていくのをぼんやりと思っている。
小山田 みちる
シーン表も振ります。
小山田 みちる
2d6 (2D6) > 9[4,5] > 9
GM
9:窓の桟の中で小さな蝶が死んでいる。
雨樋 緑郎
駅のほう、お守り使わせてもらいますね いちどだけ‥
GM
では、駅名を振り直しましょう。同様に振っていただいて結構です。
[ 雨樋緑郎 ] お守り : 1 → 0
小山田 みちる
「あ、ちょうちょ……」
小山田 みちる
車窓からの風にあおられて、飛びそうになったそれをてのひらにおさめる。
小山田 みちる
駅名を振り直します。
小山田 みちる
1d12 (1D12) > 11
小山田 みちる
1d12 (1D12) > 9
雨樋 緑郎
――駅名に 声が重なる。
雨樋 緑郎
「次の駅は……」
雨樋 緑郎
瞼の裏に並ぶ、青、青、青……
雨樋 緑郎
そこに、白い紙片の文字はない。
小山田みちる
ずうっと目の前の景色が青い。
小山田みちる
雨にけぶる山も、空も。
駅のホームも。
小山田みちる
このちょうちょも。
雨樋 緑郎
窓の外は雨が降りつづけている。
雨樋 緑郎
この箱の外はずっと、ずっと、雨が降っている。
GM
窓の外の風景すら曖昧。
小山田 みちる
画用紙の黒を思う。
小山田 みちる
こっちは青だぞ。
小山田 みちる
青だぞ、と。
車窓を見て呟く。
小山田 みちる
「雨か~」
雨樋 緑郎
黒いなかに、青い色がさす。
雨樋 緑郎
「雨だよ ずっと」
雨樋 緑郎
「……ここはずっと雨なんだ。」
小山田 みちる
「うちなあ、こう見えて雨女なんよ」
小山田 みちる
「すまんね」
雨樋 緑郎
「……いいや」
雨樋 緑郎
「小山田のせいじゃないよ」
雨樋 緑郎
「ここに来た時は 晴れてた。」
雨樋 緑郎
「すこしだけ、晴れたんだ。」
雨樋 緑郎
「……だから、いいんだ。」
雨樋 緑郎
暗い雨の景色の中 ただ声を聴いている。
小山田 みちる
「まあ、うち雨嫌いじゃないし」
小山田 みちる
「いっか!」
小山田 みちる
まあ、いいか。
で済まないことだらけの人生だったなあ。
小山田 みちる
でもいいか、もう。
小山田 みちる
「ろくろー、海だぜえ~」
小山田 みちる
車窓にべったりとおでこをつけて。
雨樋 緑郎
目を閉じている。雨は海をなぞらない。
雨樋 緑郎
「海なんて、行くつもりなかったんだけどな。」
雨樋 緑郎
すこしだけ笑う。案内人の声が弾むように明るい。
雨樋 緑郎
「俺、泳げないからさ。」
雨樋 緑郎
想像する。雨をさいて、海の中を進む列車のこと。
小山田 みちる
「うちも」
小山田 みちる
「海行く前に、プールで練習しといたらよかったね」
雨樋 緑郎
「……でも、ワンピース 見れたし。」
小山田 みちる
「プールなら水着見れたかも」
小山田 みちる
まあ、そんなお金ないけど。
雨樋 緑郎
「惜しい事、したかな。」
小山田 みちる
「ろくろー」
小山田 みちる
「もしかしてうちのこと好きだった?」
雨樋 緑郎
「ふつう」
雨樋 緑郎
「ふつうに、すきだったよ。」
小山田 みちる
「そうかあ」
小山田 みちる
「惜しいことしたわあ」
小山田 みちる
「一生養ってもらえば」
小山田 みちる
「よかった」
雨樋 緑郎
「……願えば」
雨樋 緑郎
「叶うかもよ。」
小山田 みちる
「一生のお願い~いうて」
小山田 みちる
「金貸してくれへん?って言ってたらなあ」
小山田 みちる
「ンフフ、ムリや。うち笑ってまう」
雨樋 緑郎
「そういうところ」
雨樋 緑郎
「すきだったよ、俺は」
小山田 みちる
「友達に、」
小山田 みちる
「金なんか貸すもんじゃないわ」
小山田 みちる
ぺそん、と座席に深く、深くもたれかかって。
ずるずると床にまでだらーんと伸びる。
小山田 みちる
「海ぞ~」
雨樋 緑郎
窓枠に触れる。 少しだけ濡れている。
雨樋 緑郎
「まだ着かないよ」
雨樋 緑郎
「多分このままずっと。」
雨樋 緑郎
終点は遠く、遠く、線路の向こう。
雨樋 緑郎
「ごめんな、ここまで付き合わせて。」
雨樋 緑郎
暗い瞼の中で雨だけがくっきりとその輪郭を辿る。
雨樋 緑郎
白い紙片。行く先は――
雨樋 緑郎
 プライズ、使っていいかな……
GM
使用する場合、宣言をどうぞ。
雨樋 緑郎
指先で手繰るのは小さなキーチェーン。
雨樋 緑郎
最初からわかっていたことだ。全部。全部。
雨樋 緑郎
【キティの鍵】使用します。 駅の名前「大ヶ井」
GM
一度流れたはずのアナウンス。
GM
しかし、スピーカーは再度入り……
GM
『次は、終点……大ヶ井。どなたさまも、お忘れ物のないようご注意ください……』
小山田 みちる
「……は?」
雨樋 緑郎
「知らない駅だな。」
雨樋 緑郎
知らないけれど、全部、知っている。
雨樋 緑郎
すべてはでたらめ。
雨樋 緑郎
都合のいい嘘っぱちだ。
小山田 みちる
「なに?なになに?」
小山田 みちる
思わず車窓を開けて身を乗り出そうとする。
雨樋 緑郎
ゆっくりと、目を開ける。
GM
終着駅は、海の近く。美しい海と高い崖とがあり、……それ以外、あなたがたは何も知らない。
GM
最後の駅の名前は、『大ヶ井』。
小山田 みちる
強かに雨が頬と髪をうつ。
ばさばさとワンピースの裾が座席を叩いた。
小山田 みちる
転がり落ちそうなほど身を乗り出して外を見る。
雨樋 緑郎
ひらひらとした布切れがまぶしい。
「うまそうな名前だな。」
GM
雨の向こうに、遠く駅舎が見えてくる。
GM
【大ヶ井駅】ハンドアウト
終着駅だ。折り返し運転を行うため、あなたたちが乗ってきた電車はホームに停車している。
周囲に人影はないが、駅員室には明かりがついている。駅員が常駐しているようだ。
このハンドアウトは、「プライズ:預り証」を所持していないと調査判定の対象にできない。
GM
そして、ゆっくりと。
GM
車体が減速していく……。
小山田 みちる
バランスを崩して座席から転がり落ちる。
小山田 みちる
「ウソぉ~~……」
雨樋 緑郎
手を伸ばすも、間に合わない。
GM
『終点、大ヶ井……本日は、ご利用、ありがとうございました……』
GM
気の抜けるような独特の音とともに、電車は止まる。
GM
ドアが、開く……。
小山田 みちる
電車の床に転がったままドアが開くのと、伸ばされた手とを交互に見る。
雨樋 緑郎
「着いちゃったな。海。」
小山田 みちる
「うん……」
GM
*第4サイクル 小山田 みちる
小山田 みちる
お守りをろくろーに譲渡します。
小山田 みちる
紙片を放り出して、ホームへ出る。
小山田 みちる
「……」
雨樋 緑郎
キャッチ。 飛び出したものは追いかけない。
[ 小山田みちる ] お守り : 1 → 0
GM
駅に掲げられた、『大ヶ井』の文字。
GM
緑郎はそれに、自分が何をどうしたのかを思う。
GM
それはきっと、正気ではできないこと。
GM
キティの鍵使用に伴い、緑郎の正気度が、0になります。
雨樋 緑郎
駆けだしていく後ろ姿。見慣れないワンピース。
雨樋 緑郎
――雨 遠くでノイズが鳴っている。
雨樋 緑郎
紙片を握りこんで座り込む。
[ 雨樋緑郎 ] お守り : 0 → 1
[ 雨樋緑郎 ] 正気度 : 4 → 0
雨樋 緑郎
これは、運命や奇跡なんかじゃない。
雨樋 緑郎
この指先の冷たさが、耳鳴りが、そう告げている。
小山田 みちる
ホームに踏み入れた足が、すっと引っ込む。
小山田 みちる
「ろくろー?」
小山田 みちる
鎮痛剤をろくろーに譲渡します。
[ 小山田みちる ] 鎮痛剤 : 1 → 0
小山田 みちる
「……」
小山田 みちる
立ち尽くしていたが、慌てて顔をぺちぺちと叩くばかり。
小山田 みちる
「なに……?」
雨樋 緑郎
「…………いや 」
雨樋 緑郎
ぺちぺちと叩かれている。
[ 雨樋緑郎 ] 鎮痛剤 : 1 → 2
小山田 みちる
「なにしたの……」
雨樋 緑郎
「なんだろうな」
雨樋 緑郎
「俺にもわかんないや」
雨樋 緑郎
嘘だ。
小山田 みちる
「……」
雨樋 緑郎
「その能天気な顔見てたら、全部忘れたよ。」
雨樋 緑郎
「こけたら ワンピース、台無し。」
小山田 みちる
「言うとる場合か!」
雨樋 緑郎
「ナイスツッコミ~」
小山田 みちる
ぺちん!
雨樋 緑郎
さする ……痛くないな、全然。
雨樋 緑郎
こうしていると紛れていく気がする。
正しくないことをしていても、許されるような気がする。
小山田 みちる
共感を使用します。
GM
はい。判定をどうぞ。
小山田 みちる
2D6>=6 (判定:笑い) (2D6>=6) > 9[3,6] > 9 > 成功
GM
緑郎の狂気カードは1枚ですので、そのままお持ちください。
小山田 みちる
呼吸を、あわせる。
小山田 みちる
目の前の人物に。
小山田 みちる
何度もやってきたことだ。
プロだ、プロだ、プロだからできる。
小山田 みちる
言い聞かせる、言い聞かせる。
手指のしびれも脳みそのつべたいところも。
あわせる。あわせてゆく。
小山田 みちる
呼吸器が、きゅうと音を立てて絞られていく。
雨樋 緑郎
静かに、呼吸が重なる。
雨樋 緑郎
この冷たさも、こわばりも。
雨樋 緑郎
全部、伝わってしまうのだろうか。
小山田 みちる
声を出そうとして、ひゅと喉が鳴る。
小山田 みちる
「……」
雨樋 緑郎
それならば、いっそ。
雨樋 緑郎
目の前のひとに手を伸ばし、抱き寄せる。
小山田 みちる
「……!」
雨樋 緑郎
「……どうせ、都合のいい嘘なんだ。」
雨樋 緑郎
「俺は、お前と死にに行く」
雨樋 緑郎
「そう決めた時からずっと。」
雨樋 緑郎
ここは「青」のない駅。海の近く。 電車は止まったままだ。
雨樋 緑郎
俺は この嘘の中で、死のうとした。
雨樋 緑郎
……それだけだ。
小山田 みちる
「……だめだこりゃ」
小山田 みちる
「はー、死にに来たっつうのに」
小山田 みちる
「ろくろー、死にそうな顔してたらこうだもん」
小山田 みちる
「こっちも向いてないん?うち」
小山田 みちる
真っ黒い爪の指をぴ、とつまんで。
小山田 みちる
ぎゅ、と握った。
小山田 みちる
「おらっ立てっ」
雨樋 緑郎
「……ったぁ」
雨樋 緑郎
「乱暴しないでくれます?」
小山田 みちる
「痛いか~痛いなら夢じゃなさそ……」
小山田 みちる
自分の頬もつねってみる。
ここで判定をします。
【夢】で「大ヶ井駅」を調査。
GM
はい。判定をどうぞ。
小山田 みちる
2D6>=5 (判定:夢) (2D6>=5) > 2[1,1] > 2 > ファンブル(判定失敗。山札から【狂気】を1枚獲得)
雨樋 緑郎
お守りッッ!!
[ 雨樋緑郎 ] お守り : 1 → 0
GM
はい。どうぞ。
小山田 みちる
2D6>=5 (判定:夢) (2D6>=5) > 3[1,2] > 3 > 失敗
GM
失敗です。
小山田 みちる
ざんねん。
小山田 みちる
さっき放り出した紙片は、預かり証の方だった。
小山田 みちる
「……んあ」
小山田 みちる
「忘れ物……」
雨樋 緑郎
手を開く。 「……これ?」
小山田 みちる
預かり証をろくろーに譲渡します。
GM
はい。よろしいでしょう。
小山田 みちる
「駅員さんに聞きに行きたいとこなのだがね……」
小山田 みちる
「なんと、腰が抜けて立てん」
雨樋 緑郎
「ラブコメみたいだな」
小山田 みちる
「頼めるか、ろくろー」
小山田 みちる
キリ……。
雨樋 緑郎
「まぁ…頼まれたからには。」
GM
*第4サイクル 雨樋 緑郎
雨樋 緑郎
「……立てるか。」 とりあえず声をかけて立ち上がる。
小山田 みちる
眉間にしわをよせて首を横に振る。
雨樋 緑郎
「…そうか」
雨樋 緑郎
「じゃあ このままこれ、借りてくな。」
小山田 みちる
頷く。
雨樋 緑郎
振り返らずに遠ざかる。
雨樋 緑郎
あとで謝ろうか。 許してもらえるもんかな。
雨樋 緑郎
そんなことを考えながら。
[ 雨樋緑郎 ] 鎮痛剤 : 2 → 1
[ 雨樋緑郎 ] 正気度 : 0 → 1
雨樋 緑郎
鎮痛剤つかっておきますね
GM
はい。
雨樋 緑郎
その居所はすぐにわかった。駅員に声をかける。
雨樋 緑郎
「すみません」
GM
駅員が目を上げる。
雨樋 緑郎
「これ、わかりますか。」 預かり証を見せる。
雨樋 緑郎
――大ヶ井駅。
雨樋 緑郎
知らないはずの駅の名前。
雨樋 緑郎
夢で調査 します!
GM
では、判定をどうぞ。
雨樋 緑郎
2D6>=5 (判定:夢) (2D6>=5) > 6[1,5] > 6 > 成功
GM
成功。
GM
駅員は、差し出された預り証を受け取る。
GM
【大ヶ井駅】秘密
ショック:なし
愛想のない駅員が、あなたの持つ預り証を一瞥して奥からなにかを取り出してきた。
それにしてもこの駅員、運転士とふたごのようによく似ている。
▽このハンドアウトを調査したPCは、「プライズ:身代わり人形」を獲得する。
GM
【身代わり人形】ハンドアウト
手のひらサイズの人形。頭部にボールチェーンがついている。
まじまじと見ていると、なんだか自分自身に似ているような気がして不気味だ。
所有者は自由に【秘密】を見ることができるが、情動分野のランダムな特技で恐怖判定を行う必要がある。
GM
ご覧になりますか?
雨樋 緑郎
「……人形?」
雨樋 緑郎
「誰の、落とし物……ですか」
雨樋 緑郎
聞いてみる。
GM
「……預り証のお名前の方ですが……」
GM
駅員は、もう一度預り証を一瞥する。
雨樋 緑郎
「…………。」
 ホームの方を見る。
小山田 みちる
視線に気づく。
小山田 みちる
よろよろと立ち上がって、よぼよぼと近づいてきた。
小山田 みちる
「い~つもすまないねえ……」
雨樋 緑郎
近づいてきたので たじろぐ
雨樋 緑郎
「むりは、するな」
雨樋 緑郎
手を広げて どうどう… 無害ですよ~
小山田 みちる
ぺたん、と窓口に身体を預けて顔を見せた。
小山田 みちる
「小山田みちるですゥ~……」
小山田 みちる
何落したんだろ……。
雨樋 緑郎
「おいこら……それ」
GM
「はい。……預り証はこちらで引き取りますので」
GM
「こちらはお渡しいたしました」
雨樋 緑郎
「触らない方がいいんじゃないか、 なんか、不気味だし……」
小山田 みちる
「かわいいじゃん」
小山田 みちる
まじまじ……。
こんなん落としたっけ……?
落したような気もしてきたな……。
雨樋 緑郎
キーチェーンの先を見る。 陰気臭い顔だ。
小山田 みちる
「なんかろくろーに似てんね」
雨樋 緑郎
「見る目ないんじゃないか」
雨樋 緑郎
「落として忘れてたくらいの、やつだし そもそも…」
雨樋 緑郎
「ほしいなら……やるけども。」
雨樋 緑郎
正直自分で持っておきたくは、ない。
小山田 みちる
「もらう」
小山田 みちる
「うちの子になるでちよ、ミニろー」
雨樋 緑郎
「やめろやめろ 指もぐ気だろ」
雨樋 緑郎
正直薄気味わるいが…
指の先でつまんで「身代わり人形」譲渡します
GM
では、所有が移動しました。秘密はご覧になりますか?
小山田 みちる
みます!
GM
わかりました。
GM
TET 情動分野ランダム特技表(8) > 《驚き/情動8》
GM
《驚き》で恐怖判定を行ってください。
雨樋 緑郎
……誰が作ったんだ? その顔を改めてみる。
見れば見るほど似ている。 こんなものはもちろん、知らない。
雨樋 緑郎
友達人形…… 感情修正、生命力で…
[ 雨樋緑郎 ] 生命力 : 6 → 5
雨樋 緑郎
鎮痛剤もそっと乗せ… まぁ、本来もらった命だしな これ
[ 雨樋緑郎 ] 鎮痛剤 : 1 → 0
[ 小山田みちる ] 鎮痛剤 : 0 → 1
GM
では、+1の修正をつけて恐怖判定。
小山田 みちる
2D6+1>=7 (判定:笑い) (2D6+1>=7) > 9[3,6]+1 > 10 > 成功
小山田 みちる
フィー
GM
成功。
GM
秘密はこちらです。
GM
【身代わり人形】秘密
ショック:なし
このプライズの所有者が生命力または正気度が2点以上減少するとき、一度だけその値を1D6点軽減してもよい。ただし、この効果によって減少値を0点以下にすることはできない。
小山田 みちる
「かわい~」
雨樋 緑郎
複雑な顔~…
雨樋 緑郎
「せいぜいかわいがられろ、ミニろー…」
小山田 みちる
しまう場所がないので、ぐいと下着の中にしまう。
雨樋 緑郎
「あっ ちょ おまえ……」
雨樋 緑郎
「恥じらいはないのか」
小山田 みちる
「いっきにCカップになった」
小山田 みちる
「芸人に言うか~?」
雨樋 緑郎
「生々しい数字を出すな!!」
雨樋 緑郎
「芸人の前に友達なんだよっ……」
小山田 みちる
「友達、」
小山田 みちる
手を握り。
小山田 みちる
「友達と海来たの初めて」
小山田 みちる
「大ヶ井かあ……」
雨樋 緑郎
手をのこして、後ずさる。
雨樋 緑郎
「あの、なぁ…………」
雨樋 緑郎
さっき腰抜かしてたやつが、やるかそれ…っ
小山田 みちる
「?」
雨樋 緑郎
「なあんでもない!!」
小山田 みちる
「行くぜ、ろくろー!」
GM
風が吹く。雨の中に、潮のにおい。
GM
改札の向こう側から、波の音がしている。
小山田 みちる
「海だ!」
GM
一方で、ホームの方では、運転士が先程の位置を離れ、反対側の運転席に向かっていく。
GM
そして、その背後……車両止めの、さらに向こう側。
GM
そこには、まだ線路が続いていた。
GM
――緑郎には、わかる。
GM
その線路の向こうに、何があるのか。何が待っているのか。
GM
あなたがたの行ける先はみっつ。
GM
電車に乗って、もと来たほうへ戻るか。
手をつないで飛び降りるために、海へ向かうか。
それとも、線路の先へと向かうか。
雨樋 緑郎
……潮風。ワンピースがひるがえっている。
彼女がいつでも先をゆく。行き先はままならず。
自分でも知らない方角に走っていく。
雨樋 緑郎
「海。 本当に海だな……」
小山田 みちる
「海って感じ~」
雨樋 緑郎
小雨が頬をつたう。
線路を渡るのは自分たちふたりだけ。
そのままいけば、海に続いていく。
小山田 みちる
小雨のなかでも、元気だ。
雨樋 緑郎
「泳げなくて、よかったな。」
小山田 みちる
「お? おお」
小山田 みちる
「泳いでも……いいが?」
小山田 みちる
ワンピースに手をかけて脱ぐ準備。
雨樋 緑郎
「今の恰好を!!考えろ!!!!」
雨樋 緑郎
「俺もこれしかないんだ。これ以上濡らすな 脱ぐな」
小山田 みちる
海の方角へ向き直り。潮風まじりの小雨を浴びる。
小山田 みちる
「来ちゃったな、海」
小山田 みちる
「……」
小山田 みちる
「賭け、ろくろーの勝ち」
小山田 みちる
「帰るか、大都会によ」
小山田 みちる
ここは大ヶ井駅。
あの駅と同じ名前の駅。
小山田 みちる
あの駅。……どの駅?
でも、切符は同じように切られている。
雨樋 緑郎
「勝った気がしないな」
雨樋 緑郎
「でも、そうだな。 お前が言うならそういうことで いいかな。」
雨樋 緑郎
「未練はないか。」
小山田 みちる
「明日からまた刺身にたんぽぽを乗せる日々が始まるんだが?」
小山田 みちる
「地獄だぞ」
雨樋 緑郎
「……はっきりいって虚無だな。」
小山田 みちる
「笑点が始まる時間にゃ帰れないし」
雨樋 緑郎
「飯も大したモン食えなさそうだな」
小山田 みちる
「コメディお江戸でござるももうないし」
雨樋 緑郎
「チョイスが古いんだよ」
雨樋 緑郎
「なに、新しい番組もはじまるさ」
雨樋 緑郎
「寄席行こうぜ 寄席によ」
雨樋 緑郎
雨が一面に降りしきっている。
この瞬間だけは、景色にもやがかって
思い出話や空想を巡らせることができる。
GM
『まもなく、折返し発車いたします。……ご利用の方は、ご乗車になってお待ち下さい……』
GM
アナウンスが流れる。雨の中。
小山田 みちる
「……」
小山田 みちる
「ここ終着駅じゃないんだ?」
小山田 みちる
向こう側の線路を見て首を傾げながら。
折り返しの電車に乗る心つもりで踏み出す。
雨樋 緑郎
手を握り返す。
雨樋 緑郎
「……帰り道、わかるのか。」
小山田 みちる
「?」
小山田 みちる
「もと来た電車乗ればいいんじゃないの?」
小山田 みちる
折り返しいうてるし。
雨樋 緑郎
「こっち。」 反対側を指さす。
雨樋 緑郎
路線の続く向こう側。
小山田 みちる
「???」
雨樋 緑郎
「本当に帰りたいのなら。歩いていくのがいい。」
雨樋 緑郎
「……正直、それで歩いていくのは、大変だろうけどな。」
小山田 みちる
「自分、ろくろーよりは歩きに自信あります」
小山田 みちる
ろくろーはもやしだから。
雨樋 緑郎
「忘れてたよ。」
雨樋 緑郎
俺からすれば、お前のどこにその馬力があるのか不思議なくらいだけど。
雨樋 緑郎
「でも、迷子になるよりはずっといいとおもう。」

歩き出す
線路はずっとずっと先へと続いて
薄暗い雨模様の先に光がさしている。
小山田 みちる
「何時間くらい歩くんだコレ?」
GM
『発車します……ご注意ください……』
GM
あなたがたの背後で発車のベルが鳴る。
雨樋 緑郎
「永遠かも。」
GM
そして、それを見送ることなく、あなたがたは駅舎の外へ。
GM
雨の中に、踏み出していく。